主語と述語の呼応~そしてテトリス
英日翻訳の校閲などを仕事にされている久松さんのツイートから。彼女は、我々翻訳者にとって参考になることをよく書いてくれています。翻訳関係者にはフォローをお勧めします。
誤解なく伝わる日本語を書くためのセルフチェックするポイント5つ
— 久松紀子/英日翻訳校閲、英語学習参考書および教材の執筆・校閲 (@merlin_witch) January 9, 2023
①主語と述語が呼応している②修飾語と被修飾語が近くにある③コロケーションが適切④同音異義語の変換ミスがない(ケアレスミスは「雑な人」と評価される)⑤一文ずつ接続語を入れて読んでから改めて削除(ロジックがチェックできる)
上記、基本的にそのとおりです。ただ、1点、私としては違う言い方をするなぁというところがあったので、そこについて書いておきたいと思います。
>> ①主語と述語が呼応している
これは「主語がなるべく揺れない」(=「主語の変化をなるべく減らす」)にすべきだと私は思っています。日本語の場合、主語は述語に従うため表に出ていないケースがよくあります。そのとき「主語と述語は呼応している」ことになります(正確に言えば、述語に呼応するものが暗黙の主語)。
ではあるのですが、「主語と述語がずれている」と一般に言われるのは、実際のところ、暗黙の主語が揺れているケースを指すことが多いと思います。ほかの述語と呼応している主語と無理やり組み合わせて考えてしまうからでしょう。
そのとき、暗黙の主語を「が」格で明示しても、「主語と述語の呼応」は実現できます。でも、それが主語と述語がずれていたときより読みやすく、誤解なく伝わるのかと言えばノーです。多少はマシかもしれませんが、せいぜい、その程度です。
根本的には、「そういう主語が揺れないように、揺れが少なくなるように述語を調整する」作業が必要になります。これをすると、「が」格で明示しなければならない主語もがさっと消えたりします。私が「テトリス」と呼んでいるやつです。
ちなみに、テトリスで消す対象は主語以外のことも少なくありません。「は」などで提示するテーマというか視点というかをうまく設定し、それが揺れないように書いていけば、主語にかぎらずいろいろなものがごそっと消えたりするわけです。
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