『新敬語「マジヤバイっす」:社会言語学の視点から』
「~っす」という語尾の登場から普及を題材に、新しい表現がどう生まれ、どう定着し、どう変化していくのかを分析した本。
翻訳の場合、世の中で使われている表現だからといって訳文で使っていいとは必ずしもなりません。対象読者に十分浸透していなければ使えませんし、一過性の表現で何年かたったら死語になるかもしれない言葉は避けるべきでしょう。かといって、新しめの表現(辞書に載るか載らないか、微妙なあたり?)をみんな避けると、なんか古くさくなったり、かたくなったり、勢いがなくなったりしがちです。
そんなこんなを考慮すると、新語は、基本的に、ちょっと保守的に、社会の一歩後ろをついていくイメージで取り入れていくべきものだと私は考えています。
この本を読みながら、どのあたりで「訳文に使える」状態なのかを考えてみるのはおもしろいと思いますし、それなりに有益でもあるでしょう。
ただ、かなりの応用編であり、その前に身につけるべき基礎がたくさんあることを考えると、万人向けとは言いがたい本だと思います。読んで損はないと思いますが、一般的には、もっとほかに読むべき本がいろいろあるんじゃないかと。
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