書籍-参考書(お勧め)

2024年6月 9日 (日)

毎日新聞の校正校閲コンテンツ

「学べるゲラ」という記事が、一部、無料公開されていました月額1500円の有料会員になると、ほかの回も読めるとのこと。また、別途2000円で校閲力講座(入門編)なる動画20本のセットもあるようです。

これから忙しくなるから少し後にはなるけど、ひととおり勉強してみたいと思いました。

校正・校閲でチェックされるようなことは、翻訳以前の基本的なことであり、我々もひととおりのことは学び、身につけておくべきだと思います。そんなわけで、中身をまだ見ていない状態で「お勧め」のところに書くのはどうかと思いつつ、自分の心覚えとして書いておくことにしました。

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2023年5月15日 (月)

『続・情報のなわ張り理論』

(2020年12月に投稿したはずのフォルダーに入っているのに、投稿がないようなので、遅ればせながら投稿します。大昔のことを「先日」とか書いているのは、当時書いたものそのままだからです)

~の専門家、だれそれは「……」と言っています。

みたいな文章、翻訳ものだとよくあるじゃないですか。ノンフィクションの書籍とか、あと、産業系でもウェブ関連とかで頻出。あれ、私、ダメなんです。「で?」と思っちゃう。英語で読んでいるとなんとも思わず、するりと入ってくるんですが、日本語だとだめ。語っている専門家と、その言葉を紹介している筆者と、読者である自分の距離感のようなものがつかめないって言えばいいのかなぁ。

たぶん、英語なら主語がすべてをコントロールするので、ああそうなのねとすんなり入ってくるのに対し、日本語は、どうしても語り手が言葉の端々ににじむので、うん、専門家の意見はわかった、で、あんたはどういう意見なのよって筆者に対して思ってしまうんじゃないかと。前投稿『知覚と行為の認知言語学:「私」は自分の外にある』で紹介した、英語は「傍観者的ないし超越的な観点からの見方が優勢」というあたりが効いてると言ってもいいのかもしれません。なんか、ヒトゴト感が漂う気がしてしかたないんですよね。

だというのに、私は、いま、よりによってノンフィクションの書籍に軸足を置いているわけで、この手の原文が数え切れないくらい出てきます。しかたがないので、この何年か、試行錯誤を重ねています。毎回、悩みに悩んで。その結果、前述のような紋切り型に比べればそれなりに収まりがつくように訳せているつもりではあるけれど、まだ、本当のところ、どうすればいいのか、どういう考え方で訳せばいいのか、よくわかっていません。

ですが、こういう話、翻訳者のあいだで出た記憶がないんですよね。いや、まあ、ずっと悩んでいる私自身、出してなかったりするんで、みんな、悩んでいるけど表に出してないだけかも知れませんけど。

ともかく、そんな状態なので、こんなこと感じるのは私くらいなのかなぁと思わないでもありませんでした。その懸念を払拭してくれたのが本書、『続・情報のなわ張り理論』です。(前置きなげーよ>自分)

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2022年9月18日 (日)

『「編集手帳」の文章術』

これはよかった。一読をお勧めします。

文章術というと、どういう材料をどう料理するかが中心のことが多く、「そのあたり、翻訳ではさわれないんだよなぁ」と思ってしまいます。この本もそういう部分がけっこうありますが、文の書き方や単語の選び方などに割いている紙面も多く、翻訳の仕事にもかなり役立ちそうです。

以下、役立ちそうだと感じた部分で私が思ったことです。詳しくは、本のほうを読んでみてくださいませ。

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2021年5月21日 (金)

『ふだん使いの言語学:「ことばの基礎力」を鍛えるヒント』

翻訳フォーラムシンポジウム2021の直前、帽子屋さんがこの本をブログで紹介したのでKindle版を買ってみました。ぱらぱらっと読んで……青くなりましたね。だって、これ読んだら、シンポジウムで私の話、聞く必要ないんですもん。そう言いたくなるくらい、かぶりまくりなんです。そんなふうですから、シンポでは、私も紹介する予定にしていました。時間切れでそこまで到達できませんでしたが。

ともかく。

翻訳者なら買いましょう。つべこべ言わずに、すぐ、買いましょう。全力でお勧めします。アマゾンの書評はいまいちですが、我々にはすごく有益な本です。

書かれているのは、文の部分同士がどういう関係になっているのかを解きほぐしていく手法。目の前にある文について検討したら、似て非なる文についても考えてみて、複数のケースを比較し、同じようになるのか違うのか、違っているならなにがどう違っているのかと考えを進めていくと、いろいろとわかることがあるわけです。今回のシンポジウムで私が語ったのがまさしくそういう話だったし、勉強会「日本語構文マラソン」でやっていたのも、要するにそういう話です。

検討する手法はたくさんあります。私がシンポで紹介したのはごく一部。本書には、もっといろいろ紹介されています。くり返し使って身につければ、「訳文をいじわるに読む」力が格段に上がること、請け合いです。

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2021年2月17日 (水)

『三行で撃つ』

「<善く、生きる>ための文章塾」と副題がついていることからもわかるように、文章の書き方の本です。対象読者として想定されているのは、一番にはプロのライターだけれど、ふつうに文章を書く人全般も視野に入っている、という感じです。

話はおもしろい。文章を書く人はこういうことも考えたりするんだなぁと勉強にもなります。

でも、翻訳に役立つかと言われると、微妙な気がします。

なにをどう切り取ってどう表現するのか。そこにかなりの比重が置かれているからです。たしかに、プロのライターをめざすならそこは大事。一番大事と言ってもいいかもしれません。でも、我々翻訳者の場合、そこは、原著者がすでにやってしまっている部分で、我々が手を出してはならないとも言える部分だったりします。

ライターさんは内容で勝負、我々は表現のみで勝負、ですからね。

こういうことを考えて原稿を書いてるんだと知れば訳文も変わる、という意味においては読んで損のない話ですし、だから、今回の記事も、一応は「お勧めする」側に入れているわけですが。

表現についても書かれています。書かれていますが、これまた、みずから書く人向けであり、我々は取り扱い注意かなと思うところもあったりします。

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2020年9月12日 (土)

トークイベント「英日翻訳に役立つ日本語学習のヒント」

日本語教育の研究も実践もされている横田亜朱紗さんを迎え、駒宮俊友さんが行われたトークイベント「英日翻訳に役立つ日本語学習のヒント」を聞いてみました。

こういう話、大事です。日本語の勉強って大事なのにやってる翻訳者が少なすぎると私は思っているので、このブログでも、日本語の話ばっかりしていたりするわけです。私自身、ここ20年、英語より日本語の勉強をしている時間のほうがず~っと長かったりしますし。

内容としては、例として、似て非なる表現の違いをいくつか取り上げ、そのあたりが解説されている本などが紹介されたりしました(↓)。また、少納言・中納言などのコーパスも簡単に紹介されました。

この部分で紹介された本、とりあえず、持っていなかったものは買ってみました。類似表現の使い分け辞典みたいなものはあんまりなかったりするので、ちょっと楽しみだったりします。翻訳の現場でどこまで使えるか、届いたら使ってみたいと思います。


■『くらべてわかる日本語表現文型辞典』

『くらべてわかる日本語表現文型辞典』は類似表現の使い分け辞典という感じで、かなり使えるのではないかと期待しています。

■『基礎日本語文法』

こちらは、いわゆる文法書。すでに持っているものがあるなら、とりあえず、買う必要はないかもしれません。私は、一応、持ってますが……あんまり参照した記憶がありません(^^;)

ちなみに、Sakinoさんは、『日本語の文法 』をよく参照されてます。

 

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『知覚と行為の認知言語学:「私」は自分の外にある』

これはいい。おすすめです。私は、あとでまた読む本、くり返し読んで考える本の棚に置くことにしました。

■『知覚と行為の認知言語学:「私」は自分の外にある』

去年、翻訳フォーラムのシンポジウムで「日本語は人がにじみやすい」という話をしたら、目からうろこだったと言われたので、以来、そこここで語るようにしています。なのですが、みんな、意外に気がついていないということは、もしかすると、私の思い込みにすぎないのではないかという懸念も感じてきました。

どうやら、そういうことではなかったらしいと安心させてくれたのがこの本です。

というわけで、この「人がにじむ」とはどういうことなのかと興味を持った方がおられたら、本書を読んでみることをおすすめします。

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2020年8月30日 (日)

『「は」と「が」』

「は」と「が」という使い分けがよく話題になる言葉について、包括的に分析した良書です。10年以上前に読んで、よくまとまってるなぁ、「は」と「が」でおすすめするならこの本かなぁと思ったのに、ブログ記事も書かず、ほったらかしてしまいました。今回、こうして紹介するためもあり、読み返してみましたが(また読む本に分類していたのに、10年以上も再読していなかった……)、やはり、よくまとまっているし、この10年ほどで、これ以上の本には出会っていないなぁと思いました。

『「は」と「が」』

先行研究をいろいろと紹介しつつ、それを統合する原理を提案する、という形で論が進みます。

日本語文法研究に一石を投じられれば、と、著者が前書きに書いていることからも明らかなのですが、本書は、いわゆる日本語文法の専門書に分類されるものでしょう。ですから、必ずしもわかりやすいとは言えません。専門書にしてはとてもわかりやすく書かれているとは思いますけど、ね。

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2020年8月24日 (月)

『漢字の使い分けときあかし辞典』

読みが同じ漢字をどう使い分けるのかを詳しく解説した本です。用字用語辞典などで、ごく簡単に、こういうときはコレ、こういうときならコレと紹介してあるものが、なぜそうなのかや、基本はこっちだが、こういう意味を強調したければこっちなどと解説してあります。

これはいい。

たとえば「まわり」。「周り」と「回り」はどう使い分けるのか。

たとえば「あがる・あげる」。「上がる・上げる」「挙がる・挙げる」「揚がる・揚げる」「騰がる・騰げる」はどう使い分けるのか。どういう場合はかな書きにするのか。

たとえば「はかる」。「測る」「量る」「計る」「図る」「謀る」「諮る」はどう使い分けるのか。どれはルビを振っておくべきなのか。

たとえば「ひく」。「引く」「牽く」「曳く」「挽く」「惹く」「魅く」「抽く」「退く」「弾く」「轢く」「碾く」はどう使い分けるのか。どれはルビを振っておくべきなのか。

「まわり」は1.5ページ、「あがる・あげる」は2.5ページ、「はかる」は4ページ、「ひく」にいたっては7.5ページにわたって説明されています。必要に応じて図などもあるので、けっこうわかりやすい。

(ちなみに、上記は、最近、実際に調べて確認したものばかり)

説明が詳しいということは、逆に言えば、収録されている言葉そのものはそれほど多くありません。でも、載っていればめっけもの。なんとなくこうかなぁと思っていたり、迷ったりするものが、こうだからこう、と説明されているのですから。

こういう漢字の使い分けを説明した本はいろいろあって、何冊か持っているのですが、いずれも、何回か引いただけで本棚のこやしになってしまいました。例外がこの本で、これだけは、使い分けに不安を感じたとき、とりあえず、引いてみることにしています。

『漢字の使い分けときあかし辞典』

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2020年2月12日 (水)

『ぼくは翻訳についてこう考えています』

翻訳に対する柴田元幸さんの考え方をまとめた本。あちこちで話したり書いたりされたものをまとめたもの、1項目1ページくらいにまとめたもののようです(Kindleで読んだのでよくわかりませんが)。

何カ所か、さまざまな意味で「おお!」っと思ったところを紹介します。まあ、なんというか、翻訳と真剣に向き合うと、みんな、似たようなことを考えるんだなぁって感じです(おこがましいぞ>自分)

■1. 「理想の翻訳」

「翻訳なんて、全部、間違っている」
「どう間違うのがいちばんいいのか」

同じことをセミナーとかではよく言っているので(「翻訳したら必ずなにかずれる」「全体としてのずれが小さくなるように調整する」)、ブログ記事も書いてるんじゃないかと探してみたのですが、みつけられていません。書いてないのかなぁ。「Stay Hungry. Stay Foolish.」に「何をどう訳しても、いろいろなところにズレが生じます。ある面のズレを小さくすると別の面のズレが大きくなったりするので、こうすればいいという道はありません」とは書いていますが。

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