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2016年12月10日 (土)

Peaks Coachingのパワートレーニングセミナー

午後一はPeaks Coachingのパワートレーニングセミナー。コーチングしていただいているゲンさんが日本に来ていて登壇するというのだから行かない手はない。中田さんの話は1年前にも聞いているが、新しい話もあるだろうし。

■■Peaks Coaching Group パワーセミナー 「実践!パワートレーニング ~パワーを使った年間トレーニングプラン~」 12/10(土)東京開催が決定!■■

同じ名前の貸し会議室がいくつもあるらしく、グーグルマップで検索したらぜんぜん違うところに連れて行かれた(--;) 時間に余裕があったので、なんとか話が始まる直前に正しい会場に到着。でも席はほとんど埋まっている。こういうときは前が空いてるはずだし、耳が悪い私としてはなるべく前で聞きたい。と、最前列、3人がけの真ん中が空いている。いれていただいて座ったとき、思った……「奥の人、どっかで会った気がする。たまたま一緒のところにいたというレベルでなく、もうちょいなにかあった人のような気がする」と(記憶力が悪いと苦労する)。休憩時間にようやく思いだした。ツール・ド・おきなわでゴール後に「ブログを読んでいる」と声をかけてくれた人なんじゃないかと。もしかして……と話しかけてみたらやっぱりそうだった。世の中はせまいというか、同じようなことをする人は似たような場所に集まるというか。

内容については、ふーむと思った点などを心覚えがわりにメモしておく。今シーズン後半、練習量についてよく考えていたので、そのあたりが中心になる(興味のあるポイントが頭に残るので)。

なお、スライドの写真などは「写真などに撮り、SNSなどで紹介しもらったかまわない」との話があった。

■練習量の管理

練習量を測るものとしては、時間、エネルギー量、TSSの少なくともふたつ、できれば三つを基準に考えるべき。時間さえかければTSSは増えるがトレーニング効果はあがらない。

昨シーズン後半、私はTSSとIFを基準に見ていたのだが、IFは時間とTSSの関係で決まるようなもの。つまり、時間とTSSを基準にしていたに近い。考え方としては悪くなかったということだろう。

エネルギー量はこれまでまったく見ていなかったので、これからは少し注視してみたい(TrainingPeaksのDashboardに時間とエネルギー量を週単位で示すチャートを追加した)。

リオ五輪で好成績をあげた山本公平選手と今年の全日本ITTチャンピオン、西薗選手のデータが紹介されていた。そこで気になったのがふたりのCTL。山本公平はシーズン中で90前後、リオ五輪では70ほど。意外なほど低い。プロの西薗選手でシーズン中平均が105、調子を上げている時期で113。TSSはFTPを基準に算出するため、強いからといってべらぼうな数字がたたき出せるわけではない。強ければ基準値が上がってしまうからだ。

いずれにせよ、紹介されたのはプロ、アマともにトップクラスの選手。体ができあがったトッププロ、トップアマとまだまだ体を作っていかなければならない我々とでは違いがあるはずで、我々はもっと体に負荷をかけてやらないといかんのかもしれないし、逆に、我々の体では110~120ものCTLの継続に耐えられないのかもしれない(たぶん後者)。

最後の質疑で「アマ選手の場合、CTLはどのくらいを目安に考えればいいか」という質問が出ていた。案の定、「人によるので一概にどうこう言えない」とのこと。ただ、100を越える人は少ない、500TSS/週くらい(CTLは70くらいか)が多いとの言葉もあった。中田さんはたくさんの選手を見てこられているのだから、一般にそんなところなのだろう。

■プロとアマを比較する中田さん

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プロは高強度(FTP以上)で過ごす時間が長い、これが大きな違いだ、だから、高強度の練習を増やしましょうという話だった。そのときはふむふむと聞いていたのだが、いま、振り返ると、そんな単純に考えていいのかなと思ってしまった。

このグラフから総練習時間を出すとプロが350時間、アマが160時間。プロの半分弱(0.46倍)がアマというところだ。高強度の区分ごとにプロとアマの比を算出して、総練習時間の比と比べてみよう。

・緑(テンポ)……38時間対15時間(0.39倍)
・黄(LT)……34時間対13時間(0.38倍)
・オレンジ(VO2)……16時間対8時間(0.5倍)
・赤(アネロビック)……15時間対12時間(0.8倍)

つまり、練習の密度としては大差ないのではないだろうか。総練習量に占めるテンポやLTの比率はプロのほうが高いが、VO2やアネロビックはむしろアマのほうが高い(少なくとも、ここで比較されているふたりについては)。練習の総量が違うので、絶対的な時間を考えれば、当然、プロのほうが長いわけだが、それは高強度だけじゃなくて低強度も長いわけで。

ただ、もし、パワーゾーンの分布が等しければプロのTSSはアマの倍以上になる。ここで例に挙げられているプロは西薗選手だからそのCTLを120とすると、アマは55くらい。言い換えると、アマはもっとCTLを上げられる余地があるのだから、高強度の時間をもっと長くしていい、平均の練習強度をもっと上げていい、ということになるのかな。つまり、結論は、セミナー時に中田さんが語られた「高強度の練習を増やしましょう」でいいような気がする(^^;)

それにしても……350時間、160時間という練習時間はどのくらいの期間にまたがるものなのだろう。その上の表にある「トレーニング量」も加味して考えると3週間かなぁ。

■TSSやTSBの考え方

ふーむと思ったのでメモっておく。

TSSはグリコーゲンの消費を測るもの。消費したグリコーゲンが再充填されるとTSBがゼロになる。つまり、過去7週間の平均TSS(=CTL)から過去1週間の平均TSS(=ATL)を引くと現在のグリコーゲンレベル(=TSB)になる、という計算ということらしい。もちろん、だいたいの話だし、厳密なことを言えばそんな単純な話でもないわけだが、でも、目安としてはそんなところなのだろう。

■年間の目標や狙うポイントの設定が大事

このあたりは個別の話なので詳細は割愛するが、なんでもかんでも強くなれるはずがないので、自分はどこを狙うのか、どうなりたいのかがまずないといかんというのは深くうなずくところ。

■ウエイトトレーニング

ストレングストレーニングも専門である南部コーチからそちら関係のプレゼンもあった。このシーズンオフからウエイトトレーニングも取り入れようといろいろ始めたところなのでいいタイミングである。

ウエイトトレーニングは重さと回数とセット数が大事だが、南部コーチのおすすめは「4~6回、3~4回」の高負荷・低回数・多セットだそうだ。教科書的なくり返し回数は10回強だが、素人が10回を狙うと、つい、20RMなどの軽すぎる負荷になりがち。それを10回やっても効果が薄い。4~6回しかできないと思う重さなら10RMくらいの負荷にはなるはず。回数が不足する分はセット数を増やして十分な刺激を筋肉に与えられるようにする、だそうだ。

■有酸素運動とウエイトトレーニング

有酸素運動をしたら、4時間以上あけてウエイトトレーニングをすること。すぐやっても体のモードが変化せず、成長ホルモンの出が悪いというのはウエイトトレーニングの入門書などにも書いてあるのだが、じゃあ、どのくらい開けたらいいのかなぁと思っていたら、今回、この質問をしてくれた方がいて助かった。特にマスターズ(要するに私みたいな年寄りだな)は、きちんと時間を開けること。そうじゃなくても成長ホルモンが出にくくなっているわけだから。

つまり、ウエイトトレーニングをする日の自転車トレーニングは少し早めの時間帯にやったほうがいいってことだな。

なお、プライオメトリックなトレーニングなら有酸素運動直後でもいいそうだ。中田さんのおすすめは、最後にタバタのようなHIITを入れる、あるいは、スプリントを追加でやる(チーム練のあと、ひとりで追加するとか?……みんなやってることだけど、とのこと)、ボックスジャンプをする、などとのこと。

タバタについては、20秒オン/10秒オフ×8セットといういわゆるタバタ以外に、40/20×10セットというものも自転車関係ではけっこうやられているらしい。いや、それ、きついでしょう。

■FTPの向上

トレーニング効果が上がると、ベストで8%/8~12週くらいFTPが上がるそうだ。もちろんどこまでも上がるわけではないので、ここには、調子を上げるという範囲の話がかなり混じっているのだろうと思う。すでに自分にとって(少なくとも現在の)限界近くまで上がっている場合は、8~12週間がんばってもそんなにあがるはずがないと思う。みずからのポテンシャル部分を拡大しないといけないってことなので。

■ゲンさんのプレゼン

トレーニングの基本的な組み立て方のほか、レース中、パワーメーターをどう活用すればいいのかといった話があった。チーム練の動画が紹介されていたが……FTPレベルで長く走ったところからVO2や最終的にはACまで突入してアタックしていくのがすごい。休んだあとならVO2やACも使えるけど、FTPレベルで長く走るとVO2にも上げらんなくなったりするんだよなぁ。FTPの最後にVO2アタックという練習があるけど、それをくり返せば、FTP後、普通にVO2でアタックできるようになるんだろうか。

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