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2008年5月20日 (火)

翻訳者の収入分析-5.分析詳細(年収階級の分析)

分析は主に2002年度版(2000年のデータ)について行います。母数が一番多く、その分、代表性が高いと思われるからです。

◎年収階級の検討

年収をいくつかまとめてグループ化してマーケットを見てみる。評価軸は稼ぎのみ。翻訳者としての能力が高くても投入時間を短く制限している人がいたりするので、能力による評価とはズレが生じることに留意のこと。なお、下記グループの間をあけているのは、典型的なイメージをとらえようと思ったからである。

  年収で  0~200万:「稼ぎ少」
  年収で300~600万:「稼ぎ中」
  年収で   700万超:「稼ぎ多」

年収人数(%)稼ぎ(%)枚数(%)
0~200万の「稼ぎ少」組 30 7 11
300~600万の「稼ぎ中」組 34 37 40
700万超の「稼ぎ多」組 16 37 29

あたりまえだが、年収が少ない人は人数は多いもののマーケットシェアは小さく、逆に、年収が多い人は人数のわりに大きなシェアを持つ。人数比と稼ぎ比がほぼ一致するのは400万ほど(人数により重みをつけた加重平均年収とほぼ同じ)。

年収1,000万超となるとさすがに少なくなるが、それでも、2002年度版(2000年データ)で6%、2001年度版(1999年データ)で9%、2000年度版(1998年データ)で6%なので、一桁の後半はいるとみてよさそうである。

階層による合計年収の変化を見ると、全体としては真ん中がふくらんだ形となっている(1,000万超は階層幅が大きいことに注意)。つまり、翻訳者という観点から見た翻訳マーケットは、中間層が多く、上と下が少ないわけで、とくにいびつだということはない(生活に必要なお金が得られるかという観点から、全体が低すぎるという見方はあると思うが)。

階層による人数の変化を見ると、年収300~500万をピークとしたゆるやかな山と、100万以下をピークとしたするどい山が重なっているように見える。同じような傾向は、2001年度版にも見られる。これに対し、2000年度版では、2つのピークがほぼ重なってしまっているかのようにも見える(300万ピークのゆるやかな山と100~200万のするどいピークか?)。いずれにしても、この山2つという傾向は、専業翻訳者と専業翻訳者を指向する人(駆けだし)による山と、収入上限がかなり低い主婦・二足組による山だと考えるとつじつまが合う。

駆けだし組については、感覚的に、駆けだしから脱却できずに居残ったり業界を去ったりする人と、どこかで突き抜けて継続的に受注するようになり、専業翻訳者の仲間入りをする人の二極分化があるように感じる。この感覚が正しいのであれば、専業翻訳者と専業翻訳者を指向する人(駆けだし)による山は低い年収階層に駆けだし組によるピークが存在するはずである。しかし残念ながら公表されているアンケート結果からでは主婦・二足組の人数が把握できないため、そのようになっているのか、それとも専業翻訳者系の山が年収の低いほうに対してもゆるやかに下っているのかを判断することはできなかった。

上記の表を単価ベースという見方で見てみると、以下のようになる。

単価(円/仕上がり400字)金額(%)枚数(%)
1,000~1,100 7 11
1,300~1,500 37 40
1,700~ 37 29

こうしてみると、単価1,700円前後以上という案件(年収700万超が請けていると仮定したもの)が売上ベースで37%、枚数ベースでも30%ほどもあることになる。マーケットとしては、決して少ない量ではない。単価高めの案件は、けっして少なくないと考えてよさそうである。

逆に、「稼ぎ少」のほうは、売上ベースで7%、枚数ベースで11%にすぎない。

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