翻訳-業界

2020年8月22日 (土)

翻訳フォーラム公開セッション@日本通訳翻訳フォーラム2020(JITF2020)

このところの記事でもちらっと触れているのですが、日本通訳翻訳フォーラム2020(JITF2020)なるオンラインイベントに、翻訳フォーラムとして登壇します。で、そのセッション、公開という運びになりました。つまり、JITF2020のチケットを購入していない人も見ることができるわけです。

ただし、リアルタイムの視聴のみ、です。

チケットを購入していれば、後日、自分の都合がいいときに見るとか、くり返し見るとか、いろいろできますが、チケットを購入していない人は、我々がセッションをしているときにしか見ることができません。ご注意ください。

日時:2020年8月24日(月)19時~
Zoomリンク:https://us02web.zoom.us/j/88535673213

お題は「翻訳者のなり方・続け方」。概要は、下の画像をクリックすると飛ぶJITF2020の紹介ページにあります。

せっかくの公開セッションです。みなさん、聞きに来てくださいね~。

| | コメント (0)

2020年8月18日 (火)

翻訳者の時給アンケートと年収アンケートの関係について

ひとつ前の記事、『実録! リーマン・ショック後、こうして復活した』(通訳翻訳ジャーナル)でも触れていますが、来週8月24日(月)、日本通訳翻訳フォーラム2020(JITF2020)に翻訳フォーラムとして登壇します(↓)。

その準備を進めているなかで、ふと思ったことがあるので書いておきます。資料を準備するのに、いろいろ調べたり確認したり、改めて読み直したりして、また、考えたりとか、あれこれするので、思いつくことがあったりするんです。

テリーさんが、以前にやられたアンケート2件(↓)について、です。

翻訳者の時給っていくら? [アンケート結果]

フリーランス翻訳者の年収アンケート結果

続きを読む "翻訳者の時給アンケートと年収アンケートの関係について"

| | コメント (0)

2020年8月17日 (月)

『実録! リーマン・ショック後、こうして復活した』(通訳翻訳ジャーナル)

8月21日に発売となる通訳翻訳ジャーナル2020年10月号に記事を書きました。

こういう情報発信も世代交代が必要なので、実は私はそろそろ引っ込むべきだろうなと思っていて、昨年2月の『道を拓く』(通訳翻訳ジャーナル特別寄稿)を最後にするつもりでいました。なのですが、今回は、コロナ不況が来たらどうすべきか、リーマン・ショックの体験を元に提案をという話だったので、もう1本、書くことにしたものです。『道を拓く』で、長すぎた原稿を圧縮した際、切り捨てざるをえなかった部分でもありますし。

(上の画像をクリックすると、アマゾンのページに飛びます)

続きを読む "『実録! リーマン・ショック後、こうして復活した』(通訳翻訳ジャーナル)"

| | コメント (0)

2020年2月27日 (木)

ひょうたん図

先日、ツイッターで、翻訳業界のイメージとしてひょうたん図の話が取り上げられていて、そういえば、あの図、ブログに上げておいたほうがいいなと思ったので紹介します。

「翻訳者の原点」と題した2012年JTF翻訳祭のプレゼンテーションで使ったものなので、もう、ずいぶんと古いものなのですが、イメージそのものは変わっていないと思います。

■翻訳業界のイメージ

20200226_jtf2012__2

市場の大部分は、品質はそんなに高くなくていいから安くというもの。ここが大きいし、最初はここから入るはずなので、つい、これしかないと思いがちですが、実はそんなことなくて、小さいながら、高品質・高価格の市場が存在します。

「高品質・高価格の市場なんて昔の話で、いまはもうない」と言う人もいますが、そんなことはありません。その人はみつけられていないのかもしれませんが、いまも、新規開拓でそういう取引先がみつかりますし、そうやってみつけている人があちこちにいます。もちろん、そうやってみつけられている人はごく少数なので、ないとしか思えない人がたくさんいるのもしかたないとは思いますが。

せっかくですから、図の見方も少し解説しておきましょう。プレゼンテーションでも同じようなことを語りました。

ポイントがいくつかあります。

続きを読む "ひょうたん図"

| | コメント (0)

2019年11月 1日 (金)

JTF翻訳祭2019のツイートまとめ

JTF翻訳祭2019関連のツイート、まとめができています。

『第29回 JTF翻訳祭2019』関連まとめ

ここしばらく書いた感想の元記事も、こちらにまとまっています。おそらく、今日以降に上がってくる翻訳祭レポートもまとめられることでしょう。なので、ここにリンク集を作らず、ツイートまとめをメモしておくことにします。

| | コメント (0)

JTF翻訳祭2019のレポートを読んで思ったこと-その3「機械翻訳に関する提言について」

思ったことシリーズ第3弾は、別のブログを読んで思ったことになります。

2019年翻訳祭④ 翻訳祭レポート①(会場到着からセッション1まで)」千里の道を一歩ずつ~ときどきひとやすみ~

こうやっていろいろとレポートしていただくと、参加できなくても多少のことはわかるので助かりますね~。興味関心のポイントは人それぞれですから、その場に行って自分の耳で聞くのが一番ではありますけど。

今回取り上げるのは、発表をされた開発者の方が翻訳者への提言としてあげられた3点です。

  • Light Post-editorを見下してはいけない
  • 質の高い訳を目指して努力することはもちろん重要だけど、プロならば相手の要求に応じて最適な(効率的な)方法で翻訳が行えるようになるべき
  • もっと機械翻訳について学ぶべき

続きを読む "JTF翻訳祭2019のレポートを読んで思ったこと-その3「機械翻訳に関する提言について」"

| | コメント (0)

2019年10月30日 (水)

JTF翻訳祭2019のレポートを読んで思ったこと-その2「MTPEと実力涵養」

JTF翻訳祭2019のレポートを読んで思ったことの第2弾です。前回に引き続き、屋根裏通信のレポートから(余談ながら、ここのイベントレポートはいつもすばらしいできです)。

翻訳祭2019(於:パシフィコ横浜)」@屋根裏通信

今回は、3時間目「NMT+PE=医学翻訳の新たな潮流」(津山逸)から。

>> 人力翻訳能力が高い翻訳者でなければよいPEはできない

これは、まあ、そうでしょうね。翻訳能力が高い翻訳者ほどPEをやりたがらないという問題がありますし、そこに理由があるというか、その理由がMTPEの欠点だったりはするのですが、「MTPEをする」を前提に考えるのであれば、上記のとおりでしょう。ほかのセッションでも、似たような話が出たようですが、まっとうに考えればそういう話になるので、当たり前だと言えます。

>> 100点を求める必要はない。「ちょうどよい」レベルでよい。

これは、MTPE推進派の方々がよく言われることですが、しごく妥当な話だと思います。基本的にコスト削減が目的なわけで、MTPEにおいては、「ちょうどよい」レベルを超える部分は過剰品質だと考えるべきでしょう。

また、レベル40のMT出力をレベル60まで引き上げるなら最低限の手直しですむかもしれないが、その先、レベル60→レベル80とか→レベル90とかは加速度的に修正量が増え、そのどこかで「訳し直した方がはやい」となってしまいます。

というわけで、このあたりまでは、推進に賛成している方の意見として妥当ですねという感じなのですが……

>> ただし、常に100点のものができる実力はつけておく必要がある

はぁ?

「MTPEをする」を前提に考えたとき、その力、どうやって身につけるんでしょう。百歩譲って、その力がついてからMTPEをやれということだとしても、その場合、その力をどうやって維持するんでしょう。

何点なら「ちょうどよい」レベルなのかは案件によって異なるんでしょうけど、でもそれは、当然ながら、100点より低いわけですよね? ご本人も、「100点を求める必要はない。『ちょうどよい』レベルでよい」と言われているわけですし。毎日毎日、下手すれば1年365日、朝から晩まで、60点なのか70点なのか80点なのか、ともかく、「ちょうどよい」レベルのアウトプットを続けて、100点の力、維持できるんですか?

寝言は寝てから言ってください。

続きを読む "JTF翻訳祭2019のレポートを読んで思ったこと-その2「MTPEと実力涵養」"

| | コメント (1)

2019年10月25日 (金)

逃げ切り世代

このところMTが業界内で話題になっていますが、その関係でキーワードになっているように思える言葉があります。標題の「逃げ切り世代」です。今年のJTF翻訳祭でも、この言葉が出てきたというツイートを見かけたりしています。

その状況を見ていて思ったことを記しておきたいと思います。

■「逃げ切り世代」など存在しない

いや、まあ、私も、今年はじめ、通訳翻訳ジャーナルに書いた記事で「逃げ切り世代」なる言葉を使っていたりするのですが……でも、改めて考えてみると、「逃げ切り世代」などというものは、基本的に存在しないのだと思いました。

仮に、今後、MTPEなりMTなりがどんどんこの業界を侵食していくとして、どの「世代」だったら逃げ切れるのでしょう。70歳以上? 60歳以上? 50代は? 40代後半くらい以降?

70歳以上とか60歳以上とかだったら、逃げ切れなくなったら引退すればいいと思っている人も少なからずいるでしょう。そういう人は、ある意味、たしかに、逃げ切れますね。でも、なにがしかの理由で、死ぬまで働きたいとか××までは働きたいとか思っていたら、逃げ切れない可能性が出てきます。

だいたい、翻訳は実力の世界なわけで、実力がどのレベルなのかによって、いつごろ、MTPEなりMTなりに「追いつかれる」のか、大きく違ってきます。言い換えれば、年齢と関係ないところで決まるわけです。つまり、「世代」で逃げ切れるなんてことないんです。

実力と年齢と仕事の種類とによって逃げ切れる人もいれば逃げ切れない人もいる。そのような状況で、最終的に逃げ切れた人は、のちに、「自分は逃げ切り世代だった」と言えますが、逃げ切れなければ、「逃げ切り世代だと思ったんだけど……」となるだけのことでしょう。

結局、「逃げ切り世代」など存在せず、「逃げ切れた世代」が後に出てくるだけのことなんじゃないでしょうか。

■逃げ切り世代と思うのは危ない

さらに、自分は逃げ切り世代だと思うのはかえって危ないとも言えます。

なぜか。

続きを読む "逃げ切り世代"

| | コメント (2)

2019年10月23日 (水)

著作権――許諾・引用・盗用……

書かれたモノには著作権があり、他人が勝手に使うことは許されません。ほかの人が書いたモノを使いたければ、許諾を取るか、引用にするかしなければなりません。

■許諾

これはわかりやすいでしょう。著作権を持つ人に「使っていいよ」と言ってもらえば使えるよという話ですから。もちろん、許諾を申請したら、いくら払ってねということになるかもしれません。その場合は、お金を払って使うか、使うのをあきらめるかになりますね。

■引用

許諾を取らないと他人の文章を引けないとなると、いろいろ面倒になります。たとえば、論文などでは、こういう過去の研究を踏まえ、今回はこういう研究をしたといったことを冒頭に書いたりしますが、既往研究の関係者全員から許諾を取るなどとてもできることではありません。だから、一定の条件を満たせば「引用」として自由に使えることになっています。

逆に言えば、その条件を満たさなければ引用にはなりません。「以下引用」と書けばすむといった話ではないのです。

■引用の要件

表現のしかたはいくつかありますが、わかりやすく列挙すると、以下のとおりです。

  • 引用する必然性があること
  • どこからどこまでが引用なのかを明示すること
  • 出典を明記すること
  • 引用部分が従であること

たとえば、「以下引用」などと書き、新聞にこう書いてあったとか、ある英文がこういうふうに翻訳されていたとか続けて、そこに出典を添えても、2番目と3番目の条件しか満たせないわけです。

じゃあ、どうすればいいのか。

質的にも量的にも引用部分が従となるくらい、自分の考えを書けばいいのです。そうすれば、自分の考えを支持する材料やそれに対する反対意見、あるいは、自分がそういうことを考えたきっかけなどとして「引用する必然性」も生まれます。

要するに、それだけの手間暇をかければ「引用」として勝手に使ってもいいよ、そういう手間暇かけず他人のふんどしで相撲を取るのはまかりならんよ、というわけです。

■盗用

許可を得ての利用でもなく引用でもないのは「盗用」です。

無断引用なるわけのわからない言い方をする人がいますが、引用とは、上記のように、一定の条件を満たせば無断で使っていいよという仕組みなので、引用が無断なのは当たり前です。

この引用、著作権と縁が深いはずの翻訳業界関係者でも誤解している人がたくさんいます。前述の「以下引用」と書いて盗用している人とかもそうですね。「以下転載」というのさえ、見たことあります。

■職業人としての倫理

さて、ここまで、許諾・引用・盗用の法律的な話をしてきたわけですが、我々としては、もうひとつ、倫理的なことも考える必要があるのではないでしょうか。

翻訳という我々の仕事を支える根幹のひとつが、この著作権です。翻訳成果物にも著作権があるから、お金を払ってもらえて、プロ翻訳者という職業がなりたつわけです。

だから、我々は、少し神経質なくらいに著作権を尊重すべきだと私は考えています。著作権に守られているから仕事ができている我々が他人の著作権をないがしろにするようなことをしていたら、世の中、だれが著作権など尊重してくれるのでしょう。

続きを読む "著作権――許諾・引用・盗用……"

| | コメント (2)

2019年2月27日 (水)

私が日本翻訳連盟の会員になっている訳

来年度も日本翻訳連盟(JTF)の個人会員を続けることにして、さきほど、会費を振り込みました。

理事をしていた当時、会員になってなんのメリットがあるんだって、よく尋ねられました。会費分のメリットが感じられない、と。いろいろと思うことはあったのですが、理事という立場では言えることと言えないことがあって、もごもごと歯切れの悪い返事をしていました。

理事は退任したのではっきり書いてしまいましょう。

JTFのような団体の場合、会費分の「メリット」が払った個人に戻ることはありえません。特に金銭的なメリットなんてありえない。そんなもんです。税金だって、払った金額以上のメリットなんて返ってきません。どこかで儲けないかぎり原資がないのだから当然です。

JTFの会員になるメリットは、個人翻訳者を代表する理事に発言権が出ること、その理事を通じて自分たちの想いや利害を翻訳会社に訴えられること、そのような動きを通じて翻訳会社を、ひいては翻訳業界を変えられること、です。これができる組織は、現状、JTFしかありません。

続きを読む "私が日本翻訳連盟の会員になっている訳"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧