外部業者の翻訳ミス?
少し前のニュースですが、外部業者の翻訳ミスが原因で、大学が学部新設を2年間ほどできなくなり、事業継続にも危険信号がともったという話があったようです。
聖トマス大(兵庫県尼崎市)が文部科学省に提出した学部新設の申請書類に虚偽があったとして、2014年度まで申請を認めない処分を受けた学校法人英知学院は30日、大学で記者会見し「英文の申請書類の翻訳を外部業者に依頼したが、ミスをチェックしきれなかった」と説明した。
これに先立つ報道(学部新設で兵庫の聖トマス大が虚偽申請 文科省が2年間新学部不認可)では、「学長の職歴が異なっていたり、外国人の教員予定者5人の学歴も、実態が確認できない海外の大学で取得したとする“学位”を記載していた」ことが問題とされています。
いろんな意味でさもありなんと思ってしまうのがなんとも……
「実態が確認できない海外の大学で取得したとする“学位”を記載していた」はさすがに翻訳と関係ないはずだと思いますが、「学長の職歴が異なっていた」は誤訳の可能性がないとは言えません。で、すごい翻訳を上げてくる業者がいることも事実なので、本当に「外部業者の翻訳ミスが原因」だった可能性を否定しきれません。
もうひとつ、「業者に外注した翻訳にはまちがいが多い」と言われて必ずしも反論できない状況に業界があることを考えると、それを言い訳に使われただけだとしても「さもありなん」というところでして。
まあ、後者は置いておくとして、前者だったとしたら、当然、損害賠償という話になるでしょうね。いまの範囲でもかなりの損害賠償を請求されそうですし、万が一、大学の存続ができないとなったりしたらいったいいくらになることやら。
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コメント
こんにちは。
「虚偽」申請の記事は、読んだ覚えがありますが、「翻訳ミス」を大学側が理由として挙げていたとは知りませんでした。
言い訳として、「翻訳ミス」と主張しているような気もしますが・・・。文部科学省に提出する書類であれば、しっかりと中身を確認しているはずだし、大学が翻訳会社を相手に訴訟を起こしたという話は、聞いていないですね。
投稿: takey | 2011年9月16日 (金) 09時18分
私も基本的に言い訳かなぁとは思います。
それにしても……翻訳がよくないがゆえに損失が出るというのは珍しくないと思うんですよね。具体的な損としてお金が出ていくだけでなく、この報道みたいに「得られるはずだったものが得られなくなる」というのもありますし、だいたい、今回のようにはっきりせず、ただ、製品がイマイチ売れないみたいな損失の出方も多いはずです。
投稿: Buckeye | 2011年9月26日 (月) 08時04分