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2010年4月11日 (日)

『マンガ 統計学入門』

このところずっとブログの更新ができていませんが……その原因は、産業翻訳が回復してきたことと書籍が詰まっていることです。

書籍のほうは、とりあえず、1冊、完成しました。

統計学を勉強したことのない人に対し、統計学の歴史と基本的な概念・考え方をやさしく説明する本です。数式はほとんど出てきませんし、何カ所か出ているところも中学の範囲ですから、そのあたりが問題になることはないでしょう。入門書としてわるくないできだと思います。

この本の翻訳を担当することになったのは、理系本を専門に翻訳している知り合いからの紹介です。出版系というのは訳者・編集者の紹介というのが多いようです。訳書の数がまだ一桁という私程度でも、「スティーブ・ジョブズ-偶像復活」が山岡さんからの紹介ですし、私が訳者を紹介した本も片手の指近くに達します。

なんとなく恒例になってきた感がある翻訳裏話としては……まずは吹き出しの処理ですね。補足情報などはカッコに入れてしまったほうが読みやすくなることもあるのですが、吹き出しはしゃべりなので、しゃべりで表現できないそういう形は使えません。でも、カッコを使わずに流れるようにすると周辺の言葉が増えて長くなってしまい、吹き出しに入りきれないなんてことも。登場人物が多いので、人によってしゃべり方を変えるとともに、それが混じらないようにするのがけっこう大変でした。

原文に不親切なところが散見された点もいろいろと手間がかかった原因です。大半は、担当編集さんをキーに訳者(私)、監修の神永正博先生とで相談し、原文と大きく変えてしまう処理としてあります。「不正確な翻訳」という言い方もできるのですが、原著よりもいい本に仕上がったはずだと考えています。

あああと、マンガのせいでところどころに手書き文字があったのに泣かされました。特に大変だったのが原著の153ページにある図の手書き文字。時間をあけて何度もトライしたのに読めないのです。普通は前後などから明らかな単語の書き方をベースに判読するのですが、ここは固有名詞らしい単語がどうにも判読できません。そのあたりに書かれている内容の説明なのだからと前後を読み返しても形が似ていると思える単語はないし。数回目にトライしたとき、ふと、本に登場していない人の名前かもと思いつき、内容面からウェブ検索をしてみると……ビンゴ! その人を中心に検索を続けると、あやしかった動物名(Kiel Herring)がほぼ確定。あとは1単語。書き方のクセからすると、lijpicalとかbjpicalとかって読めるんだけど……ってしば~らく悩んだ結果……typicalでした。tの横棒が縦棒まで届いておらずyの上までだったので、そこはテンなのだと思ってしまったのが間違いだったというわけです。というわけで無事に読めたのですが、それにしても、本文に出ない人がいきなりマンガに出てくるっていうのは不親切ですよね。有名人じゃないんですし。

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コメント

神永です。井口さんに翻訳して頂いていたのですね。

『セキュリティはなぜやぶられたのか』はもちろん読みましたし、『実務翻訳を仕事にする』も自宅にあります(私自身はもちろん翻訳で食べていける英語力ではなく、読み物として楽しませて頂きました)。

翻訳、本当にお疲れさまでした!

投稿: 神永正博 | 2010年4月11日 (日) 19時39分

神永先生、

これはこれは、いらっしゃいませ。

『セキュリティはなぜやぶられたのか』はお仕事とも関係あるようですし、お読みになっているのは当然かなと思うのですが(いい本ですよねぇ、アレ)、『実務翻訳を仕事にする』までお持ちとは……ありがとうございます。

それにしても、今回の本、私のところで問題点をつぶしきれず、予定外にたくさんの手間をおかけしてしまったようですみませんでした。ほんとにお世話になりました。

投稿: Buckeye | 2010年4月12日 (月) 16時02分

近所の紀伊国屋で拝見しました。

専門ではないですが、経済には統計は切っても切れない関係なので、原書と一緒に将来読んでみようかなと思っていますが・・・。ただ、現在、ウェーティング中の本がありますので、何時になることか。

投稿: takey | 2010年4月30日 (金) 10時39分

takeyさん、

監訳者の神永先生がご自分のサイト(神永さんの投稿からリンクで飛べます)に書かれていますが、統計というのは種々雑多な方法論の集まりという感じなので、こういう入門書で全体をざっとみておくことにけっこうメリットがありそうです。私は熱力学とか流体力学など工学系のアレコレで必要なところを都度、つまみ食いしてきたもので、今回、本書を訳しながら初めて全体を眺めてるまで、そのあたりがイマイチわかっていなかったりしました。

真剣に向き合って考えながら読まなければならない本ではないので、お風呂にでも入りながら気軽に読んでいただくのでもいいかもしれません。

原書と突き合わせながら読まれるときは……記事本文でも書いていますが、原著と変わっている部分もけっこうありますので、そのあたりは適当に。内容とか数字とかがまったく違ったものになっていたりするので、迷うことはないと思いますが。

投稿: Buckeye | 2010年5月10日 (月) 07時12分

某所では、この書籍についてコメントをいただきまして、ありがとうございました。

先日入手しまして、今読んでいるところです。
Buckeyeさんのコメントどおり、初学者向けの良い本だと思います。統計講座の受講生に推薦したいと思っております。

私はこれまで研究で必要なところしか統計を学んでこなかったので、この本で初めて知ったこともありました。とても勉強になっています。学生時代にこういう本があれば良かったなと思うくらいで・・・。この本が日本に紹介されて良かったと思っています。神永先生とBuckeyeさん、講談社の編集部の皆さまのおかげですね。ありがとうございました。

投稿: やま | 2010年6月18日 (金) 13時12分

やまさん、

これはどうも、コメント、ありがとうございます。

私も統計は自分に必要な部分だけ拾い食いをしたクチなので、この本を翻訳しながら「へ~」と思うことがよくありました。実はなんとなく統計というのは理学的の発展をしてきたような気がしていたんです。わかりにくいからかもしれませんね。でも、あくまで実学であり、工学的な発展をしてきたとは……だから、あちこちに似て非なるものがあったりイマイチ整合性のない部分があったりするんですね。

この本で全体をざっと俯瞰してから細かいことを学ぶと、知識がうまく整理できてよさそうな気がしますよね。

投稿: Buckeye | 2010年6月19日 (土) 08時45分

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