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2010年6月

2010年6月29日 (火)

翻訳者は個人事業者

最近、あちこちの翻訳者コミュニティで単価の低下に対してどうすべきかといった議論が増えています。実は10年以上も前から単価は下がり続けており、いつか今のような状況になるという警鐘を鳴らす人も少数ながら存在しました。私が2001年秋、日本翻訳連盟の翻訳祭で話した『勝ち残る翻訳者-高低二極分化する翻訳マーケットの中で』も、そのような警鐘のひとつのつもりでした。

あれから10年近くたって、この単価ではやれない、転廃業を考えたほうがいいのではないかとあちこちで声が上がる状況が実際に生まれた……そういうことなのだと思います。

こういう議論をするに場合、前提として考えておくべきことがあります。フリーランスの翻訳者は事業者だという点です。事業者として我々に並び立つものは、営利法人、つまり会社です。人間として、事業者としての個人翻訳者に近い取扱いとなるのは、会社の社長です。

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2010年6月28日 (月)

日本語入力の工夫-入力の手練れとなる

先日「禿頭帽子屋の独語妄言 side TRADOS」に「単語登録のコツ」というエントリーがあがりました。私が工夫していることとかなりかぶるので、あちらも参照していただくということで、baldhatterさんと違う工夫をしている部分だけ、こちらでは書いておきます。

……と書きかけてふと検索したら、昔、通訳翻訳ジャーナルに書いた記事の原稿が出てきました。言いたいことはこちらで網羅されていると思うので、そちらの記事をアップロードしておきます。

ちなみに私が使っている日本語IMEは大昔からATOKです。私の場合、ATOKくらいしかなかった時代からのユーザーだったりします。翻訳の世界にはいったころの翻訳フォーラムで「MS IMEがいかにバカでATOKがいかに優れているか」の具体例が次々に紹介されていたし、その後、「MS IMEもずいぶんとよくはなったけど、やっぱりATOKにはかなわない」という話をあちこちで聞くので、そのままATOKを使い続けています。

登録のある単語数(別マシンへ辞書を移すために登録単語を書き出させたとき、出てくる数字)は3000ほど。人名などについては、カタカナ語の自動登録は基本的に避けています。この登録がないと翻訳の仕事もメールを書くのもやりにくいので、ときどき、登録単語を書き出してはバックアップしています。

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通訳翻訳ジャーナル(イカロス出版)連載記事
第12回 「入力の手練れとなる」(2001年8月号?)

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2010年6月27日 (日)

『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則』

年初からずっとブログ更新が滞った原因の第2弾、『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則』が、7月15日に出ることになりました。

プレゼンテーションのうまさで当代随一と言われるスティーブ・ジョブズを実例に、コミュニケーション・コーチであるカーマイン・ガロがプレゼンのやり方を説明する本です。精神論ではなく、考え方から準備の進め方、しゃべり方、立ち方、練習の仕方まで、ポイントごとに詳しく解説されています。これを読めばあなたも明日からジョブズ並みのプレゼンができる……わけはありませんが、ポイントをひとつでもふたつでも活用し、練習をしてみれば、今より上手になることは請け合い。そんな本です。

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2010年6月25日 (金)

ローカリゼーションという専門

先日紹介したSINAPSフォーラムのこともあり、最近、ローカライズというものについてぼんやりと考えることがよくあります。そんなことをしていてふと思ったのですが……ローカライズという分け方って、どうなのでしょうか。

翻訳の世界でローカライズとかローカリゼーションと呼ばれるのは、翻訳メモリを使い、多人数で進めるプロジェクトです。内容はコンピューターに関するもの(いわゆるIT系)。翻訳メモリを使わないものはローカライズと呼ばない、翻訳メモリを使ってもコンピューターと関係のないものとかひとりで完結する仕事とかはローカライズと呼ばない。私はそう理解しています。この縛りをはずすと、翻訳という仕事はすべてが「ローカライズ」になってしまいますから。

それにしても、この分け方、ちょっと不思議な気がします。

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2010年6月24日 (木)

ロケットペンシルとところてん

しばらく前、たしか今進めている書籍の翻訳で、後ろから押されて順番にずれて消えて行くような話で「ところてん式」と書こうとしました。そこでふと思いだしたのが、少し前に休憩時間に見たDVD。若い人にロケットペンシルのようなものと説明したらわかってもらえず、ところてんと言いなおすシーンがあって……「ところてんなんて、最近の若い人、知らないんじゃないの?」と思わず、心の中で突っ込んでしまったのです(職業病です^^;)。

自分の常識は世間の非常識。まずは、一番身近な世間、嫁さんに聞いてみました(夫婦はいろいろな意味で似ていたりするので、このふたりの常識が世間の非常識ってことはいくらでもあるのですが)。

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2010年6月23日 (水)

書くと安心する

今年2月、翻訳ミステリーの読書会というものに参加しました。友だちがときどき寄稿していると聞いて「翻訳ミステリー大賞シンジケート」というサイトにアクセスしたら、ちょうど、誰でも歓迎の読書会をするという告知があったので。

読書会自体は……翻訳ミステリーって私が読むものじゃないなと改めて確認したような次第で、まあ、なんというか、要するに場違いなところへ出てしまったわけで、なんともはやでした。ただ、途中でどなたか(こっち系では有名な翻訳家らしいのですが、名前、覚えられなかった^^;)からいい一言があったので、「ああ、出てよかったな」と思いました。

その一言が、表題の「書くと安心する」です。

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2010年6月22日 (火)

スタイルガイド検討フォーラム

ITローカライズ系でよく使われるスタイルガイドについての検討をJTFで行っています。

SINAPSフォーラム

スタイルガイドというのは、もともと、多人数で翻訳する際に揺れがちな品質を安定させたり、底上げすることを目的に作られたものなのですが、現場で仕事をしている人からはおかしな決めごと、適用すべきときとすべきでないときがあるのに従っていないと後処理で無理矢理に修正(その実態は改悪)されてしまうなど、いろいろと問題があると聞きます。ソースクライアントごとに細かく違うことも、複数企業の仕事をするフリーランスにとっては混乱する点であり、作業効率は落ちるしミスは出やすいしといいことがないという話もあります。

ただ、そうやって文句を言っていてもなにも変わりません。ダメだと言うなら対案を出そう。そういう考えで、とにかく、なにが問題でなにをどうすべきなのか、まずは話しあってみようというのがSINAPSフォーラムです。

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2010年6月20日 (日)

翻訳フォーラム大オフ2010

昨日は、このところ年に1度開催している翻訳フォーラムの公式オフ、「大オフ」でした。ワールドカップとぶつかってしまったため参加者は25人と少なめでしたが、その分、じっくり話ができたように思います。自己紹介の時間もわりとゆったりでしたし。

いろいろとデモの用意をしてくれた人がいたので、自己紹介後はみんな椅子から立ってデモ機の回りでガヤガヤ。過去にやった仕事で形になっているモノも展示していたので、そちらも手に取ったり仕事をした人に話を聞いたり。3時間があっという間でした。

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2010年6月16日 (水)

日本語はあいまいで非論理的か

翻訳者の話では、よく、日本語はあいまいで非論理的、英語のほうが明快で論理的といった議論があります。特に日英翻訳のとき、日本語はあいまいでそのままでは英語にならない、いろいろと補わないといけない、日英翻訳の日本語原稿は99%悪文だとまで言った人もいます。

本当にそうなのでしょうか。

どういう仕事をしているのかによっていろいろなので、99%悪文だと言われた翻訳者のところに来る日英の原稿は本当に99%が悪文なのかもしれませんが……でも、世の中、翻訳の原稿となる日本語の99%が悪文ということはまず考えられません。産業翻訳の原稿となるのは基本的には他人とやりとりするために書かれた文章のはずです。その99%が意味不明の悪文なのであれば、それは文書が書かれた目的を達成できないということであり、それはとりもなおさず、日本経済も日本社会も立ちゆかないことを意味します。

ひるがえって現実を見れば、日本経済も日本社会もそれなりにきちんと動いています。つまり、日本語の文書もそれなりにきちんとしているということでしょう。

●日本語は「状況依存性・文脈依存性が高い」「柔軟性が高い」

日本語はあいまいなのではなく、文脈依存性が高いのだと私は考えています。

ついでに付けくわえれば、文脈に支えられた状況であれば少ない言葉数で必要な情報を伝えることができる……つまり、伝達効率が高いのだとも思います。

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