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2010年6月28日 (月)

日本語入力の工夫-入力の手練れとなる

先日「禿頭帽子屋の独語妄言 side TRADOS」に「単語登録のコツ」というエントリーがあがりました。私が工夫していることとかなりかぶるので、あちらも参照していただくということで、baldhatterさんと違う工夫をしている部分だけ、こちらでは書いておきます。

……と書きかけてふと検索したら、昔、通訳翻訳ジャーナルに書いた記事の原稿が出てきました。言いたいことはこちらで網羅されていると思うので、そちらの記事をアップロードしておきます。

ちなみに私が使っている日本語IMEは大昔からATOKです。私の場合、ATOKくらいしかなかった時代からのユーザーだったりします。翻訳の世界にはいったころの翻訳フォーラムで「MS IMEがいかにバカでATOKがいかに優れているか」の具体例が次々に紹介されていたし、その後、「MS IMEもずいぶんとよくはなったけど、やっぱりATOKにはかなわない」という話をあちこちで聞くので、そのままATOKを使い続けています。

登録のある単語数(別マシンへ辞書を移すために登録単語を書き出させたとき、出てくる数字)は3000ほど。人名などについては、カタカナ語の自動登録は基本的に避けています。この登録がないと翻訳の仕事もメールを書くのもやりにくいので、ときどき、登録単語を書き出してはバックアップしています。

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通訳翻訳ジャーナル(イカロス出版)連載記事
第12回 「入力の手練れとなる」(2001年8月号?)

先月に引き続き、効率アップの工夫を紹介する。今月は、文字入力の効率を上げるノウハウだ。これらは、時間的制約が厳しい二足のわらじだけでなく、専業翻訳者にとっても有効である。

■IMEの工夫

IMEというのは日本語変換を行うソフトのことだ。日本語への翻訳では、思ったとおりの漢字がスパッと出るかどうかで能率が格段に違う。

Windowsに付属するMS IMEを使っている人が多いと思うが、それ以外にも数種類が市販されている。最近はどのソフトもできがいいので、どれを選んでもいい。ポイントは、使い込んで慣れることと自分にあわせてカスタマイズすることだ。

◎IMEへの単語登録

カスタマイズの第一歩は、よく使う単語の登録。たとえば、私が使っているATOKには、「懸濁」という単語が「けんだく」という完全な読みで登録してある。「けん」という漢字は50もあるのでこの登録がなかったら大変だ。「この漢字、前にも出すのに苦労したな」と思ったら、どんどん登録していこう。

日本語の中に英語綴りのまま出てくるものも登録してしまう。たとえば、「Word」を「わーど」という読みで登録するのだ。いちいち、IMEを日本語→英語と切り替えたり、無変換にしたりする必要がなくなる。

とてもよく使う単語は、短縮読みで登録するといい。私は、「地球温暖化」という単語を「きて」という読みで登録している。「きて」とは、「Global Warming」の頭文字「GW」の位置にある日本語キーだ。私は日本語のときはカナキー入力で、このように「英単語の略になるキーを短縮読みとして使う」ということをよくする。頭の中で「Global Warmingは……」と考えながら「きては」と入力し漢字変換すると、「地球温暖化は」と入力されるわけだ。翻訳ならではのIMEカスタマイズと言えるだろう。

当然ながら、ローマ字入力でもこの方法が使える。「Global Warming」なら「gw」という読みで登録すればいいし、「Active Carbon」なら「あc」という読みで「活性炭」を登録する。

「きて」や「gw」なら2ストロークだが、「ちきゅうおんだんか」では11ストローク(シフトキーや濁点にも1ストロークずつ必要)、ローマ字入力で「chikyuuonndannka」と入れるなら16ストロークも必要になる。このように、入力の手間が大きく減るわけだが、この方法のメリットはそれだけではない。入力ミスが減るのだ。正直な話、私には、「ちきゅうおんだんか」や「chikyuuonndannka」を、毎回、正確にたたける自信はない。そんな私でも、「きて」や「gw」を打ち間違うことはまずない。

打ち間違いと言えば、自分がよく打ち間違えるパターンも登録してしまおう。私は、「まする」→「ます。」「あるる」→「ある。」などを登録している。「。」を入力するときに左手小指のシフトキーが遅れることが多いからだ。「すまる」→「ます。」などという変わった登録もある。なぜか、「ま」の前に「す」をたたいてしまうことがけっこうあるのだ。他に、「ぎじゆつ」→「技術」(「ゅ」のシフトキーが間に合わない)、「けんきゅぅ」→「研究」(シフトキーをはなす前に「う」をたたいてしまう)なども登録してある。

よく使う記号も登録する。「から」→「~」「みぎや」→「→」などだ。「どそ」→「゚C」「どは」→「゚F」なども便利である(読みは「どC」「どF」の意味)。化学記号も、「くそり」→「HCl」といった具合に登録してしまう。

◎IMEのさらなるカスタマイズ

IMEのプロパティを開いてみたことはあるだろうか。ここでは、さらにいろいろなカスタマイズが可能だ。IMEツールチップの上にマウスを持っていくとポップアップヘルプが表示されるので、「プロパティ」を探してクリックするとIMEのプロパティが開く。

ATOKでは、句読点モード(「、」と「,」のどちらを使うかなど)や入力支援(かな入力とローマ字入力でよくある間違いを自動修正)、半角全角変換(カタカナや英数字の変換を半角・全角のどちらにするか)などの設定がある。私が便利だと思っているのは、テンキーから入力した数字は半角になるという設定。日本語の途中に半角の数字を入力することが多いからだ。

MS IMEでも、オートコレクトや半角全角変換など、いくつかの設定が可能だ。自分の使い方にあわせて設定すればいい。

■ エディタの使用

単に文字を入力するだけなら、エディタを使うほうがいい。Wordなどのワープロソフトは、上付や下付などの文字修飾といった、ワープロソフトでなければできないことをする場合だけにする。

理由は、エディタのほうが動きが軽いからだ。最近はパソコンの処理速度が速くなったが、それでも、Wordと翻訳者がよく使っている秀丸エディタでは、反応速度が違うことをはっきりと感じる(ちなみに、この原稿を書いているマシンはPentiumIII 1GHzだが、それでも違いを感じる)。

また、文字入力部分だけに限れば、エディタのほうが機能的に優れていることも多い。ひとつひとつは細かいことだが、それらが集まると大きな違いになるのだ。

■エディタやワープロソフトの使いこなし

エディタを使うにせよワープロソフトを使うにせよ、その使いこなしが重要だ。

◎カーソル移動

カーソルの移動は、キーボードの矢印キーでもできる。「そんなこと知ってるよ」と言われそうだが、これには先がある。Ctrlキーを押しながら左右の矢印キーを押してみて欲しい。ソフトによって動作が若干異なるが、基本的に、単語を単位として動いていく。少しだけ動かすときは、マウスよりもこちらが速い。

◎範囲選択

Shiftキーを押しながら矢印キーでカーソルを動かすと範囲選択になる。Shift+Ctrl+矢印なら、単語単位で選択だ。ちょうどカーソル位置にある単語を選択する場合などは、マウスよりもこちらが速い。

マウスによる範囲選択も、シングルクリックでドラッグする以外に、ダブルクリックでドラッグするという方法がある。シングルクリックからなら文字単位、ダブルクリックからなら単語単位での選択になる。ただし、Wordは、デフォルトで「オプション」→「編集と日本語入力」→「文字列の選択時に、単語単位で選択する」が有効になっており、これらの操作は同じ結果になる。私は、単語の途中からでも選択できるようにこの設定をオフにしておき、必要に応じてダブルクリックからドラッグしている。

◎コピーアンドペースト

コピーアンドペーストのために、いちいち、ドロップダウンメニューからコマンドを選択している人はいないだろうか。このような使用頻度の高いコマンドには、たいがい、ショートカットキーが割り当てられている。ショートカットキーとは、ドロップダウンメニューの右に表示される「Ctrl+C」などのことだ。こちらを使えば、圧倒的に速く処理できる。デフォルトでショートカットキーのない機能に自分でショートカットキーを割り当てることもできる。

コピーアンドペーストは、マウスによるドラッグアンドドロップでも行える。単にドラッグしていけば移動、Ctrlキーを押しながら行えばコピーだ。ただしWordでは、文字列が選択されたままになるので、次の文字を入力する前にマウスあるいは矢印キーで選択を解除する必要があり非常に不便。秀丸などは、ドラッグアンドドロップでコピーするとその後ろにカーソルが移動するので、そのまま入力を続けていける。

◎クリップボード履歴

クリップボード履歴などと呼ばれる機能も便利だ。秀丸では、「編集」メニューの中にある。私はこれを、他のクリップボード関係のショートカットと並ぶように「Ctrl+B」に割り当てて使っている。この機能を使うと、それまでにクリップボードにコピーした単語を一覧表示させ、そこから選んで文章に張り付けることができる。翻訳、特に技術系の翻訳では同じ単語が繰り返し出てくるため、とても便利だ。

Wordも、Word2000には、Officeクリップボードという名前で同様の機能が導入された。ただし、いちいち特別な操作をしなければならなかったり、記録してくれる数が少なかったりと機能は貧弱だ。

Wordでクリップボード履歴を使いたいなら、フリーウェアとして公開されているクリップボード履歴ツールを使ったほうがいい。窓の杜やVectorで手にはいるので、ぜひ、使ってみて欲しい。

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コメント

かな入力だと、登録の発想は似てくるものですが、「英単語の略を短縮読みとして使う」という点だけはまったく違いました。私はこのパターンほとんどありません。一方、「自分がよくやる入力ミスを単語登録でカバーする」のは同じです。「すまる」→「ます。」とか、まったく同じ^^

> Wordでクリップボード履歴を使いたいなら

秀丸エディタを常駐させておけば、Word も含めた他のアプリケーションを使っている間でも、クリップボード履歴機能が有効になります。フリーのクリップボード監視ツールをいくつか試しましたが、最終的にこの秀丸常駐に落ち着きました。

投稿: baldhatter | 2010年6月28日 (月) 11時23分

「英単語の略を短縮読みとして使う」はけっこうお勧めですよ。たいがい変な音になるので、ほかと混じりにくくていいんです。応用技としては、「環境→いひ(EnVironment)」、「情報→にも(InforMation)」なんていうものもあります。

これに慣れてしまうと、翻訳で使わず、記事を書くときにしか使わないのに、「英単語の略を短縮読みとして使う」で登録していたりします。「翻訳者→かり(TransLator)」、「翻訳会社→かそ(Translation Company)」とか。

クリップボードの履歴は、私も結局、常駐秀丸エディタになっています。で、この履歴を参照する機能は、クリップボード関連ということで、Ctrl+Bに割りあてています。こうやって関連させておかないとわからなくなってしまうので(^^;)

投稿: Buckeye | 2010年6月28日 (月) 11時45分

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