« 2020年8月 | トップページ | 2020年10月 »

2020年9月

2020年9月12日 (土)

トークイベント「英日翻訳に役立つ日本語学習のヒント」

日本語教育の研究も実践もされている横田亜朱紗さんを迎え、駒宮俊友さんが行われたトークイベント「英日翻訳に役立つ日本語学習のヒント」を聞いてみました。

こういう話、大事です。日本語の勉強って大事なのにやってる翻訳者が少なすぎると私は思っているので、このブログでも、日本語の話ばっかりしていたりするわけです。私自身、ここ20年、英語より日本語の勉強をしている時間のほうがず~っと長かったりしますし。

内容としては、例として、似て非なる表現の違いをいくつか取り上げ、そのあたりが解説されている本などが紹介されたりしました(↓)。また、少納言・中納言などのコーパスも簡単に紹介されました。

この部分で紹介された本、とりあえず、持っていなかったものは買ってみました。類似表現の使い分け辞典みたいなものはあんまりなかったりするので、ちょっと楽しみだったりします。翻訳の現場でどこまで使えるか、届いたら使ってみたいと思います。


■『くらべてわかる日本語表現文型辞典』

『くらべてわかる日本語表現文型辞典』は類似表現の使い分け辞典という感じで、かなり使えるのではないかと期待しています。

■『基礎日本語文法』

こちらは、いわゆる文法書。すでに持っているものがあるなら、とりあえず、買う必要はないかもしれません。私は、一応、持ってますが……あんまり参照した記憶がありません(^^;)

ちなみに、Sakinoさんは、『日本語の文法 』をよく参照されてます。

 

続きを読む "トークイベント「英日翻訳に役立つ日本語学習のヒント」"

| | コメント (0)

『知覚と行為の認知言語学:「私」は自分の外にある』

これはいい。おすすめです。私は、あとでまた読む本、くり返し読んで考える本の棚に置くことにしました。

■『知覚と行為の認知言語学:「私」は自分の外にある』

去年、翻訳フォーラムのシンポジウムで「日本語は人がにじみやすい」という話をしたら、目からうろこだったと言われたので、以来、そこここで語るようにしています。なのですが、みんな、意外に気がついていないということは、もしかすると、私の思い込みにすぎないのではないかという懸念も感じてきました。

どうやら、そういうことではなかったらしいと安心させてくれたのがこの本です。

というわけで、この「人がにじむ」とはどういうことなのかと興味を持った方がおられたら、本書を読んでみることをおすすめします。

続きを読む "『知覚と行為の認知言語学:「私」は自分の外にある』"

| | コメント (0)

2020年9月 6日 (日)

翻訳フォーラム公開セッション@日本通訳翻訳フォーラム関連のまとめ

先日8月25日に行った翻訳フォーラム公開セッション@日本通訳翻訳フォーラム、ピークで600人近い方に聞いていただいたし、その後も、JITF2020のチケットを買ってある人はアーカイブで見られるので、ツイッターなどに感想がたくさん書かれています。そのまとめができたので(mikoさん作)、メモしておきます。

ブログ記事として感想などを書いてくださっている方も何人かおられます。

ふだんはリーチできない通訳系の人も含め、多くの方になにがしかの刺激を届けることができたようです。

| | コメント (0)

2020年9月 4日 (金)

明示的に書かれていること・暗示的に書かれていること ―― 補足

昨日のエントリー、「書かれていること・書かれていないこと vs. 明示的に書かれていること・暗示的に書かれていること」で書き漏らしたことがあるので、書いておきます。

なにを明示的に書き、なにを暗示的に書くのか、それを切り分けるポイントとなるのは、昨日のエントリーに書いた「読者が持っているはずの知識・常識」以外にもいろいろとありえます。なかでも我々翻訳者に大きく関わるのが、言語による違い、です。

(このあたり、なんどかブログで取り上げています。ただし、それらを書いた当時は、明示的・暗示的という書き方の違いだという認識はありませんでした。この記事と、ここからリンクを張っている過去記事とを読み比べると、いま、一般的に言われたりしていることが、明示的・暗示的という考え方で整理できるということがわかるのではないかと思います)

『わかるものを省略』と『必要なことを言う』の違い」では、日本語とは、もともと、「必要なことだけを表に出す」言語で、基本的な考え方が英語と大きく違うと指摘しました。

続きを読む "明示的に書かれていること・暗示的に書かれていること ―― 補足"

| | コメント (0)

2020年9月 3日 (木)

書かれていること・書かれていないこと vs. 明示的に書かれていること・暗示的に書かれていること

先日、ツイッターで、とある方と、「何も足さない・何も引かない」について意見を交わす機会がありました。その後、こういう説明にしたら、もしかしたらわかってもらいやすいのかもと思ったことがあるので書いておきます。

「何も足さない・何も引かない」とは、字面の問題ではなく、あくまで内容の問題、翻訳フォーラムで「絵」と言っているレベルの問題であることは、このブログでも何度か取り上げています。

誤解されやすい翻訳業界の常識-直訳 vs. 意訳

ここで問題になるのが、何をもって「何も足さない、何も引かない」というか、です。単語の並びなど、形の上で「何も足さない、何も引かない」ようにすれば、それは字面訳にしかなりません。翻訳では内容レベルにおいて「何も足さない、何も引かない」ようにしなければならないのです。

以下の式を実現するのが翻訳だ、と言ってもいいでしょう。

原文を読んだ読者が受けとる情報(=著者が伝えたいと思った情報)
= 訳文を読んだ読者が受けとる情報

続きを読む "書かれていること・書かれていないこと vs. 明示的に書かれていること・暗示的に書かれていること"

| | コメント (0)

« 2020年8月 | トップページ | 2020年10月 »