「翻訳に活かすSimplyTerms」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#5)
2月19日の日曜日午後、東京池袋にて、私が講師の「翻訳に活かすSimplyTerms」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#5)があります。
私は、ひとつ前の記事「翻訳者が持つ最大のツールは『自分の頭』」に書いたような方針で20年ほども工夫を続けてきています。といっても、その工夫が一番優れていると言うつもりもありませんし、その工夫があらゆる翻訳者にとってベストであると言うつもりもありません。外的要因も含めて仕事環境は人それぞれであり、どのような工夫も、人によって、あるいは案件によって、合う部分と合わない部分があるものです。ですが、工夫の努力とそこにかけた手間暇については、人後に落ちない自負があります。秀丸マクロに始まり、Perl、初代SimplyTerms(開発環境はVisualBasic)、現行のSimplyTerms(開発環境はDelphi)と移植・発展してきたのですが、現行のSimplyTermsだけでプログラムは2万行近くに達しているわけで、開発にはけっこうな手間暇がかかっています。少なくとも人後に落ちないだけの手間暇がかかっているのはまちがいないと思います(^^;)
冗談はさておき。
「翻訳者が持つ最大のツールは『自分の頭』」に書いた方針で工夫を重ね、「機械にできることは機械にやらせよう」の部分をなるべく使いやすくパッケージとしたのがSimplyTermsであり、SimplyTermsに同梱して公開している秀丸マクロです。
自分が欲しいものが世の中にないからと、膨大な手間暇をかけて自作してしまったものであり、せっかく作ったのだから、一部でも便利だと思う人がいるなら使ってもらえれば、ということで、公開しているわけです。
昔、「このほかに、肝となる部分があるんですよね」と言われたことがありますが、そんなことはありません。このソフトウェアをインストールし、そのほか、フリーウェアやシェアウエアをいくつかインストールすれば、環境としては私の手元とまったく同じものが得られます。作ったけれども公開していないものは、どれかの案件に特化したワンオフのマクロくらいですから。あまりに特殊で、その案件以外に使い道はないと思うもの(実際、自分も作ったとき以外には使わずにいます)以外は公開しているわけです。
ともかく、そんな経緯で公開しているものなので、一通りヘルプを用意する以上のことはしていません。また、翻訳そのものをしてくれるわけではありませんし、あくまで翻訳をしていく際に手でやるのがめんどくさい作業をあれこれやってくれるだけなので、正直なところとっつきにくいというか、どう使ったらいいのかわかりにくいだろうとも思います。実は、翻訳フォーラムの親しい仲間のなかにさえ、そう言う人がいたりします。
というわけで、今回、SimplyTermsの活用方法について語ることになったわけです。基本的な使い方のほか、なにをどう考え、なにをさせるための機能なのかといった基盤の部分、機能強化の方法、さらには、このツールが抱える欠点にいたるまでを語り尽くそうというわけです。質問も歓迎します。こういう機能が欲しいなんて要望もあればどうぞ。あまり手間をかけずに作り込めそうなら、作るにやぶさかではありませんから。
秀丸は使わないし……という方もどうぞ。SimplyTermsには、秀丸と関係のない機能がたくさん用意されていますし、そのあたりだけ使うという人も少なくありません。翻訳作業自体はWordでやる人もいますし、翻訳メモリー機能のあるCATツールと組み合わせて使っている人もいます。自分にとってメリットがある機能があれば、そこだけ使えばいいのです。
たとえば……仕事の原稿はどういう形で届きます? 一般的な産業翻訳ならWordが多いと思いますが、ExcelやPptもありせんか? ExcelやPptでの翻訳作業、いらいらしません? いらいらするのは、いらないところに手間暇がかかっているということであり、訳文の案出に使える頭のリソースが減ってしまっているはずです。
私は、ExcelもPptも、さらにはWordもだったりしますが、すべて、秀丸エディタで翻訳作業を進めます。そして、「秀丸エディタ」の部分はWordでもTradosでも、それぞれの人が好きな環境を使えばいい。ExcelもPptも、SimplyTermsを使えば、自分が一番やりやすいと思う環境で作業ができるようになるわけです。
「翻訳者が持つ最大のツールは『自分の頭』」で「millionやbillionも数字に変換しておく」と紹介しましたが、それもSimplyTermsの機能です。この数字を、漢数字に変換したり、1桁全角、2桁半角、3桁以上は全角に変換したりする機能もSimplyTermsに用意してあります。
私がどういうふうに仕事をしているのかに興味がある、というだけの方もどうぞ。参加費もかかる話なので、さすがにそれだけで来られる方はおられないかなとも思いますけど(^^;)
セミナー自体は2週間ほどあとの2月19日で、いまはまだ空席がありますが、場合によっては、来週中に満席となる可能性もあるみたいです。参加されるつもりの方は、早めに申し込んでいただいたほうがいいかもしれません。
| 固定リンク
「翻訳-イベント」カテゴリの記事
- 翻訳者視点で機械翻訳を語る会(2019.01.23)
- 翻訳フォーラムシンポジウム2018――アンケートから(2018.06.06)
- 翻訳フォーラムシンポジウム2018の矢印図――話の流れ、文脈について(2018.05.31)
- 翻訳フォーラムシンポジウム&大オフ2018(2018.05.30)
- 翻訳メモリー環境を利用している側からの考察について(2018.05.09)
コメント