「の」が連続したときの書き換え例
10年以上も前、2010年に書いて投稿したつもりで、なぜか投稿されていなかったらしいものを見つけたので、遅ればせながら。関連投稿として、「『の』の連続は避ける」、「連続を避ける」、『「編集手帳」の文章術』あたりもどうぞ。
■「の」の連続
「の」の連続でよくあるパターンが、「A、B、Cなどの××」と「などの」に絡むものでしょう。実例列挙はよくある形ですからね。
まず、Cが「××の××」となっているとき。そういうときの処理としては(↓)あたりが定番でしょうか。
●「など、」と「の」をなくす(この書き換えは不可能なケースあり)
「といった」「をはじめとする」などと書き換える
あと、翻訳では用いられることが意外なほど少ない気がしますが、(↓)のような方法も考えられます。
列挙されているものの順番を変え、「××の××」となっていない項目を最後にもってくる
この方法、『日本語の作文技術』にある「形容する表現を複数並べるとき、原則として、長いものから短いものへと並べる」とも、多くの場合、整合します。「××の××」となっているものはなっていないものより長いことが多いですからね。ちなみに、英語は後ろへ後ろへ情報を追加してゆくので、"such as"、"including"などのあとに列挙するとき、短いものから長いものへと並べられる傾向があります。つまり、原文の順番を踏襲すると日本語で書くときと逆の順番に並べてしまう可能性がけっこうあるのです。原文の並びに意味があり、訳文も同じ並びにすべきときもありますが、原文の言語的な制約に合わせて並べてあるだけのときも多いはずです。そのような場合は、訳文は訳文側の言語的制約に合わせて並べてしまえばいいわけです(正確には「並べるべきです」ですね)。
もっとも、「××の××」を最初に持ってゆくと、「××の」がどこまでかかるのかわかりにくくなるという問題が発生するので注意が必要です。
英語側が列挙の最後に「~ of ~」みたいになっていて、この「of ~」をどこまでかけたいのかいくら調べても考えてもわからないとき、「××の××」を最初に持ってゆき、同じようにわからない訳文にして逃げるという考え方もあります。最後の最後、どうしようもない場合には、ですけど。
「の」の連続でよくあるもう一つのパターンは、「A、B、Cなどの××」で「××」が「××の××」となっているときでしょうか。「A、B、CなどのEのD」という形です。
こちらは小手先処理では対応しにくいものが多いはずです。(↓)のどちらなのか、考えなければわからない構造であり、前述のような小手先の対応では、この構造が抱える問題が解消されないからです。
((A、B、Cなど)のE)のD
(A、B、Cなど)の(EのD)
結局、もう少し大きく書き換える必要が出てきます。定番的な処理としては(↓)あたりでしょうか。
●(EのD)の「の」がなくなるように表現を変える
(EのD)だけで文を完結させ、列挙部分は次の文にわける
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