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2020年10月

2020年10月 1日 (木)

『Coders(コーダーズ) 凄腕ソフトウェア開発者が新しい世界をビルドする』

コードとかプログラムとか言われるものと無縁の生活をしている人はほとんどいないでしょう。職場でコンピューターを使う人や自宅にコンピューターを持っていて使っている人も多いですし、スマホでLineやFacebookを使っている人はもっと多いでしょう。いまだにガラケーという人も、ショートメッセージなどは使っているはずです。ゲーム機でゲームを楽しむのも、そのゲーム機に対応したコードがあるからできることです。

便利なアプリやおもしろいゲームにはまり、気づいたらびっくりするほどの時間を取られていた、なんてこともよくあります。ある意味、我々の生活は、いま、コードに支配されていると言ってもいいでしょう。

本書は、そのコード、コンピューターのソフトウェアを作る人々(コーダー)に焦点を当てたものです。

■Coders(コーダーズ)

話は、いまのようなデジタル式コンピューターが登場したころに始まり、どういう人がなぜコーダーになり、どうコーダーの世界を作ってきたのか、基本的に時系列で紹介されていきます。

当初、女性が中心だったのはなぜなのか。それがなぜ、どのような経緯で男性中心になったのか。ソフトウェアは規制と相性が悪いように見えるが、どういう経緯でそうなったのか。どういう人がコーダーに向くのか。実際、どういう人がコーダーになっているのか。ソフトウェア業界は能力主義で、実力だけが物を言う世界だと言われているが、それは本当なのか。などなど。

当然、たくさんのコーダーが登場します。こう言うとなんですが、わりと普通っぽい人から、一癖どころか二癖も三癖もあるような人まで。

そういう仕事をしている人や、そういう人が身近にいる人が読めば、ああ~、こういう人いるいる、こういうことあるあると思ってしまうこと、まちがいありません。

私自身、学生時代はプログラミングのバイトをしていて(某上場企業のシステム開発に携わったり)、ソフトウェア会社に就職するのだと学科の友だちに思われていましたし、いまも、翻訳に使うツール(それなり規模のソフトウェアです)を作って公開しているくらいなので、自分にも当てはまる話もいろいろと出てきて、楽しく仕事をすることができました。

ちなみに、翻訳者っていうのも、コーダーにわりと近い人種な気がします(^^;)

また、帯にも書かれていますが、いま、ヨノナカに広く提供されるサービスはコードという形を取ることが増えています。これをどういう人が作っているのか、そのせいでどういうサービスになりがちであるのか、そのあたりを知らなければビジネスが成り立たないとか、そのあたりを知っているか否かでビジネスの成否が分かれるといったことも少なくないでしょう。

■帯

 

コンピュータープログラムなんてわからなくても本書は読めます。プログラムそのものはほとんど出てきませんし、たまに出てくるときは、ちゃんと説明がついています。

現代を生きる基礎教養として、読んでおいて損のない1冊だと思います。

今回、訳者あとがきは書いていないので、裏話的なことだけ、少し。

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