ニセコクラシック2019―レース本番
朝、すっきり目覚めたのだが、まだ3時半だったので二度寝して4時すぎに起床。
さて、今年の目標を確認しておこう。
表彰台だ。今年は60~64歳のクラスに上がるのだから。去年も走っていて私より速かったのは、去年60~64歳クラス2位だった佐藤さん(1504)のみ(1分弱差)。あとは、去年60~64歳クラス5位だった権藤さんが私とほぼ同じ。ということは、優勝の可能性もないではない。去年、事故でけがをするまでは、優勝を狙おうかなとか思っていたりしたくらいで。
とはいえ、今年は不安要素が多い。FTPの数値は戻ったが、持久力は戻っているのか、レース強度で2時間以上走り続けられるのかがよくわからない。尾根幹を走るときのNPからするとなんとかなりそうだが、スーパーグランフォンド軽井沢、富士ヒルとぼろぼろの走りが続いているわけで、もしかすると大失速するのかもしれない。
いずれにせよ、今年は、出場権が取れても世界戦には行かない予定になっている。家族でスケジュールが合わせられなかったからだ。そういう意味では、気楽に走れるとも言える。
■朝飯
後ろ側は現地についてからスタートまで用なんだけど、これはさすがに多かった。実際に食べたのはどら焼きとバナナ2本。しかも、バナナは1本でよかったと思きう。
機材もメモしておく。フロント52/36、リア11-25T。ボトルはノーマル2本。最初の大きな上りに入る前に基本的に飲み上げ、上り途中の補給ポイントでスポーツドリンク1本、できれば、それと水1本をもらうつもりだ。補給はマグオン4個(スタート直前分1個を含む)を右ポケットに。センターポケットはチャック部分にカードキーと保険証、お金(お札)、ポケット部分にiPhoneを入れておく。左ポケットは、六角レンチのセット、クイックショット、お守りの芍薬甘草湯。ウェアは、迷いに迷った末、薄地アンダーに夏用上下とした(予想気温19~22℃)。結果として、アンダーなしでもよかったようだ。
■スタート地点のエイド
エイドは、水、お餅、バナナだったようだ。
■スタート直前
まず女性から。ここはまあスムーズだったが、50代の2クラスがまだゲートを通っているし、1分差で鳴るはずだった60代のスート合図がある前にひとり出て行ってしまう。そのせいか、なんか、なし崩しにスタート。60代はゲート左端を縦1列で通っていく感じ。なんだこれ。
土手の道は、例年にも増しての大混雑で大混乱。ここで突っ込んでもしかたない、おとなしく並んで走るしかないはずなのに、すき間があったら前へ前へと突っ込む人が少なくない。右斜め前から同クラスの人が斜行して寄ってきたので、右手で左腰に触り、隣がいることを知らせる。と、なにやら怒鳴り声をあげ、さらに突っ込んできた。あわててブレーキをかける。幸い、後ろが少しあいていたのかなにごともなかったようだが、下手すりゃ、私後ろがはすってこけてるぞ。「ナナメに突っ込むな!」と怒鳴りかえしたが、この人、このあともふらふら斜行してばかり。海岸の往復でもそういう走りをよくしていたので、ゼッケン番号1618を見たら逃げるようにしていた。
道路に出る直前、個別計測のラインを越える。リアルスタートはもう少し先なのだが、どこからスタートなのかよくわからない。去年は、川の向こう側と言われていて、実際には、最初のピーク頂上だった。今回は、スタートから3kmとテクニカルガイドにはあるのだが(スタートから3kmなら最初のピーク頂上)、川の向こう側というアナウンスもあって。しかも、今年は各ウェーブに先導車がついておらず全体混走になっているので、先導車が見えない。最初の上りが300W弱ということは、たぶん、ホントに川の向こう側くらいでスタートになったのではないかと思う。
リアルスタート直後も大混乱。目の前で2~3人が絡んだ落車があったのには肝を冷やした。道の端でだれかこけ、将棋倒しで左車線全体が塞がれたからだ(一番右で巻き込まれて倒れていたのは白人系の女子選手だった)。私はセンターライン近くを走っていたので、「うおお~~!」とかなんとか意味不明なことを口走りながら体をくねらせ、縫うような感じで右によけて事なきを得ることができた。
サイコンは、最初のピーク頂上でスタート。メモの距離を最初のピーク頂上から計り直したので。
そんな感じのぐっちゃんぐっちゃんのスタートで、女性から若いのまでがスタート直後から混走。集団は細長~く伸び、ところどころで中切れしていく感じ。私は、そこそこいいペースの集団に入れたので、そのまま前を追い越したり、集団内で中切れしそうな箇所ができたら近くの数人で前にブリッジをくり返す。位置は、基本的に集団末尾。たいした人数ではないのでそれでいいかと。
海岸の折り返し地点は、センターラインにコーンが置かれていて、あちこちで注意喚起の声があがる。センターライン近くを走っていた私はけっこう冷や汗をかいた。直角左折に向け、ぐぐっと前後が圧縮され、センターライン側に押し出されかけたところでコーンが出てきたからだ。海岸線では、コーンに当たったのか、落車している人もいたようだ。
折り返してからもペースは落ちない。前に別の集団が見えているからだろう。とはいえ、基本は巡航なので、適宜、補給をしながらこなしていく。海岸から1/3くらい戻ったところで前に追いつき、集団が大きくなった。同時に、動きが落ちつく。先頭とのタイム差がバイクから示されているので、これがメインの集団なのだろう。去年2位、で今年の優勝候補筆頭、1504番、佐藤さんは、ちゃんと前の集団にいた。さすが。
去年は極力足を使わないようにと集団後方に下がっていたが、今年は、なるべく前で展開する。できれば同クラスの人が前に何人いるか数えておきたいからだ。
川沿いに入って道が細く、荒れてから上がろうとする人がけっこういて、冷や汗をかく場面も何度か。両側から寄られ、両サイド10センチもすき間がなくなったりとか。左から順次ずれてきたらしく、斜め後方の女性選手のハンドルが私の腰付近に押しつけられる場面があったりとか。
上りには40番手くらいで入ったかな。サイコンをちらっと確認すると、案の定、300W強出ている。今年、ここは260Wを目標にペースで上るというのが目標。なので、260W台までゆっくり落としていく。その途中、同クラスゼッケンひとりに右から抜かれたようだが、ペースで上れと自分に言い聞かせて出力に注意を集中する。あとから振り返ると、これが今日の敗因だったんじゃないかと思うんだけど。
スマートコーチングで習って練習してきた体の使い方がやっと身についたのか、いい感じで上り続ける。260W台が楽に続くのだ。心拍は160台に乗っているので、限界に近いはずなのに苦しくない。苦しくなってきたらダンシング多用に切り替えてと思っていたのに、そうならないうちに補給ポイントについてしまった。
少し残っていた2本目をぐっと飲んで(水が飲めるくらい余裕がある)、ボトルは2本とも廃棄。スポーツドリンクをもらってホルダーに差したら……もう補給を差し出してくれる人がいなかった。人数、少なすぎるよ~。
右折してアップダウンが始まるあたりからは、一緒になった人たち5人ほどでトレインを組んで走る。これはいいメンツだった。一緒になった人にはこちらから声をかけるつもりだったのだが、後ろから、回していきましょう!と声をかけられた。そのあとも、前に追いつきます? そうしましょう、すぐそこに見えてるんだし、なんてやりとりをしながら走ることができた。みんな、ローテーションで前を追おうと気持ちがそろっていたのがいい。前の集団に追いつき、追い越して、若干メンバーが増えた状態でKOMを通過する。
下りも、踏む場面ではローテーション、べたっと伏せたままで下るところでは私先頭が基本。だって、伏せてると先頭に出ちゃうんだもん。トップチューブに伏せてる人よりふつーに伏せてる私のほうが速いって……そんだけ重いってことなんだろうな(^^;)
いい感じで走れたからか、前のけっこう大きな集団(20~30人?)との差が詰まっていく。なんとかあれに追いつきましょうよと声をかけ、私も引けるかぎり引く。ほかの人たちも乗ってくれたので、だいぶ詰まったのだが……下りきってももうちょい距離がある。次の上りは12分ほど。あきらめてこの集団で走るか、それとも、前にブリッジを試みるか。足にはまだ余裕がある。というか、上りのペースが遅く感じる。これはブリッジだろうなと思ったところでひとり飛び出した。周りからは無理だろの声。私は……やれるだけやってみようと前に。
この上り、ダンシングを多用してかなり詰めたのだが、結局、100m弱前方で集団が右折していくのを見送るはめに……あそこからは下りと平坦でスピードが出るんだよな。つまり、集団優位。ひとりで追いつくのは難しいかも。でも、いまさら後ろを待つのも。ええいままよ、走れるだけ走ってやる。(ここがふたつめの敗因、かな)
とにかく、必死で前を追う。途中、ちょっとだけ3人ローテになったところがあるが、基本は一人旅。集団はかなり離れていて、距離が開いているのか縮んでいるのかはよくわからない。とにかく、踏めるだけ踏む。ローテで走っていたときはアップダウンなど得意な場面でも踏まないようにしていたが(せっかくの集団、ちぎってどーするって話)、一人旅なら得意な場面で踏まないなんてもったいないことはできない。がつんと踏んでみると、かなりの出力が出る。大丈夫、足はまだ残っている。
下りきり、343号線に向けた最後の上り(343号線はだらだらと上っていくので上りという感じがしない)に入ったところで確認すると……うーん、3~4倍に開いてるなぁ。やっぱ、集団は速いなぁ。
そうは言っても、あきらめたらそこで試合終了。がんばるしかない。ぽろぽろ落ちてくる人をパスしつつ、必死で前を追う。343号線に出る前に追いつければよし、まにあわなかったら、また距離が開くこと必至である。
そうそう、この上りで140kmのトップ集団に抜かれた。オフィシャルカーから、「140kmの先頭集団が来ます。もう20~30メートルくらいに迫ってます。左に寄ってください」とアナウンスが。え、早い。もうか。ちょっとしたら、森本さん先頭に数人の集団が抜いていった。森本さんひとりが前に出ていて、間隔がちょっと空き気味で残りがだんごだったので、森本さんが上りでふるい落としにかかっていたのだろう。
結局、100m強前方で集団は343号線に右折(T_T)
しかたない。残り5km強、TTだと思ってとにかく走るしかない。集団そのものは遠ざかり、見えなくなってしまった。こぼれた人は何人かパスしたが、黄色いゼッケン(50代後半クラス)や茶色のゼッケン(若者)ばかりで、同クラスの淡青はいない。最初の大きな上りが終わったあと、ずいぶんたくさん抜いてきたが、同クラスの淡青はいなかった。前に少なくともふたりはいるはず。それだけなら表彰台だけど、見逃した人がもうひとりいたらアウトかぁ。
ゴールに向けた上りも、ダンシング中心でふつうに上れた。足はまだ残っているようだ。
ゴール後も、去年のような出し切り状態ではなく、それなりに余裕がある感じ。というわけで、チップ返却場所までさっと移動できた。さぁどうしようかなと思ったら、塩田さんが出迎えてくれたり、そんなこんなで話をしていたら内川さんがゴールしたり。
■塩田さん、内川さんとともに
自撮りってほとんどしたことないから(初めて、かも^^;)下手くそだなぁ。
大テント内に席を確保し、とりあえず、ゴール後にもらったリカバリーゼリー、スタート前にもらったお餅、スタート前に食べなかったべこ餅をお腹に入れる。速報サイトがあるとアナウンスがあったので、そちらを見てみると……無事、クラス3位にはなれたらしい。
■クラス3位
優勝は、やはりというかなんというか去年2位の佐藤さん、2位は去年ふるわなかった前川さん(上りはじめで抜かれた人)。
しばらくしたら表彰式が始まったけど、いろいろな賞があるんで時間がかかる。けっこう待って、60-64歳クラスの表彰。
■3位で表彰を受ける
タイムはいまいちだったし、昨年勝った人に負けての3位だったりで思うことがないわけではないけれど、やっぱ、うれしいわ。一番は、事故から復帰できたこと、なんだけど。
■お腹がすいてたまらないので、おやつにざんぎ弁当なるものを
上位25%のメダル授与が始まったあたりでホテルに戻る。終わって気が抜けたからか、しばらく体を動かさずにいて固まったか、走るのがなかなかにつらい。
2時すぎに戻り、まずは洗濯を始める。で、買っておいたニセコビール(ポーター)とチーズなどで祝杯。3位の賞状を眺めながら、ね(^^;)
■祝杯
温泉に入ったあと、ホテルのレストランでバイキング。6トリップと、た~~~っぷり食べてしまった。どう見ても、今日は摂取カロリーのほうが多いな(^^;)
夕食後は、80分間、たっぷりマッサージをしてもらい、9時ごろ就寝。
■とりあえずの感想というか反省というか
走る前は不安もあったが、最後までしっかり走れた。完全復活が確認できたのはうれしい。
その上でのことなのだが……走りそのものはいろいろ失敗したと思う。
最後、集団をひとりで追う、追えるほどの足があるなら、最初の上りで使うべきだった。具体的には、同クラスの前川さんに抜かれたとき、ついていけるだけついていくべきだった。まあ、結果論で、この上りを最後までたれずに走れるのかと走る前も不安だったし、走っているときも、後半きつくなるんじゃないかと戦々恐々で走っていたわけではあるのだけれど。それでも。今年は世界戦に行かないのだから、レース後半失速したら失速したでいいことにする手もあったはず(大失速していたら、内川さんが表彰台だったかも)。あそこで追えば、そういう走りをしたとき自分がどうなるのかもわかったはずだし、もしかしたら、前川さんと同じ集団で走れて2位になれていたかもしれない。
そもそも、自転車レースというものの性格からして、安全策、安全策で走っていい成績を収めるなんてできるはずがないのだ。後ろのグループは、基本、足が弱くて遅れた人が多いわけで、前の集団に入っている人にはかなわない。前が集団から切れてくれれば、後半の持久力が高いらしい私に分があるけれど、それって自分で呼び込める話じゃない。
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