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2020年4月

2020年4月27日 (月)

『文節の文法』

『文節の文法』

文未満の文節のみという発話がけっこうあり、そういうときの文節は文に近いといったことをいろいろと分析したもの。おもしろかった。日本語の研究としては大事な話だと思います。

でも、翻訳に役立つかというと、少なくとも私には、役立てる道筋が見えません。というわけで、翻訳の参考書としてはおすすめしません。特に、文節発話(というか、発話そのもの)がまず出てこない産業系の人にはおすすめしません。読んで損はないと思いますが、翻訳という観点でどれほどの得があるかというと、あんまりなさそうな気がします。

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2020年4月21日 (火)

"exponential"は「指数関数的」か

いや、まあ、そうだと言えばそうなんですけど、ね。

文字どおり、ですし、辞書も、指数関数的が基本で、急激という意味でも使われるっていう記述がほとんどですし。

でも、指数関数的ってふつうの人が使う言葉じゃないと思うんですよね。と言いつつ、実は、ずっとそこで止まっていたんですが……このところのコロナ騒ぎで、なんて言えばふつうの人にわかりやすいんだろうと改めて考えてみました。

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2020年4月17日 (金)

『新敬語「マジヤバイっす」:社会言語学の視点から』

『新敬語「マジヤバイっす」:社会言語学の視点から』

「~っす」という語尾の登場から普及を題材に、新しい表現がどう生まれ、どう定着し、どう変化していくのかを分析した本。

翻訳の場合、世の中で使われている表現だからといって訳文で使っていいとは必ずしもなりません。対象読者に十分浸透していなければ使えませんし、一過性の表現で何年かたったら死語になるかもしれない言葉は避けるべきでしょう。かといって、新しめの表現(辞書に載るか載らないか、微妙なあたり?)をみんな避けると、なんか古くさくなったり、かたくなったり、勢いがなくなったりしがちです。

そんなこんなを考慮すると、新語は、基本的に、ちょっと保守的に、社会の一歩後ろをついていくイメージで取り入れていくべきものだと私は考えています。

この本を読みながら、どのあたりで「訳文に使える」状態なのかを考えてみるのはおもしろいと思いますし、それなりに有益でもあるでしょう。

ただ、かなりの応用編であり、その前に身につけるべき基礎がたくさんあることを考えると、万人向けとは言いがたい本だと思います。読んで損はないと思いますが、一般的には、もっとほかに読むべき本がいろいろあるんじゃないかと。

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2020年4月15日 (水)

『「日本語らしさ」の文法』

『「日本語らしさ」の文法』

この本はおすすめしません。というか、おすすめできません。

方向性として期待が大きかったし、内容もそこそこいいんじゃないかと思ったりもするんですが、誤植が多くてまともに読めません。少なくとも、私が買った版はどうにもなりません。例文の番号が狂いまくっていて、「~番については……であり」みたいな話があっちもこっちも理解できません。内容から推測できることもありますが、推測できないことも少なくなくて。要するに、本論部分が狂いまくっているわけです。なにが言いたいのか理解できないのでどうにもなりません。

発行元である研究社に「訂正のお知らせ」というページがありますが、残念ながら、参考文献のページでした。

実はこの本、ずいぶん前に読んでいて、おすすめしない本を書くのはどうかなぁと書かずにいました。ですが……知り合いが読んで私と同じ経験をしたそうで、そうか、そういうムダを省くためにもおすすめしない本も書くべきかと思い直した次第です。

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2020年4月13日 (月)

誤解されやすい翻訳業界の常識――産業翻訳は情報を伝える、文芸翻訳は心を伝える

これ、産業翻訳と文芸翻訳の違いとしてわりとよく言われることだと思うのですが、そんな簡単に分けられるものではないというか、そう考えてしまうと、特に産業翻訳で道を誤りかねないのではないかと私は思っています。

文芸翻訳について言われる「心」とは、原著者の心、ですよね。逆に言えば、産業翻訳で取り扱う文書には原著者の心といったものが現れない、あくまで情報を伝えるものだから、ということのはずです。

ほんとにそうでしょうか。

新製品のプレスリリースやホワイトペーパーには、「この製品、ここがすごいんですよ」という心が現れていたりしません? 論文だって、「こんな新しいことがわかったんだよ」って心が現れていたりしません? マニュアルだって、「この製品は、こう使うとこんなことができるんですよ? すごいでしょ?」って心が現れていたりしません?

私は、そういう心が現れていると思うし、そう思って翻訳をしてきました。

だって、ねぇ。

 

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2020年4月11日 (土)

『段落論 日本語の「わかりやすさ」の決め手』 (光文社新書)

1カ月ほど前に出た石黒圭さんの本。段落については、書き手としても読み手としても、ここ何年かを中心に10年ほど、いろいろと思うことがあるというか、はっきり言って迷いに迷っている状態だったので、なにかヒントはないかと読んでみることにしました。

石黒圭さんの本は、基礎から学術的な話まで幅広く、素人にもわかりやすく書かれていることが多いので、基本的事項の確認にも、一般にどうこう言われていない事柄に関してヒントをつかむためにも役に立つことが多いと思います。

感想は……読んでよかった、でした。大昔に学校で習ったような話も多く、新情報が山のように、という本ではありませんが、何年もずっともやもやしてきた件について、どうやら、自分が抱いてきた疑問は的外れというようなものではないらしい、と思わせてくれる話があったからです。

本の話に入る前に、私がもやもやしてきたことを書いておきましょう。

■英語と日本語の翻訳において、段落って維持すべきなんでしょうか。

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