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2010年6月29日 (火)

翻訳者は個人事業者

最近、あちこちの翻訳者コミュニティで単価の低下に対してどうすべきかといった議論が増えています。実は10年以上も前から単価は下がり続けており、いつか今のような状況になるという警鐘を鳴らす人も少数ながら存在しました。私が2001年秋、日本翻訳連盟の翻訳祭で話した『勝ち残る翻訳者-高低二極分化する翻訳マーケットの中で』も、そのような警鐘のひとつのつもりでした。

あれから10年近くたって、この単価ではやれない、転廃業を考えたほうがいいのではないかとあちこちで声が上がる状況が実際に生まれた……そういうことなのだと思います。

こういう議論をするに場合、前提として考えておくべきことがあります。フリーランスの翻訳者は事業者だという点です。事業者として我々に並び立つものは、営利法人、つまり会社です。人間として、事業者としての個人翻訳者に近い取扱いとなるのは、会社の社長です。

条件が悪い、単価が安いという話はよく出ますが、個人事業者という考え方からすると、それは愚痴にしかなりません。悪い条件の仕事を請けると決めたのは自分。安い単価の仕事を請けると決めたのも自分。誰に強制されたわけでもなく、事業者が自らの意思で条件に同意したわけです。泣きつかれたからとかがあっても、それでも、強制されたわけではありません。今の社会システムでは、そういうことになります。

我々の労働条件を決めるのは我々自身。だから、労災も過労死も認定されることがありません。どちらも労働者(被雇用者)を雇用者から守る制度ですから。自営業とはself-employedですから、自分を自分から守るのに法律の助けはいらないというのが基本的な考え方となっているのだと思います。

そういう意味では、条件が悪いと思うなら、我々一人ひとりが自ら動くしか改善の方法はありません。個人事業者、自営業というのは、すべて自己責任と同義ですから。

自分はそんなたいそうなモノじゃないと思っても……社会的な扱いはそういうもの。それを前提にいろいろと考える必要があると思います。

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