『スティーブジョブズⅠ・Ⅱ』の翻訳について-その3
■後工程との時間の取り合い
ふつう、発売日から2カ月半とか3カ月くらい前には完成原稿を出版社にわたします。完成原稿というのは、一通り訳したあと、プリントアウトして読みなおし、赤を入れてなにして、まあ、このまま本にしてもいいんじゃないかと訳者の段階で思うレベルにしたものを言います。
このあと、編集さんや校正さんのチェックがありますし、出版社の中ではほかの編集さんも読んでその意見がまわってきたりとかします。具体的な作業はいわゆるゲラ。版組されて本のイメージになった出力を渡され、そこに赤を入れていくわけです。だいたい、初稿ゲラ、2校ゲラの2回、やりとりがあります。で、発売日の1カ月前後前に印刷所入稿(←この時点で私は基本的に解放されます)。
この後工程、今回は分厚いので、基本的に3カ月見るべきでしょう。もっとかもしれません。2冊分と考え編集工程の期間が倍になると考えるならミニマム4カ月という計算になります。まあ、訳者も必死でやるんだから後工程も必死でお願いとやるにしても2.5カ月は必要でしょうか。11月21日発売という7月頭に予定されていた時期に出すのでも、どんなに遅くても9月の頭には完成原稿をあげなければならないことになります。
その場合、翻訳期間は7月頭から2カ月。はい、無理です。なにをどうがんばろうが無理なものは無理というレベルです。考えるまでもありません。
| 固定リンク
| コメント (23)
| トラックバック (1)
最近のコメント