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2011年5月

2011年5月 8日 (日)

翻訳フォーラム勉強会-"Philomel Cottage"を題材に

しばらく前の2011年4月15日、「河野一郎さんを迎えての勉強会」から派生した翻訳フォーラムの勉強会を行いました。

題材は「河野一郎さんを迎えての勉強会」で題材となった"Philomel Cottage"の冒頭で、事前に(↓)のようなことをしました。

  • なるべく訳文を事前に提出してもらう
  • それをまとめて参加者に配布(どれが誰の訳文なのかは、とりまとめてくれた人、1人しか知らない)
  • 評価とその理由をなるべく提出してもらう

とりまとめをしてくれた人が住んでいるマンションの集会室を借り、プロジェクターやパソコン、ポケットWiFiなどを持ちよって、朝9時から夜8時ごろまでえんえんとあれやらこれやらの話をしました。

翻訳フォーラムですから、参加者は全員、産業系が主体の翻訳者です。産業翻訳と文芸翻訳はまったく別という考え方もありますが、私は、程度問題であって共通する部分が多いし、また、産業系で小さな違い、大きな違いを生む部分はその小さな違いが大きな違いとなりがちな他分野を題材にしたほうが把握しやすいのではないかと思ったりもします。

前半は原文の理解を深めるための周辺情報についての話が中心で、後半は、さまざまな部分の訳し方についての話が中心でした。時代の問題、著者がアガサ・クリスティーという女性であることの問題……いろいろな観点から検討を行いました。

お昼はおにぎりをほおばりながら話が続いていましたし、夕食もピザをつまみながら話が続いていたしで、結局、10時間以上、休憩らしい休憩なしにぶっとおしとなりました。

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2011年5月 7日 (土)

原著者が日本語を知っていたらどう書くか

先日のエントリー、「『越前敏弥の日本人なら必ず悪訳する英文』刊行記念講演会」でも取り上げましたが、「原著者が日本語を知っていたら書くはずの日本語にする」という基本方針のもと「表現に対する原著者の工夫をどこまで織りこむか」というのは悩ましい問題です。

このブログに書いたエントリー関連でも、古くは、2005年に書いた「『スティーブ・ジョブズ-偶像復活』」のコメント欄における"Two years later, CG closed its doors."の話とか、最近では、昨年の2010年夏にいろいろと検討した「『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』-誤訳の指摘」の"Apple Unleashes Leopard Operating System"などがあります。

原著者がある表現を使った背景にはそれなりの理由があるはずです。逆に言えばそれ以外の表現を使わなかった、使いたくなかった理由があるはずなのです。もちろん、なんとなく書いただけってこともあるわけですが。

ともかく、工夫については、工夫の「意図」が翻訳の読者にも通じるようにすべき、そうしたほうがいいのは明らかでしょう。でも、原文における工夫の意図を伝えようとすると普通の表現ではなくなり、「わかりにくい」「日本語が不自然」「翻訳がおかしい」という感想を持つ人が出てきがちです。説明っぽくなりがちなのも問題です。ある意味、ノイズとして、読者の足を引っ張ってしまうのです。

この問題は、ここ数年、ずっと頭の片隅に引っかかっていて、折々検討してみたり、訳文の中で実験して様子をみたりしているのですが、自分の中でどうにも折り合いがつかず、困っています。

というわけで、『越前敏弥の日本人なら必ず悪訳する英文』に出てきた"While a cat is away, mice will play"をネタに、何をどう考えたらいいのか、改めて検討を加えてみたいと思います。

念のため申し添えておきますと、『越前敏弥の日本人なら必ず悪訳する英文』の内容をあげつらおうという話ではありません。あの本は翻訳初心者が対象読者の中心であり、そういう人に向けて方向性を示すという意味において、あの記述はそのままでアリだろうと思います。ここで行うのは、あくまで、あの話をきっかけとして、いろいろ掘り下げてみようというものです。

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2011年5月 5日 (木)

『日本人なら必ず悪訳する英文』刊行記念講演会

4月25日に『越前敏弥の日本人なら必ず悪訳する英文』刊行記念講演会に行ってきました。この本は翻訳初心者向けであり、講演会も当然にそういうレベルが想定されているはずだとは思ったのですが、ツイッターでときどきやりとりがある関係から、越前さんにお会いしてみたいなとも思ったものですから。

実はこの講演会、もともと予定されていた3月末だと行けなかったのですが、震災で延期となった結果、聞きに行けるようになりました。というわけで、申し込んだあと『越前敏弥の日本人なら必ず悪訳する英文』を購入し、ざっと読んででかけました。

場所はリブロ東池袋店(私が池袋に行っていたころはリブロなんてなかったこともあり、最初、池袋店に行ってしまいました^^;)。来場者は50人超のほぼ満席という感じでした。

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