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2010年7月 8日 (木)

激安翻訳のサイト

先日来、単価の下落などに関連するエントリーを続けて書いているわけですが、そういうことをしていると、いろいろと情報を寄せてくださる方がいたりします。そんなこんなで知った安い翻訳料金の例を紹介しておきます。

お金の関係などは、すべて、ウェブに公開されている情報+私の推測です。自分も参加してみればもっと詳しくわかるのですが、さすがにそこまでしてみるつもりにはなれませんから。

Conyac

翻訳言語 売値
日英 0.9円/文字
日中 0.9円/文字
英日 0.45円/文字

最後の「英日:0.45円/文字」というのが1ワードなのかアルファベット1文字なのかよくわかりませんが……日英よりも数字が小さいことを考えると、アルファベット1文字あたりなのかもしれません(英語の説明を読むとアルファベット1文字ということでいいようです)。そうだとすると、1ワードあたり2円くらいでしょうか。

サイトでは翻訳業者A社との比較がされていますが、ざっと数十分の一ってところです。英日がワードあたりと文字あたりの違いでさらに安く感じるようになっているあたりは、意図的なのかたまたまなのか……

まあ、ともかく、激安ですね。それもそのはず、ここはソーシャル・トランスレーション・サービスなわけです。誰が訳してもいい。訳したい人が訳せばいい。一応、お金が介在していますが、基本的にお金と違うモチベーションの人たちが動いていると考えていいでしょう。

ここで翻訳をしているらしい人の記事によると、「古株ユーザさんの中にはかなりレベルの高い方もおり、頻繁に他のユーザさんの翻訳に評価をつけているので、質の良し悪しも分かりやすくなっています」だそうです。もっとも、本当にレベルが高いのかどうかはわかりようがなく、だからどうと一概には言えません。

myGengo

こちらはしばらく前にどこかの翻訳者コミュニティで話題になっていたサイトです。

翻訳会社をウェブ化してオーバーヘッドをなくし、安価で提供することによって今まで埋もれていた需要を掘り起こす。そういう趣旨だそうです。

基本的なモデルは翻訳会社なので、翻訳するのは、一定のレベルをクリアしたプロということになります。

グレード 売値(英日) 売値(日英) キャッチフレーズ
Standard 5円/word 3円/文字 ネイティブスピーカーによる迅速かつ確かな翻訳。日常使いに。
Pro 10円/word 6円/文字 プロによる翻訳。一般に公開/出版される文章に。
Ultra 15円/word 9円/文字 プロレベルの翻訳+校正。最高のクオリティをお求めの方に。

簡単のため1ドル=100円として計算。myGengoでは、どうも、ドル基準で単価が決められており、それ以外の通貨はドルとの換算でチャージするようです。為替リスクを避けるため、翻訳者への支払いもドルに連動するのではないかと思われます。その場合、今のように円高だと、日本円での支払いは上記よりも安くなります。

リストアップした価格は「myGengoが客に請求する売値」です。実際に翻訳をした人への支払いは、当然、ここよりも少なくなります(商売ですから当たり前)。翻訳者への支払いは、Proレベルでほぼ頭打ちでしょうか。Pro→Ultraの増分、5円は基本的に「校正」に使われるのでしょうから(もしかすれば、1円など若干の上乗せはあるかもしれません)。

myGengoについては、とある方が取材をしてブログに書いておられます。

ピクト図解: 翻訳サービス「myGengo」

ここの図、お金の関係がなんかおかしいですね。依頼者・myGengo間とmyGengo・翻訳者間で違う料金体系のものを引っぱってきているようです。いずれにせよ、この図ではmyGengoのマージンがありません。薄利多売をするにしても、マージンゼロではどうにもなりませんからね。

翻訳者への支払いはどのくらいでしょうか。一般的な翻訳会社であれば、売値5円/wordなら翻訳者への支払いは2~3円/word、売値10円/wordなら4~6円/wordです。myGengoが唱える会社の趣旨を信じれば、もう少しオーバーヘッドを減らして3円~4円/wordと6~8円/wordでしょうか。Ultraで1円の上乗せがあったと仮定して9円/word?

最近の円高状況では、上記から1円/wordずつくらい引く必要があります。

この単価で本当にキャッチフレーズ並みの翻訳ができるプロが集まるのでしょうか。

最近のスターティング・レートが8円/wordくらいのようですから、myGengoのレートだと最高額でスターティング・レートくらいということになるはずです。

ビジネス図解: 「myGengo」翻訳者の質と量の確保

こちらの取材記事では、「翻訳者はいい具合に集まっている」とされています。理由は、「翻訳が依頼される内容の面白さ」だそうです。例に挙げられているのはラブレターの翻訳。たしかに、ラブレターみたいなものっておもしろいですよね。そこまででなくても、こういう値段だから出てくるものの中には、内容に興味を持てない無味乾燥なものを訳しているよりはおもしろいというものがそれなりにはあるだろうと思います。

余談ながら……プロの翻訳者が仕事として翻訳する案件に対し「内容に興味を持てず、無味乾燥だと思う」のだとすれば、それはそもそも仕事を選び間違っていると思います。それは案件一つひとつをみれば中にはおもしろくないものもありますが、総体的には内容にも興味を持てるものでなければやってられないと思いますから。

でも、こういうところでもミスマッチは発生するはずです。そういうあたり、どうしているのか興味を感じるところではありますね。おもしろいからやるという人たちが大半なのなら、おもしろくない案件は誰も手を挙げない? ソーシャル・トランスレーションならそれで構わないわけですが、myGengoのような形態だと「やる人がいませんでした」は言えないでしょうから。

●感想

事業者として考えた場合、自分のコントロールが及ばないものに対していいとか悪いとか言っても何もはじまらないので、今回、紹介したようなサイトについても、その存在がいいとか悪いとか、そういうことは横に置いておきます。

こういうサイトを作れば、そこで翻訳をしてみようと思う人がいるのは当たり前でしょう。世の中にはいろいろな人がいますから。そして、それがソーシャル・トランスレーションであっても、その中にプロと比べてもそれなりのレベルという人がいることもあるでしょう。世の中にはいろいろな人がいますから。

プロとして仕事をしている立場からいえば、そういう形に食われないだけの力をつけ、営業をしてゆく。それに尽きると思います。

こういうサイトで翻訳をして、高い評価を受けている人なら、おそらく、いい取引先を探せばもっと高い値段で買ってもらえるのにもったいないなとも思います。myGengoに対しても2倍からうまくいけば4倍、Conyacにいたって5倍から10倍は軽いですし、うまくいけば30倍、40倍の報酬が得られるわけですから。もちろん、お金はないほうがいいという価値観もあるので、選ぶのは人それぞれということになりますが。

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