JTF西日本セミナー
先週の金曜日(2009年2月20日)、JTFの西日本セミナーで講師役を務めてきました。西日本セミナーはこのところほぼ年に1回のペースで行っており、最初のころは一人で仕事をしていくための心構えやビジネスの進め方、ツールの使い方など、私が昔っから得意にしてきた領域の話をしていました。でも、3回も話をするとさすがにネタ切れ。というわけで、前回と今回は、私としては苦手な話、つまり、どう訳すかという部分の話をしています。
やり方は、課題を出しておき、出せる人には訳文を出してもらって、それを元に「何をどう考えるべきか」などの話をするというもの。
今回、課題として選んだのは(↓)のふたつ(もちろん全文ではなく一部のみ)。
- Technical Criteria for the Destruction of Stockpiled Persistent Organic Pollutants
- A New Park for Osaka: Jerde-Designed Namba Parks Opens Today; Fifth Jerde-Designed Project to Open in Japan Within a Year.
課題1は産業翻訳でよく出会うパターンで、基本的に原文に沿って訳していけばいいもの。どこまで原文に沿えるかが勝負の案件とも言えます。
課題2はそのまま訳したのでは日本語にならず、文書の目的が果たせない訳文になってしまいます。こちらは、何が言いたいのか、原文を書いた人の想いを把握し、その想いが伝わるように訳文を組み立てることが求められるわけです。そのためには、原文の構造から思い切って離れること「も」必要になります。
参加者35名ほどで訳文を提出してくださった方が25名弱。
訳文提出率が高いというのは、積極的に参加しようという意欲が高いことを示していると思います。セミナー時も、話の途中でたくさんの質問が出ました。「疑問に思ったことがあったら、途中でもどんどん質問してください」と最初に話してあっても、日本だと質問が出ることは少ないし、私も今回ほどいろいろ反応があったのは初めてでした。特に「こういうケースもあるんじゃないですか?」といった質問を何度もしてくださった方、ありがとうございました。ホントはカバーすべきなのに抜けてしまっていた部分にも、おかげさまで触れることができました。
セミナー終了後、参加者からの感想なども事務局経由でいただきました。ほとんどの方には「得るところがあった」と思っていただけたようで安心しました。またあったら参加したいと言ってくださった方も多いので、たぶん、来年度も西日本セミナーへ出かけていくことになるでしょう。
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