« a(b + c) や (a + b)c の訳し方 | トップページ | 翻訳者と日本語入力IME »

2010年10月 1日 (金)

ATOK 2010+共同通信社記者ハンドブック

先日、「テクニカルコミュニケーションシンポジウム2010」でお会いしたジャストシステムの方といろいろお話ししていたら、最新版のATOK(ATOK 2010)をいただくことになりました。今まではATOK17(2004版)でしたから、数世代すっとばしてのアップグレードとなります。

なお、私はATOKに共同通信社記者ハンドブックを搭載しており、これなしには仕事をする気にならないというくらい重宝しています。ATOKをアップグレードすると共同通信社記者ハンドブックもアップグレードしなければなりません(そのあたりが古いATOKママにしていた理由でもあります)。で、ジャストシステムの方からは、共同通信社記者ハンドブックの新しいもの(評価版)もいただきました。

しばらく前に仕事用マシンにインストールしてしばらく使ってみたので、使用感などを書いてみたいと思います。

■インストール

ATOKのインストールは問題なく終了したのですが、共同通信社記者ハンドブックでつまづきました。評価版のバージョンがATOK 2010には対応しておらず、パッチを当てないといけないのですが、ATOKのサイトからパッチをダウンロードしようとすると「該当する製品を持っていない」とはじかれてしまいます。私の共同通信社記者ハンドブックはパッチが用意されているものよりさらに古いバージョンだからです。

仕方がないので、共同通信社記者ハンドブックのバージョンアップ版を購入しました。

もともと、ジャストシステムの方の好意でいただいたものなので、それがうまくいかなくてもそれはそれで仕方がない話です。本来であればATOK 2010と2010用共同通信社記者ハンドブックの両方を購入しなければならないのですから。

■アップグレード時に気になった点

ATOKの設定を引き継ぐように指定してインストールしたはずなのですが、一部、引き継がれていなかったようです。まあ、指定項目のすべてを記憶しているわけではないのですが、一部、こっちにしていたはずなのになっていないものとか、登録単語で最近、よく使っているものが登録されていないとか、気になった点がいくつかありました。

■アップグレードでよくなった点

●カナ入力時のミス修正

「ぅ→う」が追加されています。今まで単語登録で対応していた「けんきゅぅ」などのパターンが自動で処理されるようになったわけです。

●変換スピード

体感的に違いを感じません。Nortonとか、アップグレードしなきゃよかったと思うほど重くなったりするものもありますから、違いを感じないというのはいいことだと思います。

●その他

単漢字の情報が出るようになりました。常用漢字か人名漢字かとか、あと文字コードなども出てきます。漢字の細かい点を気にするとき、便利だろうなと思います。ウィンドウの出方からして、単漢字の情報は共同通信社記者ハンドブックではなく、ATOKから出ているようです。

■修正してほしいこと

●変換候補ウィンドウの出方

変換候補を縦に並べる設定で使っているのですが、なぜか時々、横に並んでしまうことがあります。次の変換では設定通り縦に並びますけど。どういう条件だと横に並ぶのか、よくわからないのですが、なんとなく、再変換のときに起きることが多いようには感じます。

●候補ウィンドウの表示フォント

候補ウィンドウの表示フォント、任意のフォントで固定できるようにして欲しいですね。今は、MSゴシックになってしまいます。表示フォントは固定したいけど(アプリ側がプロポーショナルのときに便利)、固定するなら自分がメインで使っているフォントにしたい。変換候補なんてさぁ~っとスキミングするのだから、少しでも見慣れたフォントでないと困ります。

候補ウィンドウの背景色も指定できるとうれしいですね。

●再変換

確定後、Ctrl+BSで再変換になるのだけれど、その反応が遅すぎます。変換を間違えたから再変換するわけで、変換候補を出したいし、次の候補へ変換する準備をしたいわけです。だから、Ctrl+BSの直後にスペースキーをたたくのですが……再変換状態になるだけで他の候補が出てこないことがあります。ちなみに、一呼吸置いてスペースキーをたたくと必ず候補一覧がでます。つまり、ATOKの反応がキーボードについてきていないというか、再変換状態にはいる処理をしている間、キーボードのイベントを捨ててしまっているのでしょう。その間もイベントを拾っておいて、ちゃんと候補一覧を出して欲しいものです。

ちなみに、システムはIntel Core2 Duo 2.66GHz、メモリ4G、WinXP SP3なので、マシンが非力すぎるということはないはずです。

●入力文字が変化する不具合

FireFoxでタブが増えたとき、カナ入力が英文字になってしまう不具合が時々発生します。今までのATOK17に比べると発生頻度が落ちた気はするのですが、なくなってはいないようです。ATOKのパレットは「かな」のママなのに、実際に入力される文字は英文字。英文字とかなの切り替えをすると、かなになります。もちろん、このとき、パレット表示は変化しません。

■その他の要望

お会いしたジャストシステムの方にはお伝えしたことだったりしますが、昔から、何点か要望があります。

●カナキー入力についてミスタイプ修正の充実

カナキー入力でよくあるミスタイプというものがあります(「日本語入力の工夫-入力の手練れとなる」)。もちろん、私に特有というものもあると思いますが、カナキー入力する人に共通するものも多いと思うんですよね。「ぅ→う」が今回、追加されていましたが、このあたりをもっと充実させてもらえるとうれしいですね。

●単語登録時、読みの制限解除

単語を登録するとき、読みにカナ以外が入っているとはじかれてしまいます。一般的にはそういう仕様のほうがいいというのは理解できるのですが、使い込んで自分なりの登録をしようとすると、この制限が困ることもあります。つい先日も、新しい単語を登録しようとして引っかかりました(登録しようとした単語と読みをメモるの、忘れました^^;)。

秀丸では、普通の設定のほか、「上級者向け設定」というのがあって、ここにチェックを入れるとかなりあぶない設定までできるようになります。そんな形でいいから実装して欲しいですね。登録時の処理としては、チェックルーチンをスキップするだけでよく、特に難しくないはずですから。

|

« a(b + c) や (a + b)c の訳し方 | トップページ | 翻訳者と日本語入力IME »

PC-ソフトウェア」カテゴリの記事

コメント

> ATOKのパレットは「かな」のママなのに、実際に入力される文字は英文字

この現象、私の環境でも、やはり Firefox 上でかなり頻繁に発生します。

かな入力派として、私からもひとつ要望を追加させてください。

MS-IME には、「Shiftキーを1回押しただけで一時的に英字入力になる」機能があります。ATOK にその機能はありませんが、似た機能として「Shiftキー + A~Z で英語入力に切り替える」というものがありますが、これがローマ字入力限定です。この機能をかな入力でも使えるようにするか、MS-IME と同等の機能をぜひ実装してほしいと思っています。

投稿: baldhatter | 2010年10月 1日 (金) 14時48分

Firefoxと相性が悪いんでしょうか。ああ、Firefox側の問題かもしれませんね。

Shiftキー+αで英字入力になると、かな入力で必要なShiftで切り替わっちゃったりしませんかね。基本的にはあり得ないパターンにすればいいはずですが、実際には、Shiftキーのタイミングが微妙にずれて入力ミスするというのがよくあるのでちょっと心配です。

もちろん、簡単に切り替えられるホットキーがあれば便利というのはそのとおりだと思います。

私の場合、右AltでIMEのオン・オフをしていて、これがホームポジションから右手中指で押せるので、英字と日本語はIMEのオン・オフで切り替えています。

投稿: Buckeye | 2010年10月 1日 (金) 18時03分

かな入力中に Shift キーが必要なのって、拗音の「ゃゅょ」と「を」だけだから大丈夫そうな気がします。

でも、できれば MS-IME と同じく「Shift キー 1 回押し」を希望しています。これだと、Shift キーを押した後の一連のアルファベット入力が英字になるだけで、確定とか変換を押すとすぐ日本語に戻ります。

投稿: baldhatter | 2010年10月 1日 (金) 19時57分

あ、すいません。もっとありますね。小さい「ぁぃぅぇぉゎ」、促音の「っ」、今使ってるカギカッコ。あ、読点と句点もそうか...

投稿: baldhatter | 2010年10月 1日 (金) 20時10分

戻りに確定とか変換がいるのなら、どれかのキー一つで明示的に切り替えても同じような気がします。キーの入れ替えソフトでCapsLockと半角/全角キーを入れ替えるなんていうのはどうでしょう。

切り替えのキーにホームポジションから届くようになるはずだと思いますけど。

投稿: Buckeye | 2010年10月 2日 (土) 10時41分

まあそうなんですけど、かつては「かな入力」→「Shift押し」→「確定してかな入力を続行」というフローがかなり自然で楽でした。

今は、おっしゃるとおり、CapsLockで英字入力モードになるようにしています。これも、「変換」キーとか「ひらがな」キーとかいろいろ試してみたんですが、最終的にCapsLockに落ち着きました。

上に書いた「CapsLockで英字入力モードになるように」ですが、実はよくあるように「半角/全角キーと入れ替え」たのではなく、ATOK のカスタマイズ機能で英数入力を割り当てています。長くなるので、自分ちに書きます。

投稿: baldhatter | 2010年10月 3日 (日) 10時12分

baldhatterさん、

じゃ、記事、楽しみにしています。書いたらトラックバックしてくださいませ。

投稿: Buckeye | 2010年10月 4日 (月) 18時27分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ATOK 2010+共同通信社記者ハンドブック:

» # ATOK と英字入力 [禿頭帽子屋の独語妄言 side A]
翻訳ツール関連ということで side TRADOS に書いてもよかったのですが、 [続きを読む]

受信: 2010年10月 5日 (火) 01時03分

» # ATOK/MS-IME の英字入力 - 補足 [禿頭帽子屋の独語妄言 side A]
前回のエントリで、こう書きました。 MS-IME には、かな入力中に Shift [続きを読む]

受信: 2010年10月 6日 (水) 23時23分

« a(b + c) や (a + b)c の訳し方 | トップページ | 翻訳者と日本語入力IME »