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2018年2月19日 (月)

フィギュアスケートで「5回転ジャンプ」は可能なのか

フィギュアスケートの「5回転ジャンプ」は本当に可能なのか──その難易度を、専門家が力学的に考察」なる記事がWiredに出た。

5回転ジャンプ

大昔、一応はフィギュアスケートの選手だったので、ちょっと思ったことをコメントしておきたい。

> 踏み切りで腕を広げて回転軸から離れた位置に重さを加え、
> 飛んだ瞬間に腕を体の正面で折り曲げれば、
> 通常より速い回転速度が得られる

いやいや、それ、ない。それは昔の飛び方。その飛び方では腕が回転に負けてしまい、十分に引きつけられなくなる(経験者は語る^^;)。

3回転が一部の人にしか許されなかった時代から3回転当たり前、さらに、男子上位陣なら4回転が当たり前の世界に入ったのは、飛び方が変わって踏み切りで腕を広げなくなったから。だから早いタイミングで回転スピードを上げられるようになったもの。

> 4回転ジャンプでは腕は体のほぼ正面に来ていますが、
> これは選手が回転速度を最大に引き出せる姿勢です。
> つまり、回転速度を上げるためにこれ以上できることはありません

1行目はちょっと、ね。原文は"On the quad, we see the arms coming almost right in against the body"なので、「体に触れるくらいまで腕を引き寄せている」くらいの意味。

それはまあ置いといて。

だから5回転が無理とは言えない。少なくとも歴史的に言えない。なぜなら、3回転だってそのくらいまで腕を引き寄せて飛んでいたのだから(←目の当たりにしていたし、自分も、3回転ジャンプの練習では腕が胸に触れるまで引き寄せていたし)。さらに言えば、2回転だってそのくらいまで腕を引き寄せていた時代があったはずだから(←こちらは推測だけどたぶん正しい)。

> フィギュアスケーターは回転に使うエネルギーと
> ジャンプのエネルギーのバランスを取っているからだ

結局はここに尽きるのではないかと。いまのままでも、特異に瞬発力のある選手が出てくれば、もしかしたら5回転ができるかもしれない。いまだって、4回転トウループなんて余裕で飛んでる選手がけっこういるわけで。そうやって、「できる」となれば、なんとかしようと飛び方から工夫するようになり、5回転ができるようになるかもしれない。4回転が当たり前といういまの世界が現出したように。

ここ数十年、機材がほとんど変化していないのにフィギュアスケートの技術は格段に進歩した。どこまで行くんだろう。

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