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2008年12月

2008年12月18日 (木)

枠組みと訳出の方向性

翻訳するときには枠組みをまず把握する必要がある。ここで言う枠組みとは、どういう著者がどういう思いで何をどう、どういう読者に届けようとしているのか、だ。これを把握しないと、どうにも翻訳のしようがない。なお、「読者」については、著者がもともと想定した読者を考慮すると同時に、訳文を読む読者(著者が想定した読者と同質とは限らない)も想定し、考慮する必要がある。

このあたり、詳しく書けばエントリーが一つどころではなくできてしまうが、岩坂彰さんという方が書かれたすばらしい記事があるので(↓)そちらを読んでいただくほうがいいだろう。

岩坂彰の部屋 第2回 「翻訳者が伝えるべきもの」

余談ながら……岩坂さんが翻訳フォーラムの先輩であることをつい先日、知った。私が翻訳フォーラムにアクセスするようになる少し前、運営スタッフをされていたとのこと。岩坂さんの記事は上記以外も思わずうなってしまうすばらしいものがたくさんある。ぜひ、一読を。

そのような枠組みを把握したあと、その他の諸条件を勘案して翻訳の方針を決める。

産業翻訳でも同じことをするが、私が訳してきた書籍について、それぞれの方針を紹介してみたい。書籍なら原文と訳文を比較してもらえるので、背景にある考え方を知って訳文を見てもらえば、そのような方針がどのくらい成功したか、あるいは失敗したかを考えてもらえると思うので。

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2008年12月17日 (水)

『できる人ほど上司を使う』

自分の名前で出た最初の訳書(2003年)です。

地球データブックの翻訳を分担でしはらく担当していたのですが、このころ、その縁でダイヤモンドさんから、ときどき、「こういう本があるんだけど、だれか訳者を紹介してもらえないか」という話が来ていました。その中で、面白そうで、つい、「自分がやってもいいか」と聞いて担当してしまったのがこれ。

いろいろな意味で出版系に慣れておらず、訳したけど出版されなかった部分がたくさんあったり(ページ数調整で章まるごとばっさり)訳を工夫したところほど最終的に消されてしまったりとか、エネルギーの大幅な無駄遣いをしてしまった感があります。翻訳出版という意味でいろいろと反省すべき点が多かった案件であり、訳の最終的なデキも内心、忸怩たるものがある1冊です。5年も前に出た訳書だから、そのころに比べて今は先に進んだのだと思えばいいのかもしれませんが。

形式はケーススタディ。ルワンダ民族紛争やヒマラヤでの大規模遭難事故など、かなり壮絶な例を使いながら、仕事の進め方というものを考えさせてくれます。ややこしいことなど考えず、教訓的な話はすっとばし、読み物として読んでも楽しめるというか、圧倒される内容となっています。

ただし、この本は最終的に自分で考えて行動しろという姿勢で、いわゆるハウツーは書かれていません。そういう意味で、あまり一般的ではないかもしれません。

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2008年12月11日 (木)

海野さんの辞書

一般にはあまり知られていないかもしれないが、翻訳者仲間で必携とされる有名な辞書がある。『ビジネス技術実用大辞典』、通称「海野さんの辞書」だ。

自らが翻訳者である海野さんご夫婦が丹念に集められた数多くの用例とよく考えられた訳文の対比により、文脈に応じて微妙に変化する単語の意味が浮き彫りにされている。こなれた日本語訳・英語訳を作るためのヒントが満載されており、商品価値の高い訳文を作るためには手放せない一冊だ。

ヒント」であることに注意。海野さんの辞書といえど、記載されている訳語をそのまま使うべきでないケースが山のようにある。海野さんの辞書のメリットは、一般の辞書とは異なる視点で訳語が考えられているため一般辞書と併用すると訳語の案出・選択の幅が広がる点。「たかが辞書。信じるはバカ。引かぬは大バカ」である。

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2008年12月 4日 (木)

データの引っ越し

今日は午前中から仕事用マシンのご機嫌がよくなかった。なんでもないところで待たされたりするし、SimplyTermsの関係でPptの書式設定関係のプログラムを作っているとエラーになるはずのない操作でエラーになりPptを終了しなければならなくなったりするし。

動作が遅くなったらとりあえずデフラグしてみる。というわけで、エクスプローラーから「コントロールパネル」→「管理ツール」→「コンピュータの管理」→「デフラグ」と行ったところで異変に気づいた。データを入れているドライブ、空き領域の割合が1%を切っている。経験上、これが10%を切るといろいろ不思議なことがおきたりすることが多いので、余裕を持ってデスクトップは50%、ノートでもなるべく20%くらい空けておくようにしているはずなのに。

原因は……データのバックアップである。

先日来、USB経由でかなりいい音がするDAC(デジタルからアナログへの変換装置)をキットで作成した関係で、通信用サブマシンにCDからリッピングしたデータがどんどん増えていた。私の場合それほど多くのCDを聞くわけではないのだが、今回はロスレス規格なのでデータが大きいのだ(再生装置がよくなったら圧縮による音質の低下が気になるようになってしまった^^;)。通信用サブマシンは今年組んだものであるためハードディスクに余裕があるから大丈夫と思っていたのだが、サブマシンとメインマシンで相互にデータをバックアップしている関係でメイン側のハードディスクが圧迫されることを忘れていた(^^;)

というわけで、昨日、新しく届いたCDをリッピングし、夜、バックアップをした時点でメインマシンのハードディスクがぱんぱん状態となったわけだ。つい先日までノートパソコンのHDDが全部で40Gしかなかったこともあり、音楽関係のデータをバックアップ対象としていなかったことも音楽データでメインマシンが圧迫されることに気づかなかった原因の一つ。夏の終わりにノートのハードディスクは160Gに換装したし、USB-DACだからノートでもいい音が楽しめるしで、音楽関係のデータもバックアップ対象にしてしまったことが今回の敗因(サブ・メイン間でバックアップするデータは、外出時、ノートに同期して持ち出す設定としてある)。

敗因とは言っても、理由がわかれば対処は簡単。メイン側で無駄に遊んでいた120Gあまりのスペースにデータを移してドライブレターを調整すればいい(そんなに余らせてほっとくなよという突っ込みはナシでよろしくm(_ _)m)。ついでにハードディスクの構成を整理しておくか……と思って作業を始めてみればこれが意外に大変。今までデータが入っていた40Gほどのスペースから120Gあまりのスペースへデータをコピーするだけで3時間ほどもかかった。こんなにかかるんだ……。放っておけばいいだけなのであまり気にはならないのだが。

結局、データのお引っ越しは以下のように進めつつある。今までCドライブとDドライブで物理的に一つのドライブ、GとXで物理的に一つのドライブという構成だった。

  1. データが入ったDドライブの内容を遊んでいたGドライブに移動
  2. DドライブのドライブレターをとりあえずZに変更して再起動(再起動しないとドライブレターの変更が反映されない)
  3. GドライブのドライブレターをDに変更して再起動
  4. 辞書が入っているXドライブの内容をZドライブ(旧Dドライブ)へ移動
  5. XドライブのドライブレターをVに変更して再起動
  6. ZドライブのドライブレターをXに変更して再起動
  7. Vドライブを削除
  8. パーティションを切り直すソフトでDドライブを拡大(Vドライブの分までDに併合)

今はまだ4番目の項目……

これで当分は容量を心配する必要、なくなるだろうけど。

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