« 2025年5月 | トップページ | 2025年10月 »

2025年7月

2025年7月15日 (火)

『「視点」の違いから見る日英語の表現と文化の比較(正・続)』~英日で「誰々が言った」を訳出すると不自然になる理由

物語の登場人物同士がやりとりをするとき、英語は「誰々が言った」とほぼ必ず明示されているのに対し、日本語で書き下ろされたものだと、そのあたりを明示しないことが多く、なんならセリフだけが並んでいたりします(そういう形で誰が語ったのかがわかるように書かれている。たま~に誰の言葉かわからないこともあるけど)。

そういう違いがあるので、英日翻訳で英語の「誰々が言った」を訳出するとなんか不自然に感じることが多く、私はなるべく訳出せずにすむ工夫をしますし、あまり訳出しないほうがいいみたいなこともよく言われます。

とまあ、そのくらいの理解で、この問題が頻出する書籍をやるようになってからの20年、仕事をしてきたのですが、先日、もしかするとこういうことかなぁというレベルながら、このあたりについて、一段、言語化ができるようになった気がします。

きっかけは、翻訳フォーラムシンポの「さきの×Buckeyeバトルトーク」で参考になるかもと『「視点」の違いから見る日英語の表現と文化の比較』を読んだこと。

この本は続があるのとないの、2冊あって、続はバトルトーク予習用に買った。続がないほうは2年前に買ってツンドクしていたのでそれを読んだ(^^;)

いまから読むなら「続」だけでもいいかもしれないが、一般には、元のほうから2冊とも読むことをお勧めしたい。この2冊でくり返し検討していることの基本は、元のほうに詳しく書かれているからだ。

この2冊に書かれていることを乱暴にまとめると「舞台で演じられている物語を語るとき、英語だと、登場人物が客席側にいて、そこから、自分の周りにいるお客さん(読者)に語る形が基本になる。対して日本語だと、舞台上で演じている登場人物が客席のお客さん(読者)に語る形が基本になる」あたりでしょうか。

私も、ずっとこういうふうに理解していました。というか、こういうふうにしか理解できていませんでした。でもいまなら、そのあたりについて詳しく検討した本書2冊を読んだいまなら、もしかするとのレベルではあるけれど、もう少し明確に言語化できる気がします。

続きを読む "『「視点」の違いから見る日英語の表現と文化の比較(正・続)』~英日で「誰々が言った」を訳出すると不自然になる理由"

| | コメント (0)

2025年7月 9日 (水)

『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか: 知られざる戦後書店抗争史』

感想を一言にまとめると、「うーむ。厳しいな」です。書店は厳しい。そして、我々翻訳者も、(最近話題になっている)専業で食えるだけの条件を獲得するのは厳しい。そう、思ってしまいました。

戦後、書店を取りまく環境がどう変わり、それに書店はどう対処し、どうつぶれてきたのか。その歴史を豊富な資料から描き出したのが本書です。我々翻訳者も、出版翻訳に携わる(あるいは携わりたいと考える)なら読んでおくべきでしょう。我々が訳した本は、書店経由で消費者に買ってもらってなんぼなわけですから。

 

続きを読む "『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか: 知られざる戦後書店抗争史』"

| | コメント (0)

« 2025年5月 | トップページ | 2025年10月 »