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2017年1月13日 (金)

「訳出のバリエーションづくり~訳例カード・ワークショップ」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#4)

こちらで紹介するのを忘れていましたがm(._.)m、しばらく前、「翻訳フォーラム・レッスンシリーズ」なるものを始めました。翻訳力の向上に役立つセミナーやワークショップを提供しようというものです。

その第4回、「訳出のバリエーションづくり~訳例カード・ワークショップ」が2017年1月29日(日)の午後に東京・護国寺で行われます。

「訳出のバリエーションづくり~訳例カード・ワークショップ」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#4)

今回は、"most"を題材に訳出のバリエーションを増やそうというワークショップです。講師は高橋さきのさん。

このワークショップ、baldhatterさんのブログ「禿頭帽子屋の独語妄言 side A」でも紹介されています(「# 「訳出のバリエーションづくり」 - レッスンシリーズ第4弾」)。内容も説明されているので、細かいことはbaldhatterさんのブログを見ていただくことにして、私は、ちょっと違う側面からの紹介を。

実は、このワークショップ、私も一度体験しています。

班に分かれてのワークショップで私の班にはbaldhatterさんもいたんですが、ふたりでわ~っと盛りあがっていたら、さきのさんから、「このふたりは別の班に入れるべきだった。なかなか盛りあがらない班もあって……」と言われてしまいました。私もbaldhatterさんも、ごく自然にいろんなパターンが湧いてきて口が追いつかないという状況だったのですが、みなさん、必ずしもそうではないようです。集まっていたのは、中堅からベテランのプロばかりだったのですが……。

「訳出パターンが少なければ、まちがった訳文になる」というものでは基本的にありません。でも、たとえば英語で"most"によって表現される「なにか」を日本語で表現するとき、たくさんの表現方法があるのはなぜなのでしょうか。答えは、多様な表現が必要だったから、でしょう。言ってることはほぼ同じだけど、そこに微妙な違いがあり、それを表現したかったから、でしょう。昔からいまにいたる日本人が総体としてそう思ってきたから、でしょう。

念のため書いておくと、日本語の表現が豊富で英語が画一的と言いたいわけではありません。英→日にせよ日→英にせよ、表現は1対多の対応になるものであり、かつ、「多」が相対的に少ない翻訳者と多い翻訳者がいるわけです。

「原文の意味が伝わる訳文になっているか」と考えるとき、0か1か、○か×かという2進数的な判断をするのであれば、たくさんの表現パターンなんて不要です。ぜんぶ「ほとんど」と訳しても「まちがっちゃいない」にはなるでしょうから。でも、0から100と細かく分かれた評価基準で判断する場合、「ほとんど」なら60点だけどほかのパターンなら65点、70点になる可能性があります。

関連記事:「誤訳とは?」

こういう小さな違いの積み重ねが、上手な翻訳とそれなりの翻訳を分けるのだと私は思っています。先日書いた『プロフェッショナル 仕事の流儀』の高山医師じゃないですけど。

そして、私が参加したセッションの様子から判断すると、中堅からベテランのプロであっても、全員がさっとできる感覚を持っているわけではないようです。

というわけで、このワークショップ、あらゆるレベルの翻訳者におすすめします。

意外なほどできなければ、今後なんとかしていかなければならない弱点がみつかったことになります。ほかの参加者が驚くほどにできれば、方向性がまちがっていないと確認できたことになるでしょう。それに、いろいろ思いつける人でも、あくまで感覚的なものにとどまっており、言語化できる分類でパターン化までできていることは少ないでしょう(←私はこのレベルだった)。感覚的にできればたいがいは大丈夫なのですが、なにかで袋小路にはまり込んだりすると、言語化できていれば意識的に連想範囲を拡大し、解決策がみつけやすくなったりします。そういう意味で、できている人にも有用なワークショップだと思います(私にとっては有用でした)。

申し込みはこちらからどうぞ。ワークショップまであと2週間と迫っていますが、まだ、席には若干の余裕があるようです。

ああっと、最後にもうひとつ。2/19(日)には私が講師で「翻訳に活かすSimplyTerms」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#5)というものも予定されており、両方セットで申し込むと参加費が1000円割引になります。両方とも聞きたいなぁという方がおられましたら、この機会にどうぞ。

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