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2014年6月24日 (火)

IJET25参加

JATが毎年開催しているIJETに参加してきました。今回は第25回、東京での開催ということで、600人前後が参加という過去最大の規模になったそうです。

■リフレッシュメント

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JTF翻訳祭はホットコーヒーと冷水くらいしかないのですが、IJETはコーヒー(ホット、アイス)、紅茶(ホット、アイス)、冷水に加え、ちょっとつまめるお菓子がたくさん用意されています。用意が大変だろうとは思いますが(飲み物は会場に手配を頼んでいるのだと思うけど、お菓子は事務局関係者が手分けして用意しているはず)、参加者には好評です。私はお菓子を食べないし、冷たいモノも飲まないので翻訳祭くらいでも同じなんですが(というか、翻訳祭ではホットコーヒーさえもらわない。近くのスターバックスへ買い出しにでかけるので)、それは私の勝手ですからね。

■セッションスポンサー

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IJETは、セッションごとにスポンサーを募集していたりとか、いろいろと工夫が見られます。JTF翻訳祭も、まだまだ、工夫の余地があるんじゃないかな。

さて、参加レポートに行きましょうか。

初日の午後、1時間15分のセッションがメインの担当だったのですが、その準備で前日夜中までPPTを作っていたり、当日朝、会場に向かう電車のなかも質疑応答で使うかもしれない追加スライドを作っていたり、すさまじいばかりの泥縄ぶり。今回は、「翻訳業界の未来とそのなかで翻訳者が取りうる道」というテーマでしゃべるので、昨年のJTF翻訳業界調査を使って業界の現状を分析。分析というのはいろいろやると次のアイデアが湧いたりして切りがないんですよね。というわけで、直前のぎりぎりまでいろいろとやるハメに……。

それはともかく。

会場が国際展示場という広いところで、朝一、そのどこに行けばいいのかわからず道に迷うという失敗はあったけれど、なんとか基調講演にまにあいました。

■基調講演

基調講演は村岡恵理さん、「-村岡花子-『赤毛のアン』に託した未来への希望」。『赤毛のアン』も私は読んでいないし、村岡花子を取り上げた朝の連ドラがはじまり、最近、翻訳者仲間で話題になっているけど、そちらもなんだかんだで見れていません。でも、基調講演はそれなりにおもしろく聞けました。話も上手だったし。なにを期待していたかによっては、翻訳のイベントの基調講演として失望した人もいたかもしれませんけど(←それらしき話も聞いた)。

■自分のセッション-「翻訳業界の未来とそのなかで翻訳者が取りうる道」について

自分のセッションについては、別に項目を立てます。

■私も登壇したセッション-「21世紀に求められる翻訳者の資質とは? ―さまざまな現場から語る―」

こちらは豊田憲子さんが中心のセッション。私はパネリストのひとりとして登壇。もうひとり、津田塾大学ライティングセンター長の高橋裕子教授が登壇されました。

教育的な視点からの話が主体でした。私としては、人間の大切さを訴えたつもりです。原文を書いたのも人間だし、読む人も人間。そういう人たちがなにをどう考えているのか、感じているのかがわからなければ翻訳なんてホントはできないはずですから。いや、まあ、他人が考えていることなんてわかるはずがないって言われればそれはそのとおりなわけですが、だから、翻訳は難しいんだと私は思うのです。

以下、参加したところを中心としていくつかのセッションを取り上げます。

■「ダボス会議の「ヤング・グローバル・リーダー」」とともに考える! 世界で生き残るために翻訳者がとるべきコラボレーション戦略」

これ、聞きに行くべきだったんじゃないかと思ってます。今回のIJETはぜんぜん予習をしていなくて、セッション内容の説明をきちんと見ておかなったのでうっかり逃してしまいました。残念。

■「ビジネスとしての翻訳:翻訳者と翻訳会社(LSP)の明るい未来のために」

大手翻訳会社、十印の方が話をしたセッション。個人的に気になった情報をメモしておきます。

  • 欧州翻訳会社のマージンはだいたい50%。
  • 商品としてなりたっていない成果物が翻訳者から納品されることがある。常に悪いわけではなく、いつもはちゃんとしたものが納品されてくるのに、ときどき、日本語になっていない訳文、みなおしもしていないと思うような訳文ががたくさんあるようなものが納品される。割合は10%くらい。

消費税についての話もありましたが、、ここについては、消費税の仕組みを誤解した内容となっていました。よくある誤解ではあるのだけれど。JTF総会でお話ししたとき、十印の社長さんは消費税の仕組みをきちんと理解されていたけれど、十印さんクラスでも、現場は誤解したままのようてず。やはり、このあたりをカバーするような仕組みを連盟で作る必要があるなぁ。このあたりをなんとかしたいと、何年も前から仕組んではいるのだけれど、いろいろとハードルが多くて実現できてないんですよね……。

■「ブログから出版へ 40歳からの無名サラリーマンのブランディング」(立花岳志)

2日目朝一という早い時間のセッションなので、寝ていたい……とも思ったのだけれど、講演者の立花さんとは、彼が翻訳会社に勤めていたころからの知り合いであることもあり、がんばって起きてきた。

話は立花さんがやってきたことを駆け足で紹介するようなもの。ポイントがとてもうまくまとめられていて、さすがという感じ。

■「翻訳者は何ができるか、何をすべきか」(越前敏弥)

フィクション業界の紹介で印税の話などがあった。途中に出てくる数字は異なれど、最後の結論的なところの数字がほぼ同じでびっくり(3~4カ月かけて1冊訳して最近は70万円前後にしかならない、とか)。それが市場ってことでしょうか。大ヒットするような本は著者が強く、訳者印税率が低くなるってあたりも一緒。

●翻訳者がやるべきこと・できること

越前さんがすごいなぁと思うのは、翻訳書をおもしろいと思ってもらうための仕掛けをいろいろと実践しているところ。ほんと、地道な活動をやられています。

ノンフィクションの分野でも同じようなことってできるのかなぁ。越前さんのフィクションは「おもしろいから読む」だけど、私がやっているノンフィクションは、「なにかを学びたい」で読まれるケースが多いので、越前さんのマネをしてもダメだろうし。

そうそう、一般読者がいるところで「新人だから~」みたいに言うのは読者に失礼だとか、「売れない、売れない」と言うべきじゃない(売れないから買ってくれと言われても誰も買わない。おもしろいから買ってくれじゃなきゃ)とかの話もありました。

●翻訳の仕事をする目的

最後は、この質問に答えられるようにしておかなければならないって話がありました。もちろん、人によって答えはさまざまなわけですが、自分なりの答えが必要ってことです。ちなみに、越前さんは、「物を学ぶのは、視野を広めみずからを相対化するためである。海外文化の受容をしやすくして、客観化・相対化の一助になることが自分の役割」だと考えられているそうです。

■ネットワーキング・ランチ

JATさんのイベントでは、よく、「ネットワーキング・ランチ」という企画があるのだけれど、いいアイデアだと思います。まあ、私自身は、どうもうまく活用できていないのですが(^^;) でもともかく、アイデアはいいし、だから当然だけど、とってもよかったって評判もよく聞きます。

今回、初日はJATTIPという自分たちで翻訳出版をしようみたいなことを進めているグループのところに出ようと思っていたのですが、基調講演の最後にあったアナウンスで「定員に達している」とのこと。事前申し込みみたいなのがあったとはしらなかった。先日ウェッジという雑誌に載ったあと、書籍の日英という話がいくつか舞い込んでは断っているので、話によっては紹介できるかもと思ったのだけれど。仕方がないので、「誰でもOK」というところへ。私の専門とかぶるようなところがほかになかったので。

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