悲惨な翻訳のリライト案件
悲惨な翻訳のリライトをしてくれないかという話、珍しく打診がきました。世の中的には増えてるといううわさは聞いていたのですが、私のところには、昔からごくたまにしか打診がきません。必ず断るので、打診がないほうが手間がかからず、正直ありがたかったりします。
当然ながら、今回もお断りしました。(↓)のようなパターンで(もちろん、言葉遣いは下記と違います)
そういう案件はやらないことにしている。労力から考えると新規翻訳の倍以上をもらわないと引き合わないし、それだけもらっても精神疲労を考えるとやりたくない。発注側としては新規翻訳よりも高いリライトというのはあり得ないのが当たり前。というわけで、私がやるという話はない。あしからず。
ちなみにその案件、製品の売り込みに使うパンフレットのようなのですが、完全に破壊された日本語でした。日本語ネイティブならここまでひどいものにはならないと思われるレベル。今回の話は翻訳会社さん経由だったんですが、そこの人も、「たぶん中国かどこかでやったんでしょう」と言われていました。
そういうときは、ひどい翻訳に払った料金を勉強費用だとあきらめ、まともなところに新規で頼むのが一番いいと私は思います。最終的にかかる費用と仕上がるレベルを考えたら、手直しするより新規やり直しのほうがコストパフォーマンスがいいはずです。特に今回のように、他人の行動に影響を与えたいという翻訳の場合は。
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コメント
「基本設計と施工の悪い家は、建て替えるしかないよねぇ」とのコメントをツイッターでいただきました。
うまい例えだと思います。表面だけペンキでごまかしても、なにかあったら大事故につながったりするわけで。そんなの耐震偽装以外の何物でもありません。
かといって、できちゃってるモノの部品を使って基本設計と施工からやり直そうとすると、ものすごい手間がかかります。どの部品なら使えてどの部品は使えないのか判断するのが大変だからです。
結局、隣の更地に新しく立てたほうが簡単ということになります。
投稿: Buckeye | 2012年2月 8日 (水) 05時32分
こんにちは。
個人ベースでは「安物買いの銭失い」を避けようとするのに、会社の仕事では、なぜ「単価の安い」ところに発注するのかな?(それだけデフレの影響が大きいと言うことか?)
経営者も担当者も、自分らの仕事を通じて、「手抜き」をしない限り「安く」出来ないというのは分かっているはずなのに(分かっていると思いたいが、実際は違う)。
断る勇気を持たなければ、何も変わらないですね。
投稿: takey | 2012年2月 8日 (水) 12時12分
会社の場合、基本的に分業で、発注部門は「安く買うほど評価があがる」だからでしょう。「安物買いの銭失い」でペナルティーがかかるシステムになっていないので、本質を考えずに自分が担当する部分だけをしてしまうのではないかと。
個人だと、発注のミスが自分に返ってきますから。
投稿: Buckeye | 2012年2月17日 (金) 12時18分
こんにちは。
「合成の誤謬」ということでしょうかね。
何れにしろ、一所懸命やって、中途半端ないい加減なことをしないようにしなければ、仕事を失いかねませんので、精進を続けなければと思います。
本日納品予定の案件、悲惨な翻訳と言われないようにしなければ・・・。
投稿: takey | 2012年2月20日 (月) 05時15分
そうですね、「合成の誤謬」の一種だといってもいいんじゃないでしょうか。形式化しないとモノゴトを回すのは難しいですが、本質を忘れて形式だけ追うようになってしまうとモノゴトがうまく回らなくなるというか。
このあたり、世の中はそんなものだと思いつつ、そこで自分はどう立ち回るのがいいのかと考えてゆくしかないのでしょう。
投稿: Buckeye | 2012年2月20日 (月) 14時56分