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2009年9月 8日 (火)

読むスピード

翻訳者にとって読むという作業は欠かせない。原文を読むとき、訳文を作るとき、訳文を読みなおすとき、そして、資料を探して読むとき……毎日、膨大な量のテキストを読むことになるのだから、読むスピードが速ければいろいろとメリットがある。

一方、世の中には速読法と呼ばれる手法がある。

英語では昔から速読法の習得がさかんだと聞いた記憶がある。日本語は漢字仮名交じりで書くのは大変だが読むスピードは上げやすいため、速読法など特に学ばなくてもそれなりの速読ができるのに対し、英語など少ない文字の組み合わせだけで書かれた言語は読むスピードが上げにくく、速読法を習得しないとスピードがあがらないし、速読法を習得した人としない人の読むスピードに大きな開きが出る、という本当かどうかはわからないがまことしやかな説明もどこかで読んだ記憶がある。

その日本語も、最近はいろいろな速読法が出ているようにも聞く。

私の場合、留学していたとき、簡単な英語速読法のトレーニングを少ししたことがあるが、それ以外は特に何もしてきていない。ただ、仕事で資料を探すなど、ごくごくざっと読めばいいようなときには極力速度を上げて読むようにしている(というか、必要に迫られてそうせざるをえない)。そのせいか、世の中的には比較的読むのが速いらしい嫁さんと比較しても、格段に読むのが速い。ネット資料などを二人で読んでいると、嫁さんが1回読む間に私は最低2回、下手すると3回、読めてしまう。

実際、どのくらいのスピードなのか、ごくおおざっぱに測ってみた。内容的にあまり考えずにさらっと読める新書をざざっと読むとき、1分間に何ページ、読めるのかという形で。結果は、30分で90ページ、つまり、3ページ/分、2000文字/分弱というところだった。薄めの新書(200ページ弱)なら1時間で読めることになる。これが一般的に速いのはたしかだが、読むことが仕事と言える翻訳者として速いのか普通なのか(さすがに遅いほうにはならないのではないかと……)、それはなんともわからない。

数字や論理展開などを考えながら追う本、その内容からさまざまなことを展開して考えるような本、あるいは小説など内容の吸収よりも読むこと自体を楽しむ本はがっくりスピードが落ちる、というか、落として読むべきものだと思うので、計測対象とはしなかった。あくまで、スピードを上げて読んでいい本について、めいっぱいスピードを上げたらどこまで上がるのかを知りたかったからだ。

訳文の読み直しなども、もちろん、スピードをあまり上げるわけにいかない。誤字・脱字のチェック、変な解釈ができないかのチェックなどをしつつ読まなければならないのだから。

飛ばして読むときのトップスピードが速いほうが、チェックしつつ読むスピードも速くなりがち……ならいいのだが、どうなのだろう。

このときの読み方は、いわゆる斜め読みではなく、一応、文字はすべて追っているつもり、内容は一通り理解しているつもりである。

これに対し、ウェブで資料を探しているときは、実は、内容もきちんと追っていない。お店の棚に欲しいモノがないか、注意を幅広く拡散しながらざざ~っと見ているときのような感覚で読んでいる。いや、読んでいるよりも見ているに近い。で、アンテナにぴぴっと来たところだけ、今回の新書並みの読み方をする。となると、資料探しで読んでいるときのスピードは、たぶん、3000~4000文字/分というところか。とあるページでおもいっきり雑に測ってみたところでは、やはり、そんなレベルのようだ。Googleの3行表示を読んでいくときなどは、ハイライトされている検索語を中心に見るだけなので、スピードはさらに速く、4000文字/分をゆうに越えているだろう。

ところで、情報量という面で日本語2000文字/分と同じになるのは、英語だとどのくらいだろう。分野にもよるが英語130ワードが日本語400字という換算比率で計算すると……650ワード/分。同じような読み方を英語ですると、私の場合、300ワード前後のはずなので(留学生時代に測ったところ、TIME誌で250ワード/分だった。最近は測っていないが、今はもう一段、スピードアップしているはずだと思う)、日本語は英語の倍といったところのようだ。日本語ネイティブであることを考えると、そんな比率がいいところなのかもしれない。

このエントリーのきっかけになったのは、"Party in My Library"というブログに書かれたずいぶん前のエントリー、「翻訳者と速読」である。トラックバックくらいしたいところだが、1カ月以上前のエントリーに対するコメントやトラックバックは遠慮してくれと書いてあるので、こちらからリンクを張るにとどめておく。

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