アルク『翻訳事典2019-2020』
毎年出ているアルクの『翻訳事典』、最新版が本日発売になりました。
私も記事をひとつ書いています。内容紹介の
3.機械翻訳と人間翻訳者
旬の話題である機械翻訳について、翻訳者の立場に立って識者が解説します。他誌にはない必読記事。
というところ。3パートあるうち、最後が私です。といっても、特に新しいことを書いているわけではなく、このブログや翻訳フォーラムシンポジウムなどでいつも言っていることをまとめ、機械翻訳+ポストエディットとの関係を指摘しただけとも言えるのですが。
私の前では、機械翻訳の出力文にはどういう問題があるのかを、Sakinoさんが具体的に指摘してくれています。こちらは、ほとんどの方にとって初見になるのではないかと思います。
ぶっちゃけた話、私は、もう、ずいぶん前から、この手の本を買ってまで読むということはなく、記事を書いたりインタビューを受けたりしたとき献本をもらうので、ぱらって見て終わりにする、くらいになっています。でも、今回は、全体の方向性がいい方に変わった気がして、なんだかんだ、半分くらい読んでしまいました。
機械翻訳+ポストエディットの導入まったなしという雰囲気に業界がなっているなか、その特集の記事執筆をSakinoさんと私に依頼してくるあたり、けっこう思い切ったことしたなと思います。
実は、記事執筆の依頼、最初は、断ろうと思ったんですよね。機械翻訳+ポストエディットとか、そういう流れからなるべく遠いところへ、遠いところへと、もう20年も舵を切ってきて、いまは、業界の流れと無縁の場所を確保してしまっているわけですから。どうしても、当事者意識や危機感の薄さが記事に出てしまうのではないかと思ったのです。
ただ、単純に断るのは悪いので、そっち方面で問題点を指摘してほしいならSakinoさんのほうが適任って紹介しようかとSakinoさんに確認入れたら、そちらにも執筆依頼が行っているというじゃないですか。これはアルクさんも本気らしいと、私も記事を書くことにしました。どういう問題が起きるのか、具体的な話はSakinoさんが書いてくれるはずだから、そっちに触れる必要がなく、書きたいことを書けるだろうと思いましたし。(打ち合わせたわけではありませんが、いま、彼女がこのテーマで書くならそのあたりになるのはわかってましたから。SakinoさんはSakinoさんで、私も記事を書くなら、具体例以外のところは書かなくていいなと思ったはずです)
ちなみに、この記事を書いているいま現在、アマゾンの「売れ筋ランキング」本総合で574位。売れてます。アマゾン総合3桁はすごく売れてる証拠です。これ、ムックなので書籍のような増刷はありません。売り切れ御免の世界です。興味のある方は早めに買われたほうがいいかもしれません。まあ、去年の『翻訳事典』はまだ在庫があるくらいでかなりの冊数が刷られているようですし、いまどき、中古が簡単に買えるのであわてることもないとも言えますが。
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