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2008年9月19日 (金)

翻訳業界を狙った詐欺?-続報

半年ほど前、翻訳業界を狙った詐欺らしい話を耳にしたので、注意を喚起する投稿を翻訳フォーラムなどにした(このブログは休止中だったので書いていない)。さまざまな人がブログなどで取りあげてくれたので、読んだ記憶がある人も多いと思う。

その後、民事訴訟を起こした方がおられたり、警視庁の担当警察署や桜田門の本部に相談に行ったり(本部には私も同行した)といった対応をしてきた。債権が回収できる望みはほとんどないというのが関係者の一致した見方だったが、特に刑事事件として立件されれば、係争中であるという事実を名前を挙げて書けるようになるし、実刑判決でも出てくれれば、当分、新たな被害の発生がなくなることが期待できるからだ。

これについて、状況に変化があったらしいとの話を聞いた。

警告を発するきっかけになった、詐欺をしているのではないかと思われる方が亡くなったらしい。継続的に追っておられた翻訳会社さんがあるのだが、そこへ相手の弁護士から死亡診断書が送られてきたというのだ。

なんともコメントのしにくい幕引きとなった模様だが、少なくとも、今後、被害の拡大はなくなったと言えるのだろう。

ただし、同様の話がほかにないとは限らない。新規取引先を開拓するときには、いろいろと注意しながら進めるべきだ。

==============2008年3月末ごろ、私があちこちに投稿した内容

subj: 翻訳業界を狙った詐欺?

先日、JTFの理事会があっていろんな方にお会いしたんですが、そこでちょっとイヤな話を聞きました。みなさんにも注意していただけたらと思い、簡単にまとめてみました。

なお、すべて伝聞ですのでわかりにくいところもあると思いますし、似て非なる話とかちょっと違うようで実は同じ話とか、いろいろあると思います。エッセンスを理解して、自衛に活用してください。

●概略・手口

要は、「翻訳業界で詐欺と言えそうな行為をくり返している人がいるらしい」ということです。

いろいろなパターンがあるようですが、典型的なパターンは以下のような形とのことです。

・比較的高値で翻訳を発注する。
・初回はきちんと支払う。場合によっては前払いをしてくれるなど、対応がとてもよい。電話などで話をしても、あるいは会って話をしても、とてもいい人物に思えるそうです。
・その後、大量に発注し、そちらの代金はなんだかんだと言って支払わない。

条件は基本的によく、ソースクライアントからの直接発注としてもかなりいい場合もあるらしいです。その辺りからの推測で、ソースクライアントからの受注価格以上で発注しているケースもありそうだとのことでした。条件がよく、支払いもきちんとされると思わせ、大量発注をなんとかこなさせたら踏み倒す……初回を高値で支払ってもその後、初回分の2倍、3倍、あるいは10倍も踏み倒せば、平均単価が1/3、1/4、1/11になるので好条件も提示できるというわけです。一方ソースクライアントは、ある意味、自分のところが支払っている以上の価値の成果物を納品してもらっていたりするわけで、そこの仕事に満足しているという図式になります。

だます対象は、個人翻訳者と翻訳会社、両方ともだそうです。

また、10年以上も前から翻訳業界でいろいろと問題を起こしているとの情報もありました。

いろいろと調べた方がおられ、現在、判明しているだけで、被害は個人が20人前後、法人が2~3社はあると言われていました。理事会前後に会った方々、十数人のうち、自分が被害に遭った、あるいは遭ったところを知っている、被害に遭いかけた(この年末年始にそこの仕事をして、最後がちょっとあやしかった)などの人が4人もいたというのは、かなりの高率であり、表面に出ていないだけでかなり広い範囲に被害が出ている可能性があります。

●自衛策

一番の自衛策は……新しいところと急に取引を増やさない、でしょうか。

警察関係者によると、いい条件を提示して最初はきちんと払うっていうのは詐欺の典型的パターンなのだそうです。そういうケースはまともな相手というか、上客である可能性もあるわけで、そこから量を増やして欲しいと言われて断るのはいろいろとやりたくない気持ちになるはずですが、よく知らないところだったら時間をかけて取引を増やしていくのが安全ということになるでしょう。

なお、問題のところは現在、法人化しておらず、「フリー翻訳者のグループ」といった形を名乗っているとのことですが、この辺り、ごまかそうと思えばいろいろな言い方ができると思うので、相手が「~会社」を名乗ったからといって安心しないほうがいいでしょう。

●詐欺罪について

それだけいろいろとわかっているならどうして放置されているのかと疑問に思われる方もおられるでしょうから、少し補足しておきます。

詐欺罪って立件が難しいんです。「だまそうという意図を持ってだました」ら詐欺(刑事犯)ですが、「払うつもりだったがいろいろな理由で払えなかった」は単なる債務不履行にすぎません(民事)。警察は民事には介入しないことになっていますから、刑事犯として立件できる目処がたたないと動いてくれないわけです。ところが、「だまそうという意図を持っていた」を証明しろと言われても、それは難しいですよね。だまそうと思っているほうは、その辺り、よくよくわかっているわけで、あくまで債務不履行だと主張するはずですから。

また、個人翻訳者の場合、被害にあっても、債権を取り立てるヒマがあったら次の仕事をしたほうが実入りがいいといった問題もあります。翻訳会社であっても、つぶれるほどの大損害でなければ似たようなものでしょう。そんなこんなで被害者の会みたいなものができるに至らないことも、刑事としての立件を難しくしているようです。

なお、自分の関係で支払いが遅れたとき、「お宅はほかでも詐欺をしているだろう」みたいなことを言うと相手との関係がこじれ、もらえるものももらえなくなるおそれもありますし、下手なことをするとこっちが訴えられるおそれもあります。今回の件とはまったく別の理由で払いが遅れているといった可能性もあるわけですから、落ち着いて対応するようにしてください。

Best regards,
Buckeye

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