言葉-日本語

2012年3月 6日 (火)

主語を出さなければならないとき

川月現大さん(編集者)のブログに「どんなときに主語を省略できるのか 【文章技術:ピリオド越え】」というエントリーがありました。

「英語は主語が省略できない(主語と動詞がないと文にならない)が、日本語は主語を省略できる」とよく言われますが、私はむしろ、「日本語は必要なものしか出さない」と表現すべきだと考えています。理由は、「省略できる=省略しなくてもいい」と感じるのが普通であり、「省略できる」と考えていると省略したほうがいいものまで残ってしまう可能性が高いからです。

このあたりについては(↓)のエントリーも参照してください。

いらない主語が残っていると読みにくい日本語になります。これは、優秀なひとならほんの少し翻訳をかじっただけでわかってしまうほど明白な問題です。「翻訳者でない人が気づいた翻訳のコツ」で紹介したように、その方は「主語を省略する。意味上の主語が明白な場合には、なるべく省略する」という言い方をされています。「省略しなくてもいい」ではないのです。「なるべく」省略しなければならないわけです。

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2010年10月 2日 (土)

翻訳者と日本語入力IME

ATOK 2010+共同通信社記者ハンドブック辞書」でも書きましたが、私は、ジャストシステムのATOKに共同通信社記者ハンドブック辞書を組み合わせて使っています。これ、翻訳など書き物をする人にとっては不可欠なツールだと思うのですが、使っている人は意外に少ないようです。

■ベースとなる日本語入力IME

いろいろな人の話を聞くと、日本語入力IMEとしてOS付属のIMEを使っている人が多いようです。それなりではあると思うのですが、変換の精度はATOKが一段上だというのが、少なくともATOKを使っている人たちの意見です。

昔、翻訳フォーラムで変換精度の比較をしてみた人たちがいました。そのときははっきりとATOKに軍配があがりました。ただ、その後、OS付属のIMEも進化しているので、今、どのくらい違うのかはわかりません。

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2010年9月 9日 (木)

連続を避ける

『の』の連続は避ける」への補足です。

■「の」の連続を避けた例

今日、翻訳フォーラムへの投稿を書いていたら、

「SimplyTermsのヘルプの正規表現の入門に記載してあります」

となってしまいました。これなんか、「の」の一番基本的な意味、"of"になる「の」が連続しているだけなので意味が不明確になることはないのですが、やはり、気になるので(職業病?)、(↓)のようにしておきました。

「正規表現の入門としてSimplyTermsのヘルプに記載してあります」

ほかには、(↓)あたりのパターンが考えられるでしょうか。

  • SimplyTermsのヘルプにある正規表現の入門に記載してあります(「に」が連続して出てくる)
  • SimplyTermsのヘルプにある正規表現の入門という項目に記載してあります(「という」で軽くまとまるので「に」の連続は気にならないけど、全体が長い)

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2010年9月 7日 (火)

「の」の連続は避ける

今日、猛暑について報じた夜7時のNHKニュースで、アナウンサーが次のように言っていました。

~区は、23区内で唯一、すべての教室へのエアコンの設置がすんでいません。

一部教室にはすんでいるのかすんでいないのか、どちらなんでしょう。日本語としてはどちらにもとれると思うんですけど。台本なしの生放送でこういうしゃべり方をしたのなら、それはまあ、仕方がないのだけれど、夜7時のニュースで台本を読むアナウンサーがこう言ってしまうというのは困りものですね。もちろん、悪いのは台本を書いた人なわけですが。

一部教室にエアコンが設置されている場合もされていない場合も、誤解のないように表現する方法はいろいろあるはずだと思います。

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2010年6月24日 (木)

ロケットペンシルとところてん

しばらく前、たしか今進めている書籍の翻訳で、後ろから押されて順番にずれて消えて行くような話で「ところてん式」と書こうとしました。そこでふと思いだしたのが、少し前に休憩時間に見たDVD。若い人にロケットペンシルのようなものと説明したらわかってもらえず、ところてんと言いなおすシーンがあって……「ところてんなんて、最近の若い人、知らないんじゃないの?」と思わず、心の中で突っ込んでしまったのです(職業病です^^;)。

自分の常識は世間の非常識。まずは、一番身近な世間、嫁さんに聞いてみました(夫婦はいろいろな意味で似ていたりするので、このふたりの常識が世間の非常識ってことはいくらでもあるのですが)。

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2010年6月22日 (火)

スタイルガイド検討フォーラム

ITローカライズ系でよく使われるスタイルガイドについての検討をJTFで行っています。

SINAPSフォーラム

スタイルガイドというのは、もともと、多人数で翻訳する際に揺れがちな品質を安定させたり、底上げすることを目的に作られたものなのですが、現場で仕事をしている人からはおかしな決めごと、適用すべきときとすべきでないときがあるのに従っていないと後処理で無理矢理に修正(その実態は改悪)されてしまうなど、いろいろと問題があると聞きます。ソースクライアントごとに細かく違うことも、複数企業の仕事をするフリーランスにとっては混乱する点であり、作業効率は落ちるしミスは出やすいしといいことがないという話もあります。

ただ、そうやって文句を言っていてもなにも変わりません。ダメだと言うなら対案を出そう。そういう考えで、とにかく、なにが問題でなにをどうすべきなのか、まずは話しあってみようというのがSINAPSフォーラムです。

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2010年6月16日 (水)

日本語はあいまいで非論理的か

翻訳者の話では、よく、日本語はあいまいで非論理的、英語のほうが明快で論理的といった議論があります。特に日英翻訳のとき、日本語はあいまいでそのままでは英語にならない、いろいろと補わないといけない、日英翻訳の日本語原稿は99%悪文だとまで言った人もいます。

本当にそうなのでしょうか。

どういう仕事をしているのかによっていろいろなので、99%悪文だと言われた翻訳者のところに来る日英の原稿は本当に99%が悪文なのかもしれませんが……でも、世の中、翻訳の原稿となる日本語の99%が悪文ということはまず考えられません。産業翻訳の原稿となるのは基本的には他人とやりとりするために書かれた文章のはずです。その99%が意味不明の悪文なのであれば、それは文書が書かれた目的を達成できないということであり、それはとりもなおさず、日本経済も日本社会も立ちゆかないことを意味します。

ひるがえって現実を見れば、日本経済も日本社会もそれなりにきちんと動いています。つまり、日本語の文書もそれなりにきちんとしているということでしょう。

●日本語は「状況依存性・文脈依存性が高い」「柔軟性が高い」

日本語はあいまいなのではなく、文脈依存性が高いのだと私は考えています。

ついでに付けくわえれば、文脈に支えられた状況であれば少ない言葉数で必要な情報を伝えることができる……つまり、伝達効率が高いのだとも思います。

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2009年10月19日 (月)

溶剤形塗料?

今朝、仕事の関連情報を集めていたら、「低VOC塗料(溶剤形)」というのが出てきました。

「溶剤形」って、漢字の意味として変だと思います。これ、「溶剤けい」と読むのなら「溶剤系」、「溶剤がた」と読むのなら「溶剤型」じゃないんでしょうか。

日本塗料工業会の上記URLページには(↓)とあります。

これらのことより、塗料製品中のVOC成分含有量が30重量%以下の塗料に「低VOC塗料」の自主表示を行います。水系塗料、粉体塗料などは元々低VOC塗料のためここでは溶剤形塗料が対象になり、表示は「低VOC塗料(溶剤形)」と致します。

水性塗料を「水系塗料」とするなら、それとの対比で「溶剤系塗料」とするのが素直だと思います。

意味からして明らかだとは思いますが、念のため使用例をざっと比較すると(↓)のようになります。

溶剤形<溶剤型<溶剤系

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2009年10月14日 (水)

マクドナルドのちらし

先日、家族でマクドナルドに入ったときのこと。子どもたちが食べ終わるのを待ちつつ、トレイに置かれたちらし(というかなんというか)をぼんやりと眺めていたら、その日本語が気になってしまいました。

職業病ですね……

マック用語辞典みたいなもので、項目とその説明文のセットがいくつか並んでいました。気になったのは「Yes-プログラム」の説明(↓)後半の1文。

Yes-プログラム
若者のビジネススキルを高めるために、厚生労働省がつくったプログラム。マクドナルドはYes-プログラムの認定を受けているので、クルーとして働いてYes-プログラムを習得すれば、履歴書に資格として書くこともできるのでとっても便利。

家族の意見は、中1と小5の子どもたちは「何かおかしいの?」、嫁さんは「何かがおかしいけど、何がどうと明確に表現できない」だそうです。

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2009年3月 5日 (木)

ひらがな・漢字・カタカナの連続

ひとつ前のエントリー、「長い訳文・短い訳文」に引き続き、「IT翻訳者の疑問」の2009/02/27のエントリー、『[Linguistic Reviewerの疑問]ひらがなの連続』で指摘されている点についてのエントリーです。

上記では(↓)のような指摘がされています。

  • ひらがなが何文字も続くと読みにくい
  • ひらがなが続くと「まとまり」として読むことが難しくなる

私もそう思います。ただし、それは「ひらがな」に限ったことではありません。カタカナが続いても同じことが言えるし、漢字が続いても同じことが言えます。

カタカナを使うことが多いIT系企業では、翻訳の仕様としてカタカナ表記の複合語は間に中黒を入れる、あるいは半角スペースを入れると決まっていることがよくあります。これはカタカナの連続による読みにくさを少しでも緩和しようという姿勢の表れでもあります(これはこれで、短いカタカナ語が連続すると読みにくくなるんですが)。漢字も、10個も20個も連ねて書かれるとどこからどこまでが「まとまり」であり、各「まとまり」がどのような関係になっているのか、一読したくらいでは分からなかったりします(一読どころか何回読みなおしても、あることに反対しているのか賛成しているのか分からないっていう面白い例がどこかで紹介されていたのですが、残念ながらどこだったか忘れて出てきません)。

日本語は単語の切れ目が分かりにくいのですが(単語単位に切れない部分が多いのが日本語だというべきでしょうね。膠着語とかいうらしいですし)、ひらがな・漢字・カタカナを適切に織りまぜて書くと、その欠点を消すことができます。それどころか、どこを見ても似たような形が並んでいる英語などに比べ、速読がしやすいなどのメリットが生まれたりします。

ひらがな・漢字・カタカナを「適切に」織りまぜれば、それぞれの比率がある程度の幅に落ちつくものです。そのため、「漢字の比率はxx~yy%とすべき」みたいなことを言う人もいます。私はこの数字も固定的なものではなく、文書の目的と対象読者によって変化するものだと考えています。そう考えてはいるのですが、割合を確認してみると参考になるとも思います。

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