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2017年2月

2017年2月24日 (金)

機械翻訳+PE vs. 人間翻訳

「人間対人工知能の翻訳対決」なるものが韓国で行われたそうです。

■人間、人工知能と「翻訳対決」で24.5対10の圧勝

「人間対人工知能の翻訳対決」世宗大学で開催

人間4人と人工知能翻訳ソフト3つが同じ課題を翻訳し、それを専門家3人が採点という形で、結果は、30点満点で人間が平均24.5点、機械翻訳が10点と人間の圧勝だったとのこと。

正確性なども含めて採点するなら、まだまだ人間が圧勝するのは当然で、予想どおりの結果だと言えるでしょう。ですから、そのあたりについては特にコメントしません。

着目したのは記事の末尾、「機械翻訳を活用する翻訳家」うんぬんのくだりです。

機械翻訳を活用した翻訳、機械翻訳を下訳に使う翻訳、機械翻訳+ポストエディットなど、言い方はいろいろとありますが、やり方自体は20年も前から話題になっていますし、実際、そういうやり方をしている人もそのころからいます。

正直、ああまたかと思う話なのですが、今回は、個人が言うのではなく、こうして報道までされるくらいに世の中がなっているわけで、それだけ注目度も高い、つまり、広がる可能性も高いのだろうなと思うわけです。

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2017年2月22日 (水)

トランスクリエーション?

数年前から「トランスクリエーション」なる単語を耳にするようになりました。つい先日発売された通訳翻訳ジャーナル2017春号にも「広告・マーケティング翻訳の新しい形 トランスクリエーションとはどんな仕事か」という記事が載っています。

上記記事によると、トランスクリエーションとは「ソース言語のコピーが喚起する感情や印象を把握し、それと同じものを喚起させるようなコピーをターゲット言語で書くこと」だそうです。

私の正直な感想は「なにそれ。それって単なる『翻訳』じゃん」です。

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2017年2月16日 (木)

和暦を西暦に変換する秀丸マクロ

ブログ「翻訳のサロン」に「計算して置換 和暦西暦の換算」という記事を書いたとSNSの翻訳者コミュニティに書かれたのを読み、そういえば似たようなものを大昔に作ったような……と思って使わなくなったマクロの置き場をあさったら、やはり、ありました。

年月日、年月、月日、年のみに対応、年は昭和・平成の両対応とそれなりに高機能なのですが、もともとの形式がh3/8/1のような形式でなければなりません。また、カーソルが入力した日付の最後にある状態で走らせる必要があります。20年も前に作ったもので、日付も手入力することが前提となっているからです。原稿がまだ紙でしか提供されない時代でしたし、日本語のOCRは使い物にならず日英はすべて手で入力が前提でしたので。

「年月日」の漢字対応にすれば、検索して一気にということも可能ですね。このマクロのようなスラッシュだと日付以外にもいろいろありえるため、検索して自動的にすべてを処理してしまうのは誤訳につながりそうで怖いと思いますけど。

スクリプトをアップロードしておきますので、適宜切り出して利用するなり、全体を改造して使うなり、ご自由にどうぞ。私はもう長いこと使っていないマクロなのですが、まだ需要があるのであれば。

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2017年2月 3日 (金)

「翻訳に活かすSimplyTerms」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#5)

2月19日の日曜日午後、東京池袋にて、私が講師の「翻訳に活かすSimplyTerms」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#5)があります。

「翻訳に活かすSimplyTerms」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#5)

私は、ひとつ前の記事「翻訳者が持つ最大のツールは『自分の頭』」に書いたような方針で20年ほども工夫を続けてきています。といっても、その工夫が一番優れていると言うつもりもありませんし、その工夫があらゆる翻訳者にとってベストであると言うつもりもありません。外的要因も含めて仕事環境は人それぞれであり、どのような工夫も、人によって、あるいは案件によって、合う部分と合わない部分があるものです。ですが、工夫の努力とそこにかけた手間暇については、人後に落ちない自負があります。秀丸マクロに始まり、Perl、初代SimplyTerms(開発環境はVisualBasic)、現行のSimplyTerms(開発環境はDelphi)と移植・発展してきたのですが、現行のSimplyTermsだけでプログラムは2万行近くに達しているわけで、開発にはけっこうな手間暇がかかっています。少なくとも人後に落ちないだけの手間暇がかかっているのはまちがいないと思います(^^;)

冗談はさておき。

「翻訳者が持つ最大のツールは『自分の頭』」に書いた方針で工夫を重ね、「機械にできることは機械にやらせよう」の部分をなるべく使いやすくパッケージとしたのがSimplyTermsであり、SimplyTermsに同梱して公開している秀丸マクロです。

自分が欲しいものが世の中にないからと、膨大な手間暇をかけて自作してしまったものであり、せっかく作ったのだから、一部でも便利だと思う人がいるなら使ってもらえれば、ということで、公開しているわけです。

昔、「このほかに、肝となる部分があるんですよね」と言われたことがありますが、そんなことはありません。このソフトウェアをインストールし、そのほか、フリーウェアやシェアウエアをいくつかインストールすれば、環境としては私の手元とまったく同じものが得られます。作ったけれども公開していないものは、どれかの案件に特化したワンオフのマクロくらいですから。あまりに特殊で、その案件以外に使い道はないと思うもの(実際、自分も作ったとき以外には使わずにいます)以外は公開しているわけです。

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2017年2月 2日 (木)

翻訳者が持つ最大のツールは「自分の頭」

JTF翻訳祭の前日、その前夜祭という形で十人十色が行った勉強会に参加しました。翻訳をする際、ツールについてどう考え、なにをどう使うべきか、どういうツールにはどういうメリットとどういうデメリットがあるのか、などの話です。講師は、しんハムさん

このブログではよくぶつぶつ言っているのですが、ツールはメリットが(誰にとってのものか混同した形で)喧伝されるばかりでデメリットが紹介されることはあまりありません。ですが、しんハムさんの話は、両方がバランスよく取りあげられていたと思います。

さて、プレゼン最後のほうで出てきたのが以下のスライド。

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「うん、そうなんだよ。そのとおりだよ。うまいこと言うじゃないか」と思ったら、なんと、1年か1年半くらい前、しんハムさんが募集されたアンケートに私が書いた言葉だそうです(^^;) 本人、すっかり忘れてました。特に2番目。

忘れていたことは横に置いておいて。

「翻訳者にとっては自分の頭が最大のツールである」というのは、ツールというものを考える際にとても大事なポイントだと思います。つまり、いわゆるツールを選ぶとき、最大のツール(=自分の頭)の働きを妨げないことを最低基準として考える必要があるわけです。いくら便利そうに思えても、自分の頭という一番大事なツールが多少でも損なわれてしまうのでは本末転倒です。

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