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2017年1月29日 (日)

木下さんの「ロードレースアカデミー」

今日は、Kinofitを展開する木下さんのライディングセミナー@富士スピードウェイ。

前日がKinofit新年会で寝るのが遅くなったので、ぎりぎりまで寝ていて、起床は5時40分。ホテルをチェックアウトして車が走り出したのが6時すぎ。ナビによると到着予定時刻が8時前なので、まあ、なんとかなるだろう。

走りはじめてわりとすぐにコンビニでコーヒーとサンドイッチを買い、朝ご飯は運転しながら。土地勘のないあたりなのでナビ通りに走ったら、なぜか脇道をしばらく走らされたりとか、有料から高速道路に直接入れたはずなのにしばらく下道を走らされたりとか、どうなってるんだか。

東名高速を降りるあたりで思いだした。そういえば、昼飯も用意してこいって話だったような……。ところが、田舎道でコンビニもほとんどない。高速降りてわりとすぐのサークルKをパスしてしまったのが悔やまれる。そうこうしているうちローソンがあったので、ここで買わないと買えないかもと立ち寄ったら、みんな、同じようなことを考えているのか、棚がすかっとしてしまっている。まあ、必要な分くらいは買えたからいいんだけど。

■南側から見た富士山

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8時前に会場の富士スピードウェイ第2駐車場に到着し、受付と準備をすませる。ここで私のミスが発覚。支払いについて、カード払いができると思い込んでいたのだ。ほかのイベントで「現地でカード払いが可能」という連絡があり、そちらと混同していたらしい。いまだとスマホでカード決済ができるので、不思議にも思わず。仕方がないので、木下さんにお願いして、後日振込とさせてもらった。(会社員時代は急に出張になっても対応できるように10万円前後を持ち歩いていたが、最近は現金を払うことがあまりなくて最低限しか持たなくなっている)

■参加者と講師、全員集合

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■豪華な講師陣

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定員20人とこじんまりしているので、とうぜん、講師は木下さんひとりだと思っていたら、日本人初のツール・ド・フランス参加選手だった今中大介さんとトップクラスの現役選手、橋下英也さんも来られていて、まさかの3人体制。

これはよかった。やり方を習って練習しても、やってるつもり、でしかなくて、うまくできているのかなんて自分ではわからない。生徒7人に指導者1人という今回の割合なら、3回に2回くらいはやったところを誰かに見てもらえる。「うん、うまくできてるよ」の一言でも貴重だし、「もうちょっと~したほうがいい」「~になっちゃってるよ」と言ってもらえれば修正をトライできる。指導者によって見るポイントが違うので、思わぬ点を直してもらって、これがまた効いたりとか。

ちなみに、全員に無線機が渡されたので、遠くからでも指示が聞こえる。私は耳がいまいちよくないのでこれはありがたかった。

例によって、心覚えにいろいろとメモしておく。

■急ブレーキ

まずは急制動から。

■急制動のポジションを説明する木下さん

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体勢は、お腹がサドルにつくくらい上体をつぶす。足は、1時~7時から2時~8時のあいだくらいか。これが3時9時だと足を支点に前転する力が働くので要注意。腕も足もなるべく伸ばし、骨で荷重を支える。かかとを落とすことも大事。

最終的には、瞬間的にこの体勢に入って急制動できるようにならなければならない。それができれば、スプリント中に目の前でなにかあったりしても対応できる。

上体の体勢はよく説明されるけど、足についてはどうだろう。ほかで説明されていなかったのか、私が覚えていないのか、とにかく、記憶がなかった。まあ、お腹がサドルにつくくらい上体をつぶすと、3時9時は無理で、自然に1時~7時から2時~8時のあいだくらいになるとは思うんだけど。

練習は、後輪のみ、前輪のみ、前後輪の3種類。

後輪のみは当然ながらロックしやすい。で、ロックしたら軽く緩める人間アンチロックを身につける。どうしてもスリップしがちで、タイヤから白煙が上がる人も。かくいう私も何回か軽くロックして後輪が削れてしまった(^^;) 限界って、超えてみないとわからないから、練習で限界を超えてみるのはいいことだと思う。

■けずれた後輪タイヤ

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急制動は過去になんどか習っているし、多少は練習していたつもりなのだけれど……これだけ集中的に、かつ、スピードもかなりある状態で(時速35km以上目安と言われた。そのくらいまではやれたんじゃないかと思う。サイコン、チラ見しかしていないのでいまいちわからないのだけれど)くり返すといろいろと発見があった。

急制動のポジションを取るにあたり、お尻をサドルから後ろに滑り落とす感じにすると、体勢変化がすばやくできると思う。お尻を後ろに引いて上体をつぶすというイメージでやっていたときは、足でお尻を浮かせる→お尻を引く→上体をつぶすという流れになって時間がかかっていた。ところが、木下さんは一瞬でポジションが変化する。そこまでやるんだと工夫していたら、「お尻をサドルから後ろに滑り落とす」イメージにすると一動作で準備が整うことに気づいた次第。「お尻を落とす」と言っても、実際は、手はハンドルを握っているし足はペダルにくっついているわけで、お尻が本当に落ちることはない。自然とお腹がサドルにつかえてしまうからだ。でも、それこそが急制動の姿勢なわけで。

急制動から戻るとき、ジャージがサドルに引っかかることがけっこうあるので、そのあたりどうしたらいいのか今中さんに尋ねたところ……「我々でも引っかかることがあるのである程度は仕方ない。大回りをするような感じにすると引っかかりにくいが、たいがいは、ジャージに余裕がありすぎることが一番の理由。もう一段ぴっちりしたものにすると引っかかりにくい」だそうだ。

目から鱗のアドバイスもあった。制動を強くすればするほど前中心になるわけだが、後輪ブレーキをいまいち弱くしきれず、めいっぱいの急制動まで行くとまた後輪のスリップがはじまってしまう。ここで、橋下さんから、「ブレーキの引き代を調節し、前輪ブレーキのほうが少し早めにかかるようにする。これで、後輪を強くかけすぎることが減る」と言われたのだ。そういう手があったか、という感じ。

それにしても……うまくできたと思っても、併走する木下さんはその2/3か下手すると1/2くらいの制動距離で止まってしまう。道は遠いようだ。

■コーナリング

次はコーナリング。いま、私が一番迷っている部分だ。

コーンでV字のコースを作り、そこを曲がる。当然、V字の頂点をクリッピングポイントにしたアウトインアウトできれいに回る。まあ、コース取りは基本中の基本で、そのくらいはロードに乗るはるか昔、エンジン付きバイクで走っていた40年近くも前から知ってることなのだけれど……問題は、自転車でスムーズかつハイスピードに狙ったコースを通っていけるか、だ。っつーか、その感覚がなくて苦労しているわけだ。

■講師3人によるデモ

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ポイントはいくつかある。

まず、上体は伏せて姿勢を低くすること。具体的には、ブラケットを持っていても下ハンと同じくらいまで上体を倒すといいようだ。下ハンのほうが一段安定する感覚は前からあったわけで、下ハンと同じ姿勢にするのは理にかなっていると思う。

このとき、カーブ外側のひじを締める感じで曲げるとさらにいいようだ。これで頭と体が立ち気味になる。極端にやると、上体がカーブの外に出る感じ。内側の肩から突っ込んではいけない。

ここは今中さんに教えていただいたポイント。今中さんの説明は、頭を立て、肩が水平になる感じ、内側の肩を下げない、だったが、そうなる姿勢がうまく取れるときはカーブ外側のひじが曲がったときで、逆に、カーブ外側のひじが伸び気味になると上体が起きて肩から突っ込む感じがした。

ちなみに、いままでは、どうも、曲がっていく先に意識が行きすぎていて、そちらに上体が伸び上がるような感じになっていたようだ。行きたい方を「見る」のも基本中の基本だが、見るだけにとどまらず、体がそちらに行こうとしていたわけ。それでは重心が高くなってしまう。

なお、カーブ外側のひじを強めに曲げると、ハンドルの外側にウエイトがかかり気味になる。ハムスタースピンで習った形が「結果として」できるわけだ(「FUNRiDEトレーニングキャンプ」)。また、外足加重もやりやすい。外足に加重する、外側のハンドルにも加重すると言われてもなかなかできなかったが、両方とも、上体の形を作るだけで基本的にできるようだ。しばらく少し大げさにやって体にくせをつけたら、細かな調節ができるようになって、一段ニュートラルに近い姿勢で曲がれるようになるのではないかと思う。

うまく回れると、体がタイヤにしっかり乗っている感じがする。そして、タイヤがグリップし、タイヤで曲がっていく感覚もある。いままでは路面から浮いているような感じだったが、逆に、路面に食いこむような感じになるのだ。大昔、フィギュアスケートをしていた時代、エッジが氷に食いこむ感覚があったのと同じように。

路面を押すということは、そのまま向こうに押して外に広がっていくような気がして少し怖いのだが、物理的に考えればむしろ逆。反作用で路面からタイヤを通じて押されているわけで、体がどんどん内側に切れ込んでいく、つまり、曲がっていくのだ。どのくらい力を感じたらどのくらい曲がるのかなど、くり返して感覚を覚えれば、感覚的なとらえ方も変わるはず。要するに、反復練習あるのみ、である。

それにしても……実は、タイヤがしっかりグリップしている感覚があったのは初めてだ。私にとっては、これひとつで、今日一日、ライディングセミナーに費やしたかいがあったというか、すごく大きな収穫のあったセミナーだったと言える。

お昼休憩後は左・右・左の複合コーナー。最初は講師のあとについて何周か回る。このとき、ラッキーにも木下さんのすぐ後ろをついて走ったのだけれど……やはり、左から右に切り返すとタイヤがグリップしている感じでなくなり、スピードが落ちて(というか落とさないと怖い)遅れ気味になる。私の後ろはちぎれ気味になっていたらしく、「よくついて行けますね」と言われたが、実際は、遅れ気味になっては踏んで追いつくをくり返していたわけ。

ライン取りは、あとのカーブが楽に曲がれるようにクリッピングポイントを深めに取る、というセオリーどおりのもので、私にとっては特に目新しいものなし。

■複合コーナーの練習風景(バイクから撮ってもらった動画)


■1列の先頭交代

このあとはみっつのグループに分かれ、先頭交代の練習。

まずは1列トレインで先頭交代をする。先頭は外周側によけて下がる。今回はコースが左回りの周回なので右によけるわけだ。

私はいままでもそれなりにやっているので、これは特に問題なし。車間は開け気味でいいからと言われたけれど、私の前は講師の橋下さんだったので、遠慮なく詰めさせてもらう。すごく安定しているから後ろも走りやすかった。

説明があったし講師からの注意も飛ぶので先頭交代で2番手が加速することはなかったが……V字コーナーのあと、先頭にいると加速がちょっときつい人はけっこういたかな。後ろを考えればじわっと踏むくらいで行くべきだと思うのだけれど(この点も、あとで注意が飛んでいた)。

そうそう、交代の合図をひじでやってもいいというのは初めて知った。手をハンドルから離して合図するほうがわかりやすいが、ひじだけで後ろが気づいてくれるならそのほうが楽でいい。今度は、まずひじで合図をして、気づいてくれないなら手で、としよう。


■2列の先頭交代

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2列が回転するような先頭交代かと思ったら、1列の先頭交代が併走するイメージのものだった。先頭が両側に分かれて後ろに下がるわけだ。

となりの列がある側の空気抵抗が小さくなるのでメリットが大きいとのこと。3人なら1列で回すが、6人いたら2列がいいというほどに。

今日は、全員が説明を聞いているし、無線での指示もあるしで、きれいにローテーションが回った。タイトコーナーは譲り合って1列になり、その後、またゆるやかに2列に戻るということも。ここで前を追うとき、私は、隣の列だった人の後ろについたまま前を追い、追いついたら自分の列に戻るようにしていた。1列トレイン状態の方が自分も前の人も楽に走れるのだから、追っているあいだはそのほうがいいはずだ。

ただ、ふだん公道でやれる形ではないし、一緒に走っている人がみんなその気にならないとできないのでツール・ド・おきなわの市民レースではまずやれないだろうし……活用できる場面はないかもなぁと思う。残念。

2列は当然に近いほうがメリットが大きくなるはずで、講師ふたりのデモだと隙間が10センチもないくらいで走っていた。去年、トレーニングレース群馬CSCの講習会で練習したように、ちゃんと走っていれば、隣と軽くぶつかってもどうということはないので、気にせず寄ってしまっていいわけなのだが、とりあえず、今日は無理のない範囲できれいに回すことを心がけろとのことだった。

そうそう、最後に今中さんと橋下さんで、肩で押し合いながら走るデモをしてくれた。肩が触れるなんて生やさしいものではなく、後ろから見るとふたりとも自転車からしてはっきり傾いていて、ふたりで三角形を作って走っているのだ。

■ぐるぐる回る先頭交代

これはどういうときに使うのかと質問したら、高速でがんがん走り続けるときに使う、とのこと。国内だと、まず、そういうシチュエーション自体、遭遇しないので選手でも経験したことのない人が多いらしい。

■バイクペーサーについての走行

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最後は、みっつのグループに分かれてバイクペーサーについての走行を体験。私は、バイク~講師の橋下さん~私と、またも特等席を確保(^^)v うん、このくらいなら十分ついていけると走りはじめたときは思ったのだけれど……休めるときがないのね。周回コースを1周半近く走ったあたりから急激につらくなり、ついていけなくなってしまった。

今中さんによると、数時間の練習をした最後、バイクペーサーについて1時間走ったりするのだそうだ。そこまでしないと、長いロードレースの最後まで戦うことはできない、と。同じ人間とは思えない話だ。

■筋トレ

最後のミーティングで、橋下さんから筋トレを教えているという話があったこともあり、筋トレ関係の質問がいくつか出た。気になった点をメモっておく。

  • 自転車に応用しやすいのはデッドリフト。
    →PCG Japanの南部さんもデッドリフトを勧めておられた。臀筋回りの強化にいいらしい。
  • スクワットは定番だが、自転車への応用が少し難しい。
    →どう難しいのかまで説明はなかったが、たぶん、自転車と動きが異なり動作面の調整が必要ということではないかと思う。ちなみに、スクワット、体重の3倍くらいは上げられるようになりたい、とのこと。
  • 腸腰筋のトレーニングはハンギングレッグレイズ
    →ウエイトトレーニングでなくても、アップダウンのダウンで休み、アップは引き足まで使う全力走としてもいいと今中さんからコメントあり。

■感想

早朝から夕方まで丸1日かけたセミナーで時間も長いし、料金もかなり高い。半日でこの1/10くらいのことが多いくらい高い。時間あたりで普通の5倍くらいもするってことかな。でも、高いだけのことはあったというか、密度や得るものを考えたら割安だと言えるかもしれない。

少ない生徒に多くの講師がいて、アドバイスをたくさんもらいながら広い駐車場で練習をくり返すので効果があがるし、ある段階ができるようになったから習えることも習える。いままで半日のライディングセミナーもいくつか受講したし、それぞれに得るものがあって、かけた時間とお金は十分に元が取れたと思っているが、今日のセミナーはセミナーで、やはり、かけた時間とお金は十分に元が取れるものだったと思う。

コース周回中などはカメラを積んだバイクが併走していて、走っているところを撮影してくれていた。動画はまだ整理中で一部しか見ていないが、自分が走っている姿が確認できるのはありがたい。これまた、「つもり」と実際がずれていたりするからだ。(実際、上にリンクしてある複合コーナーの練習も、つもりとずれている点がいくつも……^^;)

今回のライディングセミナーは試験的なもので、ある意味、どういうものになるかまったくわからなかったわけだが、結果としてはとてもよかったと思う。今後、定番化するのか、それともこれ1回で終わるのかは、受講の希望がどのくらい出てくるのか次第、だろう。興味のある人は木下さんに連絡を入れておくといいだろう。そういう希望がたくさん出るようならまた企画するということになるはずだし、連絡を入れておけば次回の企画が出てきたとき連絡がもらえるはずだからだ。

■会場となった駐車場からも富士山がきれいに見えた

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見えたんだけど……ほとんど見てなかったなぁ(^^;) だって、練習するのに忙しいし、待ってるあいだもほかの人たちとか講師陣の模範演技(急制動など、木下さんが併走しては一緒にやっていた)を見るのに忙しいし。

(写真は、自分で撮ったもののほか、プロが撮ってくださったものなどほかの方がシェアしたくださったものがあります)

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