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2010年8月

2010年8月30日 (月)

翻訳通信100号記念セミナー・パーティ

山岡洋一さんが月一で発行を続けておられる『翻訳通信』が100号に達することをうけ、記念のセミナーとパーティが2010年8月28日におこなわれたので参加してきました。

月一ですから、8年強、かかっているわけです。それだけの期間、毎月休まずに長い記事を書き続けてこられたのはすごいと思います。しかも、実は一度、ナンバリングをリセットされていて、旧シリーズも60号近くが出ています。合計すると160号、14年くらいになるでしょう。

20100830_r0010313

セミナーでは、いろいろ、そうだなぁと思うお話があったのですが、ひとつだけ、気になった点があったので取りあげてみたいと思います。

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2010年8月28日 (土)

翻訳の質素イノベーション?

知り合いのブログからリンクをたどったら、「IT翻訳者Blog」というところに「翻訳の質素イノベーション」という記事がありました。

ここしばらく、翻訳関係の人と話したりブログを読んだりしていると、翻訳料金の相場が下落している話をよく聞く。相場が下落しては質を保つのは難しいが、それでも高品質な翻訳を行いたいと思っている翻訳者や翻訳会社は多い。しかし実のところ、エンドユーザーは「質の高さ」を必ずしも求めていないのかもしれないのである。最低限の日本語品質を確保できるのであれば、それを超える品質は過剰であると考える層は意外に多い可能性はある。そうなると「良いものを作れば、売れる」という愚直で職人的な信念では、ビジネスはうまく行かない。

「エンドユーザーは『質の高さ』を必ずしも求めていないのかもしれない」はそのとおりでしょう。エンドユーザーが求めているのは、総合して満足できるモノ、のはずですから。ただ、そこからスタートして品質過剰へと話をつなげるのは無理があると思います。

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2010年8月27日 (金)

書籍の販売にからんで思ったこと

おかげさまで、『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則』、売れております。で、担当編集さんがいろいろな情報を集めてくれるので、あちこちの書店でどんな感じの販促をしているのか、今回はけっこう、見ることができています。

大阪ジュンク堂では壁一面にディスプレイ

■八重洲ブックセンター

ブックタワー

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統計ベースの機械翻訳

テクニカルコミュニケーションシンポジウム2010」でも書いたように、パネルで統計ベースの機械翻訳が紹介されました。

河野さんが使われたスライドは公開されています。

統計ベースの機械翻訳とは、ごくごく乱暴にまとめると、言葉のつながりを解析し、「Aという単語が出てくると、その後ろ(あるいは前)にはBという単語が出てくることが多い」といった統計情報として活用する、ということのようです。

これをさらに乱暴にまとめると、ターゲット原語側のコロケーション情報を用意して活用すると言えるのかもしれません。

今回の話を聞いた印象では、語順が比較的かっちりしている英語などとの相性がよさそうに思いました。これに対して相性が悪そうなのは、語順が融通無碍の日本語。語順は融通無碍でも、ある言葉が前か後ろに「出てくる」というレベルでは同じなので、あまり違いはないのかもしれませんが。

なお、統計ベースだけだと、それなりにターゲット言語らしい文章にはなるけど、極端なことを言えば語順だけそれらしくしてあるものなので、意味のある文章になるとはかぎりません。それでも構造が似ている言語同士ならそれなりになるようですけど。ともかく、そのあたりを補うため、文法的な解析などを行うルールベースを組み合わせるといった工夫も始まっています。

さて、統計ベースの機械翻訳、質はどんな感じでしょうか。

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2010年8月26日 (木)

テクニカルコミュニケーションシンポジウム2010

8月24日、25日はTC協会のシンポジウム、『テクニカルコミュニケーションシンポジウム2010』に参加しました。マニュアル制作に関連する人を中心に、毎年、夏に行われるものです。

初日の24日は、午後、(↓)のパネルを聞いてきました。

「オープン」の概念が翻訳を進化させる
~仕事の仕方はひとつじゃない ― 翻訳の新たな選択肢~

司会は、昨年のJTF翻訳祭でパネリストとして登壇し、独特の語り口で存在感を発揮した中村哲三さん(YAMAGATA INTECH)。

パネリストは、翻訳関係でよく知られた河野弘毅さん(アイタス)のほか、「コミュニティ翻訳」の事例として『翻訳の新しい進め方』で紹介したサンの取り組みを進めておられる斎藤玲子さん(日本オラクル~サンがオラクルに買収されたため)、オープンソースの翻訳メモリ、OmegaTにかかわっておられるJean-Christophe Helaryさん(翻訳者)でした。

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2010年8月21日 (土)

教育用漢字のチェック

教育用漢字のチェックを行うスクリプトを公開しました。

http://homepage2.nifty.com/buckeye/software/
「翻訳に便利な小ツール類」→「翻訳支援環境SimplyTerms」→「教育漢字のチェック」

小学校で学ぶ漢字は教育用漢字と呼ばれ、小1用、小2用とすべて決められています。これを、小1以下、小2以下……小6以下と各学年でそれまでに習った漢字であるかどうかを確認できるスクリプトです。

小学生向けの文書を作る場合や児童書の翻訳をチェックする場合などに便利だと思います。

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2010年8月20日 (金)

内容がわかればよいので早く安く……

お客さんから往々にしてある要求が、この「内容がわかればよいので早く安く」です。この要求、お客さんの立場からすれば当たり前と感じるものですが、翻訳者からすれば、これほど理不尽な要求はないと感じてしまうものでもあります。そういう齟齬が発生する理由を考えてみましょう。

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2010年8月19日 (木)

高すぎる時給?

翻訳のチェック・リライトにどう対処すべきか」で(換算)時給について触れましたが、我々の時給というのはいくらが妥当なのでしょうか。

「なるはや」(なるべく早くあげて欲しい)という仕事を請け、クライアントのためにと休憩も取らずにがんばって早くに納品した結果、時給に換算したら2万、3万といった料金になってしまい、「ぼったくりだ」みたいなことを言われた人がいるのです。

その話を聞いたとき、私は思わず、(↓)のように返信してしまいました。

我々が得る報酬は時給ではなくあくまでアウトプットに対するもの。時給換算で2万、3万がまともじゃないっていうなら、時給換算で法定最低賃金を下回るような単価で発注するのもまともじゃないってことになるでしょう。「お宅は、手が遅い人には高く支払うんですか?」って聞いてみたいですね。時給が安くなるのは翻訳者の自己責任、高くなるのはぼったくりって、そんなの、単なるダブルスタンダードです。

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2010年8月16日 (月)

収益拡大の考え方

個人事業者というのは法人の経営者と同じ位置づけになります。たしかにいろいろな面で共通する点がたくさんあるのですが……収益を拡大しようと思ったとき、どう考えるのかという部分は、基本的な方向性が180度違うように思います。

会社の場合、事業の拡大や新規事業の立ち上げを考えます。拡大した部分が採算さえとれるなら、必要な分、人員などのリソースを増やせば売上も利益も増えることになります。利益率が低くなっても、売上が拡大すればそれはそれでよいことになります。

これに対して個人事業者の場合、基本的にリソースを増やすことができません。いや、お店などの業態であれば企業と同じようにリソースを増やせばいいんですが、我々のようにフリーランスと呼ばれる人種、しかも、翻訳のように職人の手間仕事という感じの職業の場合、リソースは自分ひとりで増やせません。ツールその他で多少の効率向上がはかれるにせよ、それだけです。この限られたリソースをどう活用すれば収益が増えるかと言うと……(↓)が基本的な方針となります。

  1. まず、リソースを使い切る状態にもってゆく
  2. リソースを使い切ったら利益率を拡大する

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2010年8月15日 (日)

収益最大化のポイント-時間単価

先日、「友人の事務所開き」で久しぶりに会った友人から、以下のようなことを言われました。

Buckeyeさんはブログで単価の話をよくしてますけど、収益ということを考えると、必ずしも単価を上げることだけが重要じゃないですよね。単価が高い仕事はいろいろとややこしくて時間単価はかえって下がったりしますから。

言われてみれば、その点について今まで書いていませんでした。

年間売上高を最大化するとは、(↓)を最大化することだと言い換えられます。

平均の時間単価×年間稼働時間

稼働時間を増やす方策は(↓)でしょう。

  • 単価を下げる
  • 取引先を増やす

一方、時間単価は(↓)で決まります。

  • ワード単価×1時間あたりの処理量

こう考えてくると、年間の収益を最大化するためには、時間単価を最大化した上で、所望の年間稼働時間が得られるまで取引先を増やすというのが基本ということになります。

というわけで、ここでは時間単価について考えます。

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2010年8月13日 (金)

ポータブルWiFiルータ(docomo)

携帯電話の回線を用いてワイヤレス通信ができるポータブルWiFiルータ、先日、ミニオフで見せてもらって興味を引かれたのですが、結局、私も購入してしまいました。

最近はやりのようで、数社から似たような製品が売り出されていますし、各社ともキャンペーン中でそれなりにお得な状況です(といっても、もっと普及すればもっと安くなるので不要な人が急いで買うことはないと思いますが)。

私が購入したのはdocomoの回線を用いるBuffaloの製品。毎月の使用料を基準に考えるなら他社製品のほうが安いのですが、一番、使いたい八ヶ岳エリアをきちんとカバーしているのがdocomoのみだったので、私にとっては選択肢がありませんでした。ちなみに人口カバー率、docomoは100%をうたっていますが、低いものは90%程度しかありません。カバーは当然に人口密度が高いところから覆ってゆくので、98%程度でも、ちょっと田舎にゆくとカバーされていないなんてことになります。90%だと、都市部しか使えないと思っておいたほうがいいくらいです。

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2010年8月12日 (木)

ビジネス技術実用英語大辞典 第5版

そうそう、この話、書こう書こうと思ってのびのびになってました。

通称、うんのさんの辞書、『ビジネス技術実用英語大辞典』の第5版が出ます。「海野さんの辞書」でも書いたように、プロの翻訳者として商品価値の高い訳文を作るためには手放せない一冊です。

辞書ビジネスはいろいろときびしく、この辞書も改訂版を出せるのかどうか不透明な状況が続いていたと聞いているので、朗報です。

改訂版の発刊を記念するオフ会をNestさんが企画してくれています。9月4日、新宿あたりで行うとのことです。申し込み期限は8月30日の夜7時。詳しくは「It's a Celebration!」をご覧ください。

なお、オフ会ではEPWING版CD-ROMの割引販売も行われるそうです。

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2010年8月11日 (水)

2焦点のメガネを使ってみた感想

2焦点のメガネ」でいろいろと検討したメガネ、しばらく使ってみました。

いいですねぇ。もっと早くに買えばよかった。

2焦点累進の遠近用レンズということで、近用部分を中心に両サイドが見えにくいはずなのですが、私くらいの度だと、言われなければ気づかない程度です。なお、この場合、問題になる「度」は、遠用と近用の差です。今回の私のレンズはこれがレンズ4段階の1.00。視野が狭まってくるのは6段階の1.50くらいからで、あとは差が大きくなればなるほどレンズ設計に無理が出て視野が狭くなるということのようです。

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2010年8月10日 (火)

ミスの少ないワークフロー:辞書引き

みなさん、辞書はどういう形で引いていますか? 私の場合、原稿ファイル上で引きたい言葉を選択し(あるいはカーソルを置くだけ)、ファンクションキーを押せば、主立った辞書、30冊ほどを一気に引けるようにしています。

紙の辞書には紙の辞書の良さがあるのですが、仕事として大量に引く場合、やはり、パソコン搭載の電子辞書が便利です。

このあたりについては、過去に(↓)の記事を書いています。

電子辞書の選び方・使い方

ついでに(↓)もお勧めします。

辞書-信じるはバカ、引かぬは大バカ

このような形で辞書を引くと入力の手間が省けてスピードアップが実現できます。それだけじゃありません。ミスを減らすこともできるのです。

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2010年8月 3日 (火)

ミスの少ないワークフロー:コピーペーストの省力化

先日、「翻訳チェックツール、CheckAlignの説明会に参加」という記事で、「チェック用ツールの導入よりミスが混入しないワークフローへの変更が大事」ということを書きました。

じゃあ、具体的にどうするのかも書かないと片手落ちですよね。イマドキ、原稿はファイルで送られてくるのが普通です。つまり、数字とか英語ママ残すものなどは、原稿にもともと入っているのが普通。それをコピーペーストすればいいわけです。

その際の手順は、一般的には(↓)でしょうか。

  1. 範囲選択(マウス or キーボード)
  2. コピー(Ctrl + C)
  3. 訳文にカーソルを移動
  4. ペースト(Ctrl + V)

けっこうな手間なんですよねぇ、コレ。数字なんかだったら、いちいちやるよりキーボードから入力したほうがず~っと楽だし速い。そう考える人が多いから、コピーペーストすればいいものにミスが頻出するのだと思います。

このパターンで省力化するポイントとして一般的なのは、範囲選択の部分。範囲選択のとき、マウスなら、ダブルクリックからで単語単位に選択できるとか、キーボードでShiftやCtrlとカーソル移動キーの組み合わせを上手に使うとか、そんな話になります。

私は無精なので、上記の2、3、4なんてめんどくさいことをするのもイヤです。かといって、ミスが混入するワークフローで作業して、あとからミスを検出するなんてそんなめんどくさいこともイヤです。

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