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2009年10月19日 (月)

溶剤形塗料?

今朝、仕事の関連情報を集めていたら、「低VOC塗料(溶剤形)」というのが出てきました。

「溶剤形」って、漢字の意味として変だと思います。これ、「溶剤けい」と読むのなら「溶剤系」、「溶剤がた」と読むのなら「溶剤型」じゃないんでしょうか。

日本塗料工業会の上記URLページには(↓)とあります。

これらのことより、塗料製品中のVOC成分含有量が30重量%以下の塗料に「低VOC塗料」の自主表示を行います。水系塗料、粉体塗料などは元々低VOC塗料のためここでは溶剤形塗料が対象になり、表示は「低VOC塗料(溶剤形)」と致します。

水性塗料を「水系塗料」とするなら、それとの対比で「溶剤系塗料」とするのが素直だと思います。

意味からして明らかだとは思いますが、念のため使用例をざっと比較すると(↓)のようになります。

溶剤形<溶剤型<溶剤系

"溶剤形塗料" 4,250
"溶剤型塗料" 99,000
"溶剤系塗料" 265,000
"溶剤形" "塗料" 20,400
"溶剤型" "塗料" 48,400
"溶剤系" "塗料" 102,000

日本塗料工業会、どうして自主規制の表示を「低VOC塗料(溶剤形)」としてしまったんでしょうね。業界大手が名前を連ねる業界団体であり、大手メーカーのウェブをちょっと調べても、やはり「溶剤形<溶剤型<溶剤系」のようなんですが。

業界大手が名前を連ねる業界団体がガイドラインとして出したものはそこそこ信憑性があると考えられることが多いのですが、いろいろなケースがあるものですね。

今後、このガイドラインに従って「低VOC塗料(溶剤形)」という表示が増え、市民権を得てゆくのでしょうか。さすがにそれはないと思いたいのですが……

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言葉-日本語」カテゴリの記事

コメント

「溶剤形」で思い出したのが、医学用語で出てくる「線維」。
もとはFiberなんで「繊維」とちゃうんかなぁと思うんですが、専門性の高い文章では必ず
「線維」になるんです(新聞なんかは「繊維」)。
かなり前にどなたかが「漢字を間違えて書いて、それがそのまま広がってしまったんと
ちゃうかなぁ」と、あるメーリングリストに書いてはりました。

「ケッタイやなぁ」と思いながらも、権威のある人が「溶剤形」って書いてはるんやから、
多分そうなんやろう、イヤっ、きっとそうにちがいないっ!(ってゆーか、そーゆーことにしとこ)、
ってかんじで己に思い込ませてるんとちゃいますかねぇ(^^;)

投稿: Droz | 2009年10月19日 (月) 17時12分

書き方悪かったかもしれませんが、原稿に出てきたわけではありません>溶剤形

原稿にVOC塗料の話が出てきたので関連する情報を調べていて見つけた次第です。

今後、けったいだけど権威のある人が書いてるからこう言うんだろうって定着しなけりゃいいんですけどね、ホント……

投稿: Buckeye | 2009年10月19日 (月) 18時28分

こんにちは。かつてFHONYAKU時代にお世話になりました。

「弱溶剤形」、「低VOC(溶剤形)」などは業界標準になりつつあるようです。
なぜこうなったのか聞いてみたいところですが、日ペ、関ペ、大日本などの大手塗料メーカーのサイトでも「形」で表示しています。ですから、業界で「形」と決めたものと考える方が自然なように思います。
こうなると検索件数が指標とは限らないということになりますね。

投稿: taki | 2009年11月 6日 (金) 23時42分

>takiさん、

最近、このブログ、いろいろな方が来てくださってにぎやかになってきましたね(^^)

>> こうなると検索件数が指標とは限らないということになりますね。

いずれにせよ、検索件数だけでは判断できませんよ。誰がどう使っているのかなどまで見ないと。

改めて、大手と思われるメーカーのサイト内検索をしてみました。カッコ内は売上高です。

日本ペイント(2500億)
"溶剤形"  154
"溶剤型"   91
"溶剤系"  345

関西ペイント(1500億)
"溶剤形"  58
"溶剤型"  23
"溶剤系"  93

アサヒペン(170億)
"溶剤形"   0
"溶剤型"   1
"溶剤系"   5

大日本塗料(80億)
"溶剤形"  134
"溶剤型"   14
"溶剤系"   41

「大手メーカーのウェブをちょっと調べても、やはり『溶剤形<溶剤型<溶剤系』のようなんですが」と書いたときは、どこのウェブを調べたんだろ??? 日本塗料工業会会員名簿トップのアサヒペンを見たのは覚えているんですが、そのほかはどうしたっけなぁ……。

というわけで、大手メーカーのウェブも「溶剤形<溶剤型<溶剤系」というのは大間違いだったようですがm(_ _)m、「溶剤形」が支配的というわけでもないようです。会社にもよりますが、総合すれば、大差ないレベルで拮抗と言ってよさそうです。

上記ガイドラインが出て3年たちますから、その影響で「溶剤形」が増えているのか、それともtakiさんが書かれているように「業界で『形』と決めた」(結果、ガイドラインも「溶剤形」となった)のか、なんともわかりませんね。

ついでに一般人への影響が大きい物販サイトも調べてみました。

"溶剤形""塗料""送料" 213
"溶剤型""塗料""送料" 367
"溶剤系""塗料""送料" 390

拮抗してますね……

投稿: Buckeye | 2009年11月 7日 (土) 04時33分

「系」や「型」でなく「形」となったのは、
ひょっとすると「塗膜形成」の「形」に
ひっぱられたのかもしれません。かなり
好意的なこじつけ解釈ではありますが...

「溶剤形」の英文をGoogleで調べてみると、

solvent borne 291,000
solvent born 648,00
solvent base 5,770,000
solvent based 4,820,000

溶剤が担体になっているイメージですね。

平凡社の世界百科事典の「塗料」の項を見ると、
塗料は大きく塗膜形成要素と塗膜形成助要素
で構成され、塗膜形成助要素は溶剤や希釈剤
などの揮発成分を指すそうです。

投稿: Euascomycetes | 2009年11月 7日 (土) 15時30分

上のGoogle統計、引用符で囲まないで検索しちゃいまいした。正しくは、

solvent borne 52,300
solvent born 4,610
solvent base 58,000
solvent based 588,000

です。

投稿: Euascomycetes | 2009年11月 7日 (土) 16時40分

溶剤や希釈剤に水を使うのが「水系塗料」なんだから、やはり、溶剤を使うものは「溶剤系」だと思うんですけどね。

「"水系" "塗料"」「"水形" "塗料"」「"水型" "塗料"」では「"水系" "塗料"」が10倍以上と断トツと言える状態です。

投稿: Buckeye | 2009年11月 7日 (土) 17時35分

業界の歴史を見ると、元々は油性だった塗料が、
環境問題などからVOC対策を迫られて水性塗料が
注目されるようになったことも関係しているの
ではないでしょうか。つまり、油性と水性という
対比は最初は存在しなかった。溶剤形という用語
が作られた当時、それを水性(水系)と対比させ
る意図はなかったのかもしれません。

水系の「系」が果たして油性との対比なのか
も疑ってみる必要がありますね。水性塗料の中
にいくつか種類があって、それを強調する意味で
「系」を付けたのかも?

投稿: Euascomycetes | 2009年11月 7日 (土) 18時31分

こんなの見つけました。

第二種ホルムアルデヒド発散建築材料を定める件
http://www.icba.or.jp/kokuji/kaisei/h14_1114.htm

「JIS A五五四九(造作用接着剤)に規定する
酢酸ビニル樹脂系溶剤形接着剤の規格」とあるので、
「溶剤形」はJISで用いられている用語みたいですね。

で、接着剤関係を調べてみました。

建築材料用接着剤・シーリング材の製品情報
http://www.safe.nite.go.jp/shiryo/product/pdf/bondc.pdf

さて、なぜ「形」を使うのでしょうね。「系」が2つ重なると
まずいとか --- まさかそんな!

投稿: Euascomycetes | 2009年11月 8日 (日) 02時29分

JISだったら納得しちゃうかも(^^;)

JISはけっこう独自な用語が多いというか、一般には使われていなくて違和感がある用語が少なくないと思うので。

塗料の歴史はどうこう言えるほどあまり詳しくないのですが、ただ、環境問題が世の中でうるさく言われるようになる前から水性塗料というのはあったと記憶しています。扱いやすいですからね。

投稿: Buckeye | 2009年11月 9日 (月) 12時00分

樹脂だと、ヒット件数が5桁も違うと"樹脂系塗料"が圧倒的なようですね。

投稿: Buckeye | 2009年11月11日 (水) 08時11分

Googleでの検索結果:

"溶剤型" 樹脂 48,400
"溶剤形" 樹脂 30,200
"溶剤系" 樹脂 1,110,000

"溶剤型樹脂" 26,500
"溶剤形樹脂" 8,610
"溶剤系樹脂" 94,700

"溶剤型" 塗料 48,700
"溶剤形" 塗料 22,300
"溶剤系" 塗料 109,000

"溶剤型塗料" 98,700
"溶剤形塗料" 5,370
"溶剤系塗料" 311,000

"溶剤型" 接着剤 11,800
"溶剤形" 接着剤 23,400
"溶剤系" 接着剤 16,800

"溶剤型接着剤" 46,300
"溶剤形接着剤" 76,100
"溶剤系接着剤" 88,400

「建築材料用接着剤・シーリング材の製品情報」(http://www.safe.nite.go.jp/shiryo/product/pdf/bondc.pdf )の分類法を見ると、主成分に“系”を付けた都合上、下位の分類記号として“形”を付けて「ゴム系溶剤形」のような用語を捻り出したように思えます。分野によって(どこに焦点を当てるかで)用語法は変化します。Googleの検索結果から想像するに、他分野への用語の援用が「溶剤形」という“ノイズ”を生み出したが、このノイズは消えつつある。樹脂での"溶剤系"のヒット率が圧倒的に高いのは、そのことを示しているのかもしれません。

投稿: Euascomycetes | 2009年11月11日 (水) 14時42分

たしかに接着剤などは合成ゴム系とかってよく聞きます。「ゴム系溶剤形」っていうのは「ゴムけい溶剤がた」と読むんでしょうか。

どこに焦点を当てるかで用語が変化するというのはそのとおりですね。その場合、焦点のあて方がいろいろとあると用語や表現が素人を中心に混乱するわけで。

ところでGoogleの検索ヒット数なのですが、私の手元では、(↓)だけ大きく異なる結果が出ました。これ以外は誤差範囲でしたが、これだけは2桁違うのでちょっと無視できない違いだと思います。不思議です。

"溶剤形樹脂" 8,610→71

投稿: Buckeye | 2009年11月11日 (水) 15時11分

検索結果の最初のページでは、「"溶剤形樹脂" の検索結果 約 8,610 件中 1 - 10 件目 (0.11 秒)」と表示され、同じページの最下部に「1 2 3 4 5 6 7 8 次へ」とページ番号が示されています。そこで、最後の8ページ目を選択したところ、「"溶剤形樹脂"の検索結果 71 件中 71 - 71 件目 (0.13 秒)」となりました。あら不思議! ひょっとすると、最初のページに示される件数は、同じようなページを含む件数なのでしょうか?

投稿: Euascomycetes | 2009年11月11日 (水) 16時25分

上の現象はGoogleの検索オプションの設定で件数を100件にすると出なくなるみたいです。あー気づいてよかった。多謝!

投稿: Euascomycetes | 2009年11月11日 (水) 16時46分

最下部の「1 2 3 4 5 6 7 8 ……次へ」が10までないのは要注意ですよ。

理由はわからないけど、上記が10までない場合、最後のページなりをクリックするとがっくりヒット件数が下がることがあります。同じようなページを含む件数かというとそうでもなくて、たとえば今回のケースの場合、私の手元では、最初は29件で、「ここから再検索」をクリックすると71件になります。

私はもともとざぁ~っと3行表示を見てゆきたいので100件表示にしてるんですが、それでも、ヒットン万件で「1 2 3 4 次へ」となっていることがあったりします。その場合、後ろのほうをクリックすると、今回のEuascomycetesさんが経験されたのと同じで450件に落ちたりとか、よくわからない動きをしてくれます。

投稿: Buckeye | 2009年11月11日 (水) 16時59分

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