分納や部分翻訳について
産業系では分納を求められることが珍しくありません。このごろは納期が厳しくなっているため、翻訳と平行して後工程を進めたいと翻訳会社が考えることも多く、増える傾向にあると言えるでしょう。概要を早く知りたいからExecutive Summaryだけ先にちょうだいと言われることもあります。書籍でも、どうしてもこの時期に出さなければならないなどの場合に分納せざるをえなくなる場合があります(『スティーブ・ジョブズ』の場合もそうでした)。
産業系の場合、部分翻訳を求められる場合もあります。こことここだけ訳してとマーキングされた原稿が届いたりするわけです。前後処理で翻訳メモリーを使うのか、文単位でまだらにマーキングされていたりします。
こういう要望にはそれなりの理由もあったりはするのですが、翻訳をする人間からすればなんともむちゃな要求だったりします。「機械翻訳に関する天動説と地動説、そして解釈学的循環」に書いたように、解釈という作業は(実は表現側の作業も)循環的であり、ある部分だけを取りだすことが不可能だからです。
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