翻訳-スキルアップ(総論)

2014年6月19日 (木)

機械翻訳の懐疑論者は大きな見落としをしているのか~見落としの見落とし~

1年ほども前のことですが、知り合いのブログに「機械翻訳の懐疑論者は大きな見落としをしていないだろうか」という記事が投稿されました。この記事に対する反論を書いてみたいと思います。

半年ほども前に書いたのにアップロードを忘れていました。

この話、特に後半は、機械翻訳を使う人たちに共通する論理で、いろいろなところで陰に陽によく言われます(前半は後述するように、このページを書かれた人のうっかりまちがいです)。このようにはっきりとウェブ上に書かれているのをほかに見た記憶がないので、ここへの反論という形で書きますが、一般論として理解すべき内容だと思います。

取りあげるポイントは2点。「スピード」と「質」です。

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2012年10月 5日 (金)

不実な美女か貞淑な醜女か

翻訳業界の関係者ならピンと来ますよね。はい、2006年に亡くなった米原万里さんの傑作エッセイの題名です。

とてもおもしろくて、私も大笑いしながら読んだ記憶があるのですが……今日は、この本を紹介しようというわけではなく、『リーダーを目指す人の心得』に関連して、アマゾンのカスタマーレビューについていろいろと書かれている件に関連して、また、ちょっと書いてみたいと思います。

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2011年6月29日 (水)

翻訳は何から学ぶべきか

プロになるまでは、翻訳学校など、勉強する場というか、教えてもらえる場がいろいろと用意されています。翻訳の仕方、こういう文はこういう風に訳すといったことが解説された本もたくさんあります。また、翻訳出版された書籍を使い、原著と訳本を見比べて勉強するという方法もあります。

いずれも有効な方法だと思います。同時に、上記の方法でゆけるのは途中までだとも。

先日来、とりあげてきた「翻訳方言」の問題があるのであれば、上記の方法で学べるのはすべて「翻訳方言」だからです。

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2010年10月31日 (日)

河野一郎さんを迎えての勉強会

昨日、翻訳者仲間の勉強会がありました。年に1回というペースだけれど、互いから学ぼうとプロが集まる会(互学会)です。今回は趣向を変え、文芸翻訳をずっとやってこられた河野一郎さんを講師に迎えて行われました。

ブログを書いているヒマもない状態なのだけれど、欠席するのはあまりにもったいなくて参加。何も書かないのもあまりにもったいないので、ざざっとメモを……

事前に出された課題はAgatha Christieの"Philomel Cottage"とJohn Braineの"The Crying Game"。時間がなくて、当日の朝、ふたつの課題をざっと全訳したほか、複数の既訳がある"Philomel Cottage"については会場に向かう電車でざざっと既訳を眺めるくらいしかできなかったのが残念。

ともかく、2時半から6時半近くまでいろいろなお話を伺いました(5時半までの予定を大きく延長)。

ポイントを何点かメモしておきます。

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2009年12月20日 (日)

翻訳と営業

先日のJTF翻訳祭パネルディスカッションのとき、「翻訳者も営業力をつけるべきだ」との意見がパネリストとして登壇された特許翻訳者の時國さんから出ました。話の流れとしては、「営業力をつけて、自分の翻訳を必要としているソースクライアントと取引をすべき」というものだったと思います。

ソースクライアントとの直接取引を翻訳者全員ができるようになるとも思いませんし、そうなるべきだとも思いません。この点については、できないよりはできたほうが選択肢が広がっていいだろうし、できる人はやればいいけど、できなければできないで生きてゆく道はあるはず、そういう道を残すべきだと思います。

このあたりについては昔『実務翻訳を仕事にする』(宝島新書)に書いたので、ここでくり返すのはやめておきましょう。

営業については、パネルディスカッションで時國さんが触れられなかったけど、けっこう大事だと思うことがあります。

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2009年11月 7日 (土)

翻訳作業時間モデル

翻訳の作業を種類ごとに分割したら、それぞれにどのくらい時間がかかるものでしょうか。もちろん、訳文を考えながら辞書引きや入力を並行処理しているわけで、明確に分けられるものではないのですが、一応の目安として考えてみます。この目安があれば、それぞの作業をどのように改良していったらいいのか、考えることができると思いますから。

翻訳ツール-人間とパソコンの役割分担」にあげた表を再掲します。

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2008年6月19日 (木)

中堅はどこへ消えた?

もう、4~5年も前(2003年とか2004年あたり)のことだが……とある翻訳会社の社長さんにお会いしたところ、いわゆる中堅クラスの翻訳者がどんどん下手になって困っているという話があった。以前はけっこうよかったのにここ何年かですっかり下手になってしまった人が多いというのだ。

この社長さんが言われる中堅クラスというのは、料金は高いし忙しくてなかなか仕事を頼めないトップクラスほど上手ではないかもしれないけど、次々と仕事を処理しては、そこそこの料金でそこそこの品質の仕事をあげてくれる人たちを指す。こういう人たちがいてくれないと翻訳会社が成り立たないのだそうだ。

また、別の翻訳会社でトライアルの採点をしている人と話をしたときにも、同じような話を聞いた。そちらの場合は既存の翻訳者がどんどん下手になってるという話ではないが、トライアル受験者の中にいわゆる中堅クラスがほとんど見あたらなくなり、全体的にレベルがかなり下がってしまったというのだ。

前者は、同一人物の力が落ちているという話。なにがしかの理由で、とにかく、アウトプットの品質が落ちた人たちが存在するということだ。

本当の意味で力が落ちているのか、アウトプットが落ちているだけ(手抜きをするようになった)なのかは、これだけでは判断できないが……人間、慣れるのは早いので、手抜きが常態化すればそのレベルのアウトプットしかできなくなるものだ。これを私の仲間内では「手が荒れる」と言う。

後者は、いわゆる「中堅クラス」がトライアルを受けなくなったか、あるいは、「中堅クラス」が少なくなったか、いずれかだろう。

ここから先は私の推測にすぎないが……このふたつの話は関係があると思う。

手を荒れさせず、力を維持あるいは向上させた中堅クラスには、おそらく、力を落とした中堅クラスが担当していた仕事までが回り、忙しくて他社のトライアルを受ける暇などなくなったのではないか。もちろん、十二分な仕事があるのだから、トライアルを受ける必要もないはずだ。

一方、手が荒れた中堅クラスは仕事量が減り、トライアルを受けることが増えると思うが、手が荒れて力を落としたということは、トライアルの評価も中堅の一段下にしかならない。

この両方が相まって「トライアル受験者の中にいわゆる中堅クラスがほとんど見あたらなく」なってしまったのではないかと思う。

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2008年6月 8日 (日)

質と量-翻訳会社のメッセージ

2003年秋にあったJTF翻訳祭のパネルディスカッション、「翻訳は不況か」に私はパネリストとして参加した。

パネルでは、「コスト削減のためにTradosなどを使って再利用率を高め、単価は削減する。この場合、翻訳者は、ツールによる効率向上で処理量が増えるので、稼ぎを確保できる」……そんな話がよく出た。でも、翻訳会社の人たちが翻訳者に対して持つ不満は、「処理量が少ない」ではなく、「質が悪い・翻訳が下手」である。誰に聞いても、「仕事を安心して任せられる翻訳者が足りない」「上手な人はいないか」……そればっかり。つまり、品質の高い翻訳者が一番の願いでありながら、「質より量をこなした人にご褒美をあげます」って言ってるわけだ。これでは、翻訳会社が欲しいと思うような翻訳者が育つわけがない。

パネルの最後に、フロアからの質問や意見を聞いた。この質問・意見のコーナーで、私は、「翻訳会社の立場としてコストダウンに目が行くのはよくわかるが、優秀な翻訳者が育つようなインセンティブが存在するかという視点も持って欲しい。そうしないと、優秀な翻訳者が今よりもっと不足するようになる」といった内容のコメントをした。

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2008年6月 5日 (木)

体育会系翻訳トレーニング論

翻訳とスポーツは似ていると思う。特に、実力をつけるという観点において。

◎頭で理解してもダメ。体に覚えさせる

頭で理解しても体がそのとおりに動かなければどうにもならない。スポーツならこれは自明の理。例によって昔やっていたフィギュアスケートを例にしたい。

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2008年6月 1日 (日)

スキルダウンは速く、スキルアップは遅い

スキルアップは薄紙を重ねて塔を作るようなものだと私は思う(『勝ち残る翻訳者-高低二極分化する翻訳マーケットの中で』)。仕事をしながら毎日、毎日、薄い紙を積み上げて行くという感覚だ。1日の終わりに塔が高くなった実感など得られるはずがない。でも高くなったはずと思って毎日を過ごすしかない。実感がないからとつい立ち止まれば、下りのエスカレーターでどんどん落ちてしまうのだから。

スキルダウンのスピードは速い。驚くほど速い。また、スキルダウンに気づいて回復しようとした場合、下降した時間よりも長い時間を必要とすることが多い。

これが私の実感なのだが、データがなく、感覚的な話にしかならないのが困ったものだと思っていた。しかし先日、データのようなものを手に入れた。

千住真理子さんというバイオリニストがおられる。クラシックになんて興味がなくても知ってる人が多いだろう(私もその一人)。

千住さんは、子どものころから18年間、毎日、バイオリンの練習をしたそうだ。バイオリンのない生活など考えられないという日々。あちこちのコンクールで優秀な成績を収め、天才などと騒がれた。ところがあるとき、そのバイオリンを捨てることにしたという。いろいろと大変だったらしい。2年後、とあることをきっかけにバイオリンを再開。2年のブランクなら、倍の4年で元に戻るだろうと思ったそうだ。そして、練習して練習して……結局、元に戻ったと本人が感じるまで7年もの年月がかかったという。

2年分のスキルダウンを回復するのに3倍以上の7年もかかったという話にも驚いたが、それほどの期間、元に戻れない自分に耐えて練習を続けた精神力もすごいと思う。できていたことができないというのは苦しいものだ。その苦しみに耐えて7年も練習を続けるなんて、凡人にはできないだろうと思う。

少なくとも自分にはできないと思う。だから、スキルダウンしそうなことには手を出さない。苦しい思いはしたくないから。

ツールが大好きで自作までしているくせに機械翻訳ソフトや翻訳メモリを使うことには強く反対していたりするが、その理由はこんなところにある。

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