« スキルダウンは速く、スキルアップは遅い | トップページ | 体育会系翻訳トレーニング論 »

2008年6月 3日 (火)

久しぶりに1単語1時間コース

真円度測定器関連の日英をしていたら、フィルターの位相補償とかカットオフという文脈で「山数」というのが出てきた。

「フィルター "山数" カットオフ」などで検索すると(↓)などがヒット。
http://www.mitutoyo.co.jp/products/keijyou_shinen/menu/shinen.pdf

ギョーカイ的には、それなりに使われている表現らしい。でも、この「山数」、英語でなんというのかがわからない。

「山」だから"mountain"などと安直なことはもちろんできない(翻訳対象文書は展示会で使うパネルらしい。パネルを読んだ人に爆笑されそうだ)。辞書で「山」を引くといろいろな単語が出てくるが、どれを見ても違う気がする。英語側で真円度測定器と掛け合わせてググってみるが、やはり、どれも違うらしい。真円度を測定する対象物の表面にあるでこぼこを意味するようなので、「でこぼこ」とか「おうとつ」とか「粗い」とか、そちらから連想されるもので同じ作業をくり返してみるが、やはり、どれも違うらしい。歯車系の連想ゲームもしてみたが収穫なし。

キーワードを変えては日本語や英語でウェブ検索をくり返す。しかし、手がかりらしいものがまったく見つからない。カタログなんかで英日がそろっている物も見つけられない。だいたい、かなりニッチな分野なので、専門用語を掛け合わせるとヒット自体がごく少なくなってしまう。

30分くらいアレコレやったところでいったんあきらめ、とりあえず、先に進むことにする。文書の先のほうにヒントが隠れていることもあるし、別のことを考えていると突然、手がかりに思いいたることもある。今は思考が堂々巡りになっているだけ、という可能性もある。

しばらく進んだところで、翻訳対象文書の表に並んだ数字が気になった(数字の部分は翻訳対象としてカウントされないのだが)。数字の後ろについてる"upr"ってなんだ? もしかして後ろの"pr"は"per rotation"か? 山「数」っていうのは、たぶん、1回転あたりの数なのでは?(翻訳対象文書には書いてなかったが、山の数を数えるなら常識的にそうだろう) だったら、"u"は「山」を表す単語の頭文字では?

改めて日本語でヒットする資料をいろいろと確認してみると、「カットオフ値は1回転あたりの山数で表す」などとある。翻訳対象文書の表も「カットオフ値(upr)」とある。どうやら間違いないらしい。

それにしても、"u"から始まる「山」かい。改めて「山」を辞書を引き、眺めてみるが、それらしい単語が見つからない。連想ゲームをしてみるも、やはりそれらしいものはない。

でも、"upr"が手がかりになることはわかった。今度は"upr"にいろいろなものを掛け合わせ、日本語、英語でウェブ検索をくり返す。なんだかんだ、後半戦に30分ほどもかけてようやく見つけたのが(↓)

http://etd.gatech.edu/theses/available/etd-03312006-125319/unrestricted/mears_michael_l_200605_phd.pdf

ドクター論文なのだが、略語表に「upr: undulations per rotation」とある。そっか、ここの「山」って"undulation"か。これで間違いないと思いつつ念のため"undulation"を辞書で確認すると「うねり」とか「起伏」という訳語が出てくる。ほぼ真円となっている測定対象物表面のでこぼこなら、「うねり」とか「起伏」と表現してもいいはず。最初の連想ゲームで思いつかなかったのが不思議なくらい(そんなものだけど)。

"undulation"を使っていろいろとググってみると……うん、やっぱりいいみたい。よかった。

"pr"の"r"を"revolution"としているサイトも多かった。

久しぶりの1単語1時間コースだった。

|

« スキルダウンは速く、スキルアップは遅い | トップページ | 体育会系翻訳トレーニング論 »

翻訳-雑記」カテゴリの記事

コメント

UPR、1回転当たりの「山数」。
参考になりました。
ありがとうございます。
真面目にお仕事に取り組んでいらっしゃるご様子がしっかり伝わってくるサイトですね。
ご検討を祈ります。

渡邊むく

投稿: 山数 | 2014年5月 6日 (火) 10時56分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 久しぶりに1単語1時間コース:

« スキルダウンは速く、スキルアップは遅い | トップページ | 体育会系翻訳トレーニング論 »