「翻訳者としての」専門分野
『翻訳パラダイス通信』~翻訳で儲ける!~ Vol.45 2005/6/6
『専門分野に縛られない』
記事の本筋からちょっとズレたところに突っ込みます。(ごめんね>Pattyさん)
>> その社長に「専門分野は何?」とお決まりの質問をされ、
>> 「医薬・契約以外は何でもやります」と答えました。
>> 医薬、契約分野には興味がないからです。
>> すると、「専門分野がない人はうちは取らないのよ」と
>> トライアルどころか、きっぱりその場で不採用にされてしまいました。
>> その会社の専門分野は「軍事」で、
>> (軍事評論家でもあるまいし、そんな分野を専門にしてるわけないでしょ)
>> と心の中でつぶやきつつ、「そうですかぁ、残念です」と言い残して
>> 帰ってきたわけです。
というやりとりから、Pattyさんは「専門分野、専門分野と言うことはない。必要に応じてリサーチできる力、理解できる知力があればいい」んだと展開されています。(この後も本筋の話は続きますが突っこみどころでないので割愛)
それはそのとおり。(上記の後の展開も含めて、ね)
でも、この記事、2点ほど、気になったところがあります。
まずひとつ。「必要に応じてリサーチできる力、理解できる知力」が自分にある分野を、「翻訳者の専門分野」と言うんです。実際には人によっては違う使い方をしているんだけど、本来、そうあるべき、という意味では。
私の場合、狭義の専門分野は、「石炭、ボイラ」です。あるいは「化学反応装置」とも言えるかな。いや、「化学反応装置」は広すぎる。「流動層」ですね。この分野なら、一応、論文も何本か書いたし、学会にもよく出ていたし、学会の重鎮の先生方に顔と名前くらい覚えてもらっているから、一応、専門(だった)と言ってバチはあたらないでしょう。
でも、翻訳の世界で「専門分野は?」と聞かれたら、たいがい「もともとプラントエンジニアでエネルギーと環境がメインです。ただ、プラントというものがいろいろな技術の集合だということもあり、電気・電子や機械、計測機器、化学とかなり手広くやっています。もちろん、パソコン関係も、ソフトウェアもハードウェアもといろいろと。この辺りは半分、趣味ですし。まあ、特許とバイオ、医薬以外といったほうがいいかもしれません。会社員時代の最後はビジネス部門にいたこともあり、ビジネス系のものにも対応できます」という言い方をします。
昔、翻訳フォーラムでも書いたことがありますが、「世の中でいう専門」と「翻訳者としての専門」はベツモノです(←これに気づくまで、何年かかかりましたけど^^;)。「翻訳者としての専門」は、上記の「必要に応じてリサーチできる力、理解できる知力が自分にある分野」なんですから。
もうひとつ、気になったのは、社長との応対。
社長の応対も応対だとは思いますが、それがギョーカイとしては一般的だし、一般的である理由もそれなりにはあるわけです。それを知ってて、わざわざ、逆行することはないでしょう。逆行した理由(メルマガに書いたような内容)を説明してあげるための「つかみ」ならまだしも、そういうわけでもないのなら。
翻訳者としては、「必要に応じてリサーチできる力、理解できる知力」が自分にある分野を増やす努力をするとともに、「専門分野は?」と聞かれたら、相手が満足するような専門分野の出し方もしながら、それに上乗せするような形で自分は広く対応してますよってアピールするビジネスセンスを持つ必要があると思います。最後は実力勝負ですが、最初の一歩は、この人に仕事を頼んでみたいと思わせることができるかどうかですからね。
- やんわり断るのが主目的で、ついでに反応をチェックするっていうことだったのかもしれません。私もときどきやりますから。
自分自身をいかにマーケティングするか。それも、個人事業主である翻訳者には大事なスキルです。
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コメント
こんにちは。
先日は、「翻訳者の散歩道」をご訪問頂き、ありがとうございました。こちらのブログにリンクをはってもよろしいでしょうか?もし、不都合でしたらご連絡下さい。
投稿: REI | 2006年1月 5日 (木) 15時06分
REIさん、
もちろんリンク、歓迎です。よろしくお願いしますね。
投稿: Buckeye | 2006年1月 5日 (木) 19時50分