翻訳-暮らし・人生

2019年2月22日 (金)

河野弘毅さんの「機械翻訳の時代に活躍できる人材になるために」について

特別寄稿、『道を拓く』を書いた通訳翻訳ジャーナル2019年4月号が発売になり、私の手元にも献本が届きました。私の記事と並んで特集の「通訳者・翻訳者がやるべきこと」に掲載されている河野弘毅さんの記事「機械翻訳の時代に活躍できる人材になるために」を読んでいろいろと思ったことがあるので、雑ぱくになりますが、メモしておこうと思います。

本論に入る前に、ちょっと予備知識を。

まずは、この記事を書かれた河野弘毅さんについて。略歴が記事にありますが、もうちょっと詳しく説明しましょう。

河野さんは、私と同じようにもともと技術系の出身で、こういう技術が大好きです。翻訳メモリー登場時、業界に先駆けて活用してかなりの成功を収め、業界で有名になりました。私が専業翻訳者として独立したころは、翻訳メモリー導入の成功者、時代の寵児という感じで、業界誌などにもよく登場していました。しかし、その後、翻訳メモリーが普及してレペティション部分を中心に単価がどんどん下落したこともあって、経営していた翻訳会社を清算。その後も、翻訳会社に勤めるなど、ほぼ一環してこの業界にかかわっています。いまは、機械翻訳のコンサルタントが主業務です。

記事で「発言者の『ポジション』に注意して話を聞く必要がある」とご本人も書かれていますが、河野さんのポジションは「機械翻訳の導入を進める側」、もっとはっきり書けば「機械翻訳の導入が進んでくれないとご飯が食べられない人」です。

私との関係もざっと書いておきましょう。

私も技術大好き人間なので、河野さんとは、同じようなものに興味を引かれる者同士、技術とその影響について、ずいぶんと議論してきました。いわゆる翻訳会社側の河野さんと徹底的に翻訳者の私ということから、立場が大きく異なり、その結果、功罪の判断も真逆になることが多かっただけに、まあ、よくやりましたね。河野さんは自分で翻訳をしていた時期もあるので、翻訳作業に対する影響の部分についての議論にもついてこられるので、議論は多岐にわたりました。

仲はいいですよ。河野さんがどう思っておられるのかはわかりませんが、私は、業界内で仲のいい人と考えたとき、河野さんは上位にきます。河野さんとなら、議論でいろいろと理解を深めることができますから。オンラインのコミュニティがSNS中心になったあたりからは、オンラインで議論がしにくくなってしまい、河野さんと議論することもほとんどなくなったのが残念なくらいです。もちろん、いまでも、会って時間があればいろいろと意見を交換をする間柄です。

で、今回の記事ですが、かなりよく書かれていると思います。上手にまとめてあるという意味においても、バランスよく書かれているという意味においても。いかにも機械翻訳推進派という書き方ではなく、現役翻訳者に一定の配慮がなされているという意味においても。

それでも、どうしても突っこみたいところが私にはあるんです。紙面の都合もあって、そこはさらっと流したんだと河野さんは言われるかもしれないのですが。いや、違うな。Buckeyeさんなら、そこ、突っこんでくると思ったよと言われそう(笑)

長くなりました。いくらなんでも前置きはこのくらいにして、そろそろ、本題に入りましょう。相手が河野さんなので、遠慮なく突っこみます。

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2019年2月21日 (木)

産業系の新規開拓で訳書は武器になるのか

特別寄稿ということで記事を書いた通訳翻訳ジャーナル、発売になりました。予約された方のところには、そろそろ届くころでしょうか。

そんなことを考えていたら思いだしたことがあります。通訳翻訳ジャーナルの記事には書きわすれたんですが(思いだしても入れるスペースがなくて割愛したと思いますが)、「訳書があれば違う」というのもよく言われたんですよね。「Buckeyeさんは訳書があるからいいけど……」と。

たしかに、訳書を産業系の営業に活用している人もいます。でも、私は、産業系の新規開拓時、訳書の話を出したことがありません。取引しているうちに、「~という本、訳者が同姓同名ですけど、もしかして本人ですか」とばれたことは2~3回ありましたけど。

翻訳会社の人は翻訳や翻訳者に関心があるので私に訳書があることもご存じの方が多いのですが、私は、ほとんどソースクライアント直で仕事をしてきたので(翻訳会社の新規開拓は独立前がほとんどで、独立後は1社だけ。手伝ってほしいと先方に言われて手伝ったのは、何社かありますが)、新規開拓はソースクライアントのみのようなものでした。ソースクライアントの担当者は、私のことなんて知りません。もうもう、どこの馬の骨、ですよ。アプローチしても完全に無視されたり、いくらでもありました。

まあ、その中には、訳書があると言えば興味を引かれて話くらいは聞いてくれた人がひとりかふたりかいたかもしれません。でも、私としては、純粋に、その会社から出てくる案件をどう訳すのか、その品質と値段の見合いで評価してほしかったんですよね。そこを評価してくれる先と仕事がしたかったというか。そういう人の役にたちたかったというか。

前述のように翻訳会社の人は翻訳や翻訳者に関心がありますし、訳書があるというのは、業界的に一定レベル以上の力があるという証明にもある程度なりますから、翻訳会社相手に営業するのであれば訳書はけっこう武器になるのかもしれません。

ソースクライアント直の営業でも、そのクライアントの専門領域ぴったりの書籍を訳しているのであれば、訳書が武器になるかもしれません。私の場合、産業系は技術中心、出版はビジネスものと領域がずれていたので、そういう意味でも、あまり利用価値はなかったんじゃないかと思います。

あと、出版で本を訳しているあいだ、自分のところの仕事がおろそかになるんじゃないかと思われる危険も考えられるので、どちらがいいのか、けっこう微妙なケースもあるんじゃないでしょうか。

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2019年2月15日 (金)

『道を拓く』(通訳翻訳ジャーナル特別寄稿)

2月21日に発売となる通訳翻訳ジャーナル2019年4月号に記事を書きました。

上の画像をクリックすると、アマゾンのページに飛びます。そこにある内容紹介

【特集1】
今もこれからも、求められる人材になるために─
通訳者・翻訳者がやるべきこと
* 将来のために、今、やるべきこと 翻訳編・通訳編
……

にある「将来のために、今、やるべきこと 翻訳編」(↓)です。

■特別寄稿『道を拓く』

20190215__2

連盟の理事みたいな役職もそうなんですけど、こういう記事を書く役割もいろんな人が担うべきで、いいかげん、世代交代すべきなんじゃないかと思っています。ですが、今回は、アルクさんに続いてぜひにと言われてしまいました。しかも、特集のテーマに沿っているかぎり内容は自由、分量も予定は2ページだけど、3ページ、4ページになってもいい(原稿料は分量比例)と破格の好条件です。これなら書きたいことが書けそう、たぶん、ほぼ出版専業となったいまじゃなきゃ書けない話が書けると思ったのでお請けすることにしました。ある意味、お世話になった産業翻訳界に対する最後の恩返し、です。

というわけで、産業翻訳者人生を総括したような、かなり踏みこんだ記事になっています。ここまで踏みこんだ話は、過去、記事にもしてませんし、講演などで話してもいません(オフで会った人には、断片的にぽろぽろ話してきていますが。直接会うの、大事です)。今後することもないでしょう。ほんと、いまだから書けた、書いてしまったと思うし、雑誌という媒体だからこそ書けた、書いたという側面もありますし。密度も、結局6ページ分に達してしまった原稿を4ページに圧縮したので、すごいことになっています。ページ数から想像される以上の読み応えがあるはずです。(分量はお任せといっても、さすがに2ページ予定を6ページは無理。ムックとかなら話は別だったかもしれませんが。なので、編集部と相談しながら、基本的に内容を削らず、4ページぎちぎちまで圧縮しました)

先日のアルク『翻訳事典2019-2020』では、実際の翻訳でなにを考えどうしているのかを細かく段階に分けてまとめました(実際の翻訳は渾然一体となっているわけですが、わかりやすくするために)。対して今回の記事は、翻訳者としての事業戦略とその実践に焦点をあてて書いています。たまたま、もの作り(翻訳事典)と経営(通訳翻訳ジャーナル)、両輪について続けて書くことができたような感じです。

まあ、一番の肝は「自分の道は自分で選ぼうね」ということで、最近、あちこちで言ったり書いたりしてるのと変わらんじゃんと言われればそのとおりなんですが。(ちなみに、書いてるときのBGMは、TOKIOで有名になった中島みゆき『宙船』^^;)

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2011年2月23日 (水)

メキシコ人漁師とMBA

翻訳なんてまじくだらねぇし。」というブログに「何のために稼ぎ、いつ稼ぎを使うのか」という記事がありました。

メキシコ人漁師とMBAとの逸話です。おもしろいです。

必要な分だけ稼ぎ、残りの時間は悠々と暮らすメキシコの漁師。がんがん稼いで億万長者になり、悠々自適の生活にはいる夢を見るMBA。みなさんはどちらの生活をしているのでしょう。

私は基本的に前者。私をよく知らない人からは後者だと思われているようですけど。

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