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2011年7月

2011年7月30日 (土)

悲惨すぎる翻訳-続報

昨日のエントリーに書いた『アインシュタイン その生涯と宇宙』の件、仲間内で若干の検証といろいろな推測が飛び交っています。

■事実として何をどう処理したのか

まずは検証について。結果からいうと、悲惨すぎる部分はエキサイト翻訳の出力を文体調整しただけという感じのようです。

日本語から原文のあたりをつけ、米国アマゾンの中身検索で当該部分とおぼしき部分をひっぱってきた知り合いがいます。たとえば、(↓)のような原文だったわけです。

It was an astonishing scene, but it was exceeded in Cleveland. Several thousands thronged Union train deopt to meet the visiting delegartion, and the parade included two hundred honking and flag-draped cars. (原著p. 300)

これをウェブ上にあるいろいろな翻訳エンジンに突っ込んでみたら、エキサイトが一番近かったそうです。ちなみに、エキサイトの出力は(↓)のとおり。

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2011年7月28日 (木)

悲惨すぎる翻訳-『アインシュタイン その生涯と宇宙』

すごい本が出てしまいました。『アインシュタイン その生涯と宇宙』という本です。リンクをたどってアマゾンのレビューを見ていただければわかりますが、(↓)のような訳文になっているところがあるそうです。あまりにも悲惨ですよねぇ。翻訳祭の講演でまくらに使い、爆笑をとった「オーポン」よりもある意味、ひどいかもしれません。

「彼は,時には,やかましくこっこっと鳴って,終わりに全体の出来事が「最もおもしろい」と断言した。」(p.39)

「ボルンの妻のヘートヴィヒに最大限にしてください。(そのヘートヴィヒは,彼の家族に関する彼の処理,今や説教された頃,彼が「自分がそのかなり不幸な回答に駆り立てられるのを許容していないべきでない」と自由に彼に叱った)。以上は,彼が目立つべきであり,彼女が言ったのを「科学の人里離れている寺」に尊敬します。」(p.41)

「アルバート・アインシュタインの爆発するようなグローバルな名声と芽生え始めたシオニズムは科学の歴史の中でもユニークで,どんな分野にも,本当に,顕著であった出来事のため一九二二年春に集中。一種の大規模狂乱を喚起して,ツアーしているロックスターをぞくぞくさせるへつらいを押す東とmidwestern合衆国を通る壮大な二ヶ月の行列式書。世界は,以前一度も見たことがなくて,おそらくユダヤ人のための再びそのような科学的有名人のスーパースター,また,たまたまヒューマニスティックな値の優しいアイコンであった人,および決してどんな生きている守護聖人も見られないつもりだった。」(p.45)

これに加え、訳者だという方から事情の説明がレビューに載っています。

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2011年7月23日 (土)

翻訳調の功罪

今日、日本通訳翻訳学会の「翻訳研究育成プロジェクト」で話を聞いてきました。目的は鴻巣友季子さんの「訳しにくさの正体」という講演。いろいろシュラバっていて講演会なんぞに行っていていいのか、仕事を少しでも進めるべきじゃないのかとも思うのですが、ちょうど、先日来、気になっている翻訳調と関係のある話が聞けるかもと無理を押して出ることにしました。

いろいろな話があったのですが、ここではひとつだけ取りあげます。

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2011年7月10日 (日)

翻訳時に消える言葉・出てくる言葉

翻訳会社、アークコミュニケーションズ社長の大里真理子さんが書かれているブログに、先日、「『ちゃんとやったのにうまくいかない』ということはありえない!」という記事がありました。

このように日本語の「ちゃんと」は英語ではわざわざ言わなくてすむ言葉だろう。なんて曖昧で、日本的な表現なのであろう。

おっしゃるとおり、日本語から英語に変換するとき、この「ちゃんと」は消える言葉だと思います。ということは、英語から日本語へと翻訳するときは、どこからともなく、この「ちゃんと」が出てこないといけないはずです。そうしないと、行って帰ったら違うモノになってしまいます。

もう一点。あいまいなのが日本的表現なら、くどいのが英語的表現。だから、英語から日本語に翻訳するときは、すこしすっきりさせてやらないといけません。そうしないと、普通の文章がくどくどした文章になってしまいます。つまり、英語から日本語へと変換するときに消える言葉というのもあるわけです。であれば、日本語から英語へ翻訳するとき、どこからともなく出てこなければならない言葉もあるはずです。

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2011年7月 9日 (土)

『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』刊行記念著者来日イベント

先週木曜日の7月7日、『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』の刊行記念ということで、アメリカから著者も来日してイベントが行われました。

■著者のカーマイン・ガロさん

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午後3時からは夕方までは「ジョブズに学ぶ驚異のイノベーション」というセミナー、夜7時半からはブロガーイベントという2本立てです。

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2011年7月 5日 (火)

自分にしかできない仕事

transcreativeさんが「自分にしかできない仕事なんてあるのか?」という記事を書いておられます。

私も、同じように考えています。この仕事は好きだからやっているのだし、「自分がいなくても業界は回る。そういう意味で、『自分にしかできない仕事』など存在しない」と。それでもなお、というか、その上で「自分にしかできない仕事」を求め、作ってゆくことが大事だとも。

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2011年7月 1日 (金)

カタカナ正規化ツールのデモ

JTF標準スタイルガイド検討委員会が開催したカタカナ正規化ツールのデモを見てきました。カタカナ正規化というのは、複数の異表記をひとつに変換することを言います。たとえば、インターフェイスを正規形とした場合、異表記となるインタフェースやインターフェースなどをすべてインターフェイスに置換してくれるわけです。

標準スタイルガイド検討委員会の委員長をしている田中さんがこの春、言語処理学会の年次大会で講演を行い、その際、「こんなものがあったらいい」と希望をいくつか並べていたら、東芝の方がおひとり、おもしろそうなので簡単なものを作ってしまったのだそうです。

正直、特に期待もせずに聞きに行ったのですが……これがなかなか。できていたのは基本的な部分だけですが、考えるべきところはきちんと考えて作られており、機能的にはかなりの実用性が期待できます。カタカナ表記のゆらぎに困っているところ(主に翻訳会社でしょうか)にとっては有用でしょう。

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