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2009年10月26日 (月)

和訳すると長くなるのか

翻訳の世界では、「和訳すると長くなる」と言われます。書籍なら厚くなるし、産業翻訳ならページ数が増える。PowerPointだとテキストボックスに収まりきれなくなる。

でも、テキストベースで仕事をしていると、「和訳すると短くなる」んです。

先日、さまざまな分野で英日翻訳の原文ワード数と訳文文字数の対応をまとめてみました。「訳文基準と原文基準の単価の換算(英日翻訳の場合)」に記載した表です。

この表をベースに、和訳したとき本当に長くなるのか検証してみましょう。

英語の1単語は平均5~6ストロークと言われているようです。英語は半角スペース1個をはさむ分かち書きですから、1単語あたり6~7ストロークを占めることになります。

日本語400字になる原文

分野・案件 範囲 原文ストローク数
IT系などカタカナが多いもの 100~120ワード 600~840
一般的なもの 120~160ワード 720~1120
医薬、論文など漢字が特に多いもの 140~180ワード 840~1260

これに対し、日本語は2バイト、全角文字ですから、その400字は800ストロークに相当します。

カタカナ語が多いと日本語のほうが長くなることもあるようですね。私の経験ではIT系を含めてほぼ常に短くなるのですが、私の訳文は短めなので、上の表で計算は合っているように思います。

結局、「長くなることもあるけど短くなることが多い」と言うべきなのかもしれません。

では、「和訳すると長くなる」というのは間違いなのでしょうか。

そうでもないと思います。「和訳すると長くなる」などの話をするときには、まず、何をもって「長くなる」と言うのか(あるいは「英語・日本語の長さ」とは何か)、という点を明確にする必要があります。

ストローク数、あるいはバイト数で見るかぎり、英語から日本語にするとどちらかと言えば短くなるわけです。でも、英語は、基本的にプロポーショナルフォントを使います。こうすると文字間が詰まるので、見た目としては英語と日本語がほぼ等しくなったり日本語のほうが長くなったように見えたりします。

さらに、日本語は、英語よりも行間や文字間を開ける必要があります(そうしないと読みにくい)。そのため、最終的に印刷物になったときのページ数は、判型が同じでも、まず、日本語のほうが多くなります。書籍の場合、英語ハードカバーよりも日本語ハードカバーのほうが判型が小さいこともあってこの差はさらに大きくなり、ページ数が1.5倍前後になることも珍しくありません。

このあたりが「和訳すると長くなる」と言われようになったゆえんではないかと思います。

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