イカロス出版『通訳・翻訳ジャーナル』1999年12月号p.34~37に掲載された記事です。
特別手記 産業翻訳者へ-わが脱サラ顛末記
■サラリーマンからフリー翻訳者へ
~予定していなかった転身~
◎長男の誕生、それが会社を辞めるきっかけに
2年ほど前、12年近く勤めた会社を退職し、技術・実務翻訳者として独立した。会社の同僚や先輩、友人たちも驚いていたが、一番驚いたのは、ある意味、自分自身だったと言える。大学を卒業して就職したときも、その後のサラリーマン生活でも、まさか自分が定年前に退社することがあるとは、まして、独立するなどとは思ったこともなかったからだ。
そんな、平々凡々のサラリーマン生活を定年まで続けるはずだった私が、30台後半で退社、独立することにした直接のきっかけは、長男の誕生である。夫婦とも組織勤めで、当時、嫁さんは勤務地が遠く、私は夜遅くまでの業務……これでは保育園の送り迎えもままならない。どちらかが組織勤めをやめるか、または、家の近くで残業もない会社に転職するか……いろいろと検討した結果、私が退社して翻訳者になることにしたわけである。
このように、私は、もともと翻訳者を目指していたわけでもないし、翻訳の勉強をしたこともない。だから、翻訳者となるための勉強のノウハウなどはよく分からない。この記事では、実際に仕事を始める段階から一人立ちするまでの私の経験やノウハウを紹介したい。
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