『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』
しばらく前に仲間内で話題になっていたので読んでみました。翻訳にかかわる人、特に産業系の翻訳にかかわる人は一読しておくべき本だと思います。
著者が訴えたかったこととは別に、翻訳にかかわる人にとって大事なことが2点あると思います。
ひとつは、最近の機械翻訳がなにをどうしているのか、その概要がわかること。機械翻訳+ポストエディット(MT+PE)について考えるなら、このくらいは知っておくべきという基本の部分がわかりやすく解説されています。
先日の「翻訳者視点で機械翻訳を語る会」で、MTが不思議な挙動をするってSakinoさんが実例を挙げて語ってましたが、こんなやり方してるんだったら、そうなるのも当たり前だよなと思ってしまいました。たとえば、肯定・否定の訳しまちがいとか。そういう正確性より可読性を重視した仕組みになっているわけです。概要を斜め読みするにはこのほうがいいんだろうけど、これを下訳だと思うのはとても危険だとも思っちゃいます。
もうひとつは、我々の翻訳を読む人々の読解力がどの程度なのか、それが調査に基づいて語られている点。上記部分を読むと、MTはさいころ転がしているようなもので当てにならないことがわかるのですが、実は、人間も、さいころ転がすのと大差ない読み方しかできない人が少なくないのだそうで。
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