『セカンドライフ 仮想コミュニティがビジネスを創りかえる』
新しい訳書が発売になります。
『セカンドライフ 仮想コミュニティがビジネスを創りかえる』
セカンドライフの開発や発展の歴史を追ってきたジャーナリスト、ワグナー・ジェームズ・アウが書いた本。原題が『The Making of Second Life』となっていることからわかるように、セカンドライフの「遊び方」や「ビジネス的な使い方」などではなく、その発展の歴史を紹介するものです。
開発・発展の歴史は順調ではないどころか、開発側の意図がことごとく外れ、裏目に出てばかり……訳していて、私は、インターネットが登場するよりも前、パソコン通信発展の歴史が思い出されて仕方がありませんでした。パワーユーザーと開発・運営企業との対立、開発・運営企業寄りの立場を取るパワーユーザーと対立するパワーユーザーとの対立などなど、@niftyでフォーラムマネージャーをしていた私としては、いろいろと思い当たることがたくさんあるのです(詳しいことは明らかにできませんm(._.)m)。
内容はおもしろいと思います。セカンドライフを使っていない人が読み物として読むだけでもおもしろいはずですし、セカンドライフを使っている人ならなおさらおもしろいでしょう。
翻訳という面では……今回は、せりふ周りの訳し方を少し工夫してみたつもりです。私が訳す書籍はしゃべりがかなり出てくるのですが、英語では、いちいち、誰それが言ったと書かれています。これを日本語に訳出するとうるさくて仕方ありません。訳出せずに誰がしゃべったのかがわかるようにするには、どうしたらいいのか……まだまだ工夫の余地があるはずだとは思いますが、少しはよくなったんじゃないかと思っています。ふだんは産業翻訳で、人がしゃべるようなところはほとんどありませんし、そういうところが比較的あるプレスリリースなどではせりふ周りの訳し方が会社ごとに決まっていて定型処理になってしまい、工夫するチャンスも必要性もないので、書籍を訳すようになるまで、このあたりを詳しく検討することはありませんでした。書籍を訳すようになってからは、日本語の小説などを読むと、ついつい、せりふ周りの処理に目がいってしまっています。職業病みたいなものですね(^^;)
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コメント
このご本、今日八重洲ブックセンターにて買ってきました!!セカンドライフ自体はもちろん、オンラインゲームすら分からない私ですが、ブログやSNS、チャット、パソ通などは少しは分かるので、なんとか・・・ついてゆけるかな・・・(^^;;。翻訳書なのに読みやすくて、さすがBuckeyeさんだなと思いました(^^)!!
投稿: Aki | 2008年8月20日 (水) 17時42分
Akiさん、お買い上げ、ありがとうございま~す(チーン……レジの音^^;)
フライングでゲットですね。本の場合、よほどの人気本でなければ、本屋さんに到着後、発売予定前に並べるかどうかは本屋さんごとの裁量ということのようです。
翻訳書というのは、親近感のないものが実例になることが多かったり、どうしても読みにくいものになっちゃうんですよね。そういう中身の部分まで変えちゃうわけにはいきませんが、せめて、それ以外のところで読者の足を引っぱらないようにと努力しているつもりです。自分の力のあちこちに穴があるのは分かっているので、まだまだ、先は長いですね。
投稿: Buckeye | 2008年8月21日 (木) 22時03分