翻訳-業界

2019年2月27日 (水)

私が日本翻訳連盟の会員になっている訳

来年度も日本翻訳連盟(JTF)の個人会員を続けることにして、さきほど、会費を振り込みました。

理事をしていた当時、会員になってなんのメリットがあるんだって、よく尋ねられました。会費分のメリットが感じられない、と。いろいろと思うことはあったのですが、理事という立場では言えることと言えないことがあって、もごもごと歯切れの悪い返事をしていました。

理事は退任したのではっきり書いてしまいましょう。

JTFのような団体の場合、会費分の「メリット」が払った個人に戻ることはありえません。特に金銭的なメリットなんてありえない。そんなもんです。税金だって、払った金額以上のメリットなんて返ってきません。どこかで儲けないかぎり原資がないのだから当然です。

JTFの会員になるメリットは、個人翻訳者を代表する理事に発言権が出ること、その理事を通じて自分たちの想いや利害を翻訳会社に訴えられること、そのような動きを通じて翻訳会社を、ひいては翻訳業界を変えられること、です。これができる組織は、現状、JTFしかありません。

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2019年2月22日 (金)

河野弘毅さんの「機械翻訳の時代に活躍できる人材になるために」について

特別寄稿、『道を拓く』を書いた通訳翻訳ジャーナル2019年4月号が発売になり、私の手元にも献本が届きました。私の記事と並んで特集の「通訳者・翻訳者がやるべきこと」に掲載されている河野弘毅さんの記事「機械翻訳の時代に活躍できる人材になるために」を読んでいろいろと思ったことがあるので、雑ぱくになりますが、メモしておこうと思います。

本論に入る前に、ちょっと予備知識を。

まずは、この記事を書かれた河野弘毅さんについて。略歴が記事にありますが、もうちょっと詳しく説明しましょう。

河野さんは、私と同じようにもともと技術系の出身で、こういう技術が大好きです。翻訳メモリー登場時、業界に先駆けて活用してかなりの成功を収め、業界で有名になりました。私が専業翻訳者として独立したころは、翻訳メモリー導入の成功者、時代の寵児という感じで、業界誌などにもよく登場していました。しかし、その後、翻訳メモリーが普及してレペティション部分を中心に単価がどんどん下落したこともあって、経営していた翻訳会社を清算。その後も、翻訳会社に勤めるなど、ほぼ一環してこの業界にかかわっています。いまは、機械翻訳のコンサルタントが主業務です。

記事で「発言者の『ポジション』に注意して話を聞く必要がある」とご本人も書かれていますが、河野さんのポジションは「機械翻訳の導入を進める側」、もっとはっきり書けば「機械翻訳の導入が進んでくれないとご飯が食べられない人」です。

私との関係もざっと書いておきましょう。

私も技術大好き人間なので、河野さんとは、同じようなものに興味を引かれる者同士、技術とその影響について、ずいぶんと議論してきました。いわゆる翻訳会社側の河野さんと徹底的に翻訳者の私ということから、立場が大きく異なり、その結果、功罪の判断も真逆になることが多かっただけに、まあ、よくやりましたね。河野さんは自分で翻訳をしていた時期もあるので、翻訳作業に対する影響の部分についての議論にもついてこられるので、議論は多岐にわたりました。

仲はいいですよ。河野さんがどう思っておられるのかはわかりませんが、私は、業界内で仲のいい人と考えたとき、河野さんは上位にきます。河野さんとなら、議論でいろいろと理解を深めることができますから。オンラインのコミュニティがSNS中心になったあたりからは、オンラインで議論がしにくくなってしまい、河野さんと議論することもほとんどなくなったのが残念なくらいです。もちろん、いまでも、会って時間があればいろいろと意見を交換をする間柄です。

で、今回の記事ですが、かなりよく書かれていると思います。上手にまとめてあるという意味においても、バランスよく書かれているという意味においても。いかにも機械翻訳推進派という書き方ではなく、現役翻訳者に一定の配慮がなされているという意味においても。

それでも、どうしても突っこみたいところが私にはあるんです。紙面の都合もあって、そこはさらっと流したんだと河野さんは言われるかもしれないのですが。いや、違うな。Buckeyeさんなら、そこ、突っこんでくると思ったよと言われそう(笑)

長くなりました。いくらなんでも前置きはこのくらいにして、そろそろ、本題に入りましょう。相手が河野さんなので、遠慮なく突っこみます。

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2019年2月21日 (木)

産業系の新規開拓で訳書は武器になるのか

特別寄稿ということで記事を書いた通訳翻訳ジャーナル、発売になりました。予約された方のところには、そろそろ届くころでしょうか。

そんなことを考えていたら思いだしたことがあります。通訳翻訳ジャーナルの記事には書きわすれたんですが(思いだしても入れるスペースがなくて割愛したと思いますが)、「訳書があれば違う」というのもよく言われたんですよね。「Buckeyeさんは訳書があるからいいけど……」と。

たしかに、訳書を産業系の営業に活用している人もいます。でも、私は、産業系の新規開拓時、訳書の話を出したことがありません。取引しているうちに、「~という本、訳者が同姓同名ですけど、もしかして本人ですか」とばれたことは2~3回ありましたけど。

翻訳会社の人は翻訳や翻訳者に関心があるので私に訳書があることもご存じの方が多いのですが、私は、ほとんどソースクライアント直で仕事をしてきたので(翻訳会社の新規開拓は独立前がほとんどで、独立後は1社だけ。手伝ってほしいと先方に言われて手伝ったのは、何社かありますが)、新規開拓はソースクライアントのみのようなものでした。ソースクライアントの担当者は、私のことなんて知りません。もうもう、どこの馬の骨、ですよ。アプローチしても完全に無視されたり、いくらでもありました。

まあ、その中には、訳書があると言えば興味を引かれて話くらいは聞いてくれた人がひとりかふたりかいたかもしれません。でも、私としては、純粋に、その会社から出てくる案件をどう訳すのか、その品質と値段の見合いで評価してほしかったんですよね。そこを評価してくれる先と仕事がしたかったというか。そういう人の役にたちたかったというか。

前述のように翻訳会社の人は翻訳や翻訳者に関心がありますし、訳書があるというのは、業界的に一定レベル以上の力があるという証明にもある程度なりますから、翻訳会社相手に営業するのであれば訳書はけっこう武器になるのかもしれません。

ソースクライアント直の営業でも、そのクライアントの専門領域ぴったりの書籍を訳しているのであれば、訳書が武器になるかもしれません。私の場合、産業系は技術中心、出版はビジネスものと領域がずれていたので、そういう意味でも、あまり利用価値はなかったんじゃないかと思います。

あと、出版で本を訳しているあいだ、自分のところの仕事がおろそかになるんじゃないかと思われる危険も考えられるので、どちらがいいのか、けっこう微妙なケースもあるんじゃないでしょうか。

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2019年2月15日 (金)

『道を拓く』(通訳翻訳ジャーナル特別寄稿)

2月21日に発売となる通訳翻訳ジャーナル2019年4月号に記事を書きました。

上の画像をクリックすると、アマゾンのページに飛びます。そこにある内容紹介

【特集1】
今もこれからも、求められる人材になるために─
通訳者・翻訳者がやるべきこと
* 将来のために、今、やるべきこと 翻訳編・通訳編
……

にある「将来のために、今、やるべきこと 翻訳編」(↓)です。

■特別寄稿『道を拓く』

20190215__2

連盟の理事みたいな役職もそうなんですけど、こういう記事を書く役割もいろんな人が担うべきで、いいかげん、世代交代すべきなんじゃないかと思っています。ですが、今回は、アルクさんに続いてぜひにと言われてしまいました。しかも、特集のテーマに沿っているかぎり内容は自由、分量も予定は2ページだけど、3ページ、4ページになってもいい(原稿料は分量比例)と破格の好条件です。これなら書きたいことが書けそう、たぶん、ほぼ出版専業となったいまじゃなきゃ書けない話が書けると思ったのでお請けすることにしました。ある意味、お世話になった産業翻訳界に対する最後の恩返し、です。

というわけで、産業翻訳者人生を総括したような、かなり踏みこんだ記事になっています。ここまで踏みこんだ話は、過去、記事にもしてませんし、講演などで話してもいません(オフで会った人には、断片的にぽろぽろ話してきていますが。直接会うの、大事です)。今後することもないでしょう。ほんと、いまだから書けた、書いてしまったと思うし、雑誌という媒体だからこそ書けた、書いたという側面もありますし。密度も、結局6ページ分に達してしまった原稿を4ページに圧縮したので、すごいことになっています。ページ数から想像される以上の読み応えがあるはずです。(分量はお任せといっても、さすがに2ページ予定を6ページは無理。ムックとかなら話は別だったかもしれませんが。なので、編集部と相談しながら、基本的に内容を削らず、4ページぎちぎちまで圧縮しました)

先日のアルク『翻訳事典2019-2020』では、実際の翻訳でなにを考えどうしているのかを細かく段階に分けてまとめました(実際の翻訳は渾然一体となっているわけですが、わかりやすくするために)。対して今回の記事は、翻訳者としての事業戦略とその実践に焦点をあてて書いています。たまたま、もの作り(翻訳事典)と経営(通訳翻訳ジャーナル)、両輪について続けて書くことができたような感じです。

まあ、一番の肝は「自分の道は自分で選ぼうね」ということで、最近、あちこちで言ったり書いたりしてるのと変わらんじゃんと言われればそのとおりなんですが。(ちなみに、書いてるときのBGMは、TOKIOで有名になった中島みゆき『宙船』^^;)

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2019年1月31日 (木)

アルク『翻訳事典2019-2020』

毎年出ているアルクの『翻訳事典』、最新版が本日発売になりました。

私も記事をひとつ書いています。内容紹介の

3.機械翻訳と人間翻訳者
旬の話題である機械翻訳について、翻訳者の立場に立って識者が解説します。他誌にはない必読記事。

というところ。3パートあるうち、最後が私です。といっても、特に新しいことを書いているわけではなく、このブログや翻訳フォーラムシンポジウムなどでいつも言っていることをまとめ、機械翻訳+ポストエディットとの関係を指摘しただけとも言えるのですが。

私の前では、機械翻訳の出力文にはどういう問題があるのかを、Sakinoさんが具体的に指摘してくれています。こちらは、ほとんどの方にとって初見になるのではないかと思います。

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2019年1月23日 (水)

翻訳者視点で機械翻訳を語る会

先日(1月14日)、「翻訳者視点で機械翻訳を語る会」なるものに参加してきました。

正直なところ、私には、無縁の話なのですが。機械翻訳+ポストエディット(MT+PE)に関わる必要のまったくない分野で仕事をするようになっていますし。そうなってからもしばらくは、自分と関係はないが業界の健全化をめざして情報を集め、翻訳会社などにできるかぎりの働きかけをするといったことをしていましたが、日本翻訳連盟の理事も退任し、そういう立場でもなくなったので。なので、もともと参加はしないつもりでいました。ですが、主催するコアメンバーから、できれば来てくれとの話があり、行くことになりました。

それはともかく。

かなりインパクトのある会になり、参加した人がいろいろな感想をネットに上げられています。

当日どういう話があったのかは上記を読んでいただくとして、思ったことをメモしておきたいと思います。かなりとっちらかった記事になりますが、あくまで雑感ということで読み流していただければ。

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2017年2月24日 (金)

機械翻訳+PE vs. 人間翻訳

「人間対人工知能の翻訳対決」なるものが韓国で行われたそうです。

■人間、人工知能と「翻訳対決」で24.5対10の圧勝

「人間対人工知能の翻訳対決」世宗大学で開催

人間4人と人工知能翻訳ソフト3つが同じ課題を翻訳し、それを専門家3人が採点という形で、結果は、30点満点で人間が平均24.5点、機械翻訳が10点と人間の圧勝だったとのこと。

正確性なども含めて採点するなら、まだまだ人間が圧勝するのは当然で、予想どおりの結果だと言えるでしょう。ですから、そのあたりについては特にコメントしません。

着目したのは記事の末尾、「機械翻訳を活用する翻訳家」うんぬんのくだりです。

機械翻訳を活用した翻訳、機械翻訳を下訳に使う翻訳、機械翻訳+ポストエディットなど、言い方はいろいろとありますが、やり方自体は20年も前から話題になっていますし、実際、そういうやり方をしている人もそのころからいます。

正直、ああまたかと思う話なのですが、今回は、個人が言うのではなく、こうして報道までされるくらいに世の中がなっているわけで、それだけ注目度も高い、つまり、広がる可能性も高いのだろうなと思うわけです。

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2017年2月22日 (水)

トランスクリエーション?

数年前から「トランスクリエーション」なる単語を耳にするようになりました。つい先日発売された通訳翻訳ジャーナル2017春号にも「広告・マーケティング翻訳の新しい形 トランスクリエーションとはどんな仕事か」という記事が載っています。

上記記事によると、トランスクリエーションとは「ソース言語のコピーが喚起する感情や印象を把握し、それと同じものを喚起させるようなコピーをターゲット言語で書くこと」だそうです。

私の正直な感想は「なにそれ。それって単なる『翻訳』じゃん」です。

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2016年6月 9日 (木)

日本翻訳連盟の理事を退任

昨日の社員総会をもって、一般社団法人日本翻訳連盟(JTF)の理事を退任しました。全部で7期14年、後半の5期10年は常務理事という肩書きになっていました。

理事になったのは、とある理事さんから、「JTFのイベントは翻訳者の参加が少ない。特に若い翻訳者が少ない。若い翻訳者が参加できるようにしたいので手伝ってくれないか」と言われたからです。それから15年ほど。最近は、翻訳祭などのイベントに翻訳者もかなりの人数が参加するようになっていますし、若い人の姿もかなり見られるようになりました。まあ、増えた理由は、私のみの功績ではもちろんありませんし、それどころか、私の功績が多少なりともあったのかなかったのかもわからないわけではありますが。

それはともかく。

団体の役職というのはある程度の周期で交代していくほうがいろいろな意味でいいと私は思っています。組織の新陳代謝という面でも交代すべきですし、役職が人を作るという面でも交代してなるべく多くの人がその恩恵に浴したほうがいいでしょう。どこかでしゃべる機会を与えてもらえる、話を聞いてもらえるという面でも、肩書があるほうがよかったりします。そんなこんなを考えると、常務という役付理事になって10年というのは長すぎたくらいだろうとも思います。

実現したいと思って根回しをしていた案件を最終的に形にできていないのが心残りですが、今回の役員改選で新たに個人翻訳者理事になった方々を含め、あとは残る方々に託すことにします。

今後は、一会員として日本翻訳連盟にかかわっていくことになります。

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2014年6月11日 (水)

JTF翻訳業界調査(個人翻訳者編)の報告

昨日、日本翻訳連盟(JTF)の総会・基調講演・懇親会がありました。今年の基調講演は、私も委員としてかかわった「第4回翻訳業界調査」の報告です。

翻訳企業編は別の委員が報告し、私は個人翻訳者編を担当。私が使える時間は30分くらいしかなかったのですが、調査報告書の内容をざあ~っと駆け足で紹介したあと、報告書作成後に追加でやってみた解析を交えて報告しました。

業界関係の調査は、翻訳系の雑誌で昔からやられていますが、集計はいわゆる単純集計ばかりです。それはそれで有用ですし、それ以上の分析はとたんに大変になるのでふつうは単純集計しかやらないものなのですが……今回は、名前やメールアドレスなど、個人を特定できる情報を削除した状態で生データを受け取り、いろいろなパラメーターのクロス分析などをしてみたわけです。このブログでも、単純集計されたデータをもとに2次分析をいろいろとしていますが、今回は、元データにアクセスできるので、いままでわからなかったこともわかるはずです。

●雑誌に掲載された調査結果をもとにした2次分析

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