Peaks Coaching Groupのパワーセミナーを受講
先週土曜日に続き、今日も自転車のセミナーを受講してきた。今回はパワートレーニングのセミナーだ。
「実践!パワートレーニング ~プロのコーチングの実際とアマチュアへの活用法~」
講師の中田さんとFacebookなどで少しやりとりをしていたので、ついたところでご挨拶。さらに、じてトレを運営しているOVERLANDERの高嶋さんにもご挨拶。場合によってはお仕事という話もありうるので。さらに、登壇されるBRIDGESTONE ANCHORの西薗良太選手としばらくいろいろとお話を。西薗選手には、アンカー・ツアーで行ったツール・ド・おきなわのときにご挨拶をしていたので。マック大好きで、『偶像復活』をはじめ、訳書を何冊も読んでいただいているらしい。
■講師の中田さんと
けっこう早めについたはずなのに、そんなこんなをしていたら、あっという間にセミナーの開始時刻。最前列中央という特等席で話を聞く。
パワートレーニングについては、1年半くらい前からそれなりに勉強して、なにをどうするのか、それなりにわかってきているつもりなのだが、どうも、理解が断片的で全体をどうコーディネートすればいいのかがよくわからなかった。今日の話で、そのあたり、1本筋が通った気がする。
■概要
トレーニングについては、時間が当然に限られるし、さらには、ある意味TSSも限られている。その中で最高の効果を得るには、「FTPを基準にパワーゾーンを設定し、各パワーゾーンで過ごす時間を最適化する」必要がある。「CTL(過去42日間の平均TSS)を目安にトレーニング総量を管理し、どのパワーゾーンにどれだけの練習を割り当てるのか、自分の強みや目標レースの特徴などを考慮して最適化する」。
こういう全体像のなかで、具体的にどうするのかを考えていく。どこかひとつのみを強化しようと同じ練習を続けても体が慣れて刺激の有効性が落ちてしまうから、いろいろと変化をつけたほうがいいとか、そういうことも考えつつ。
■私なりのまとめ
まとまりがわるいが、心覚えとして、聞いたことを書いておく。
●用語
- FTP……1時間の全力疾走の平均ワット数=有酸素能力の限界
- NP(Normalized Power)……ペダルを止めずに走ったと仮定した場合の平均パワー。体にかかる負担(コスト)を表す
- IF=NP/FTP……1時間以上走ったときのIFは、定義から、1以下としかならない
- TSS(Training Stress Score)=((s×W×IF)/(FTP×3600))×100
●自分のMMP(Meam Maximum Power)を知る
5秒、1分、5分、20分のMMPを定期的に測定する(全力を出して計測する)。FTPテストは8週間から12週間に1回やり、進捗を確認したりその後の方針策定に利用する。
そう言えば、PioneerのCyclo-Sphereでも、5秒、1分、5分のMMPが標準でリストアップされる。統計データの欄では、20分のMMPをグラフ化することもできる。
20分MMP×0.95をFTPだと考え、それをもとにパワーゾーンを設定する。
■FTP
有酸素能力の指標。フィットネスレベルを反映し、年齢にかかわらず伸びる。(私のような年寄りに朗報)
FTPは体調によっても変動するので、あまり細かく考えてもしかたないが、5~8%上がると風景が変わる。(そういえば、今シーズン最後のツール・ド・おきなわは流れる風景が違っていた。推算してみると、どうも、シーズン前半に比べてFTPが7%くらい高かったようだ。)
なお、標高が高いと酸素濃度が低くなるのでFTPも下がる。個人差が大きいが、標高1800mで-10%くらいになることが多い。
●練習量のコントロール
1カ月自由に練習して週平均TSSを出す。これが700TSSだとしたら、ゆるめの週は500、きつめの週は1000などとして、2800TSS/4週とする。これを、3000TSS/4週などへと増やしていく。増やすスピードは、CTLで10TSS/Week以下が目安。伸びるためには増やす必要があるが、無理に伸ばすとオーバーとレーニングになる。
強弱は、基本的に、3週間オンの1週間オフくらいのリズムで行くのがいい(強くなる可能性が高い)。
ホビーレーサーは週末にまとめて練習をしすぎるきらいがある。週末2日で300km走るなど、「ツール・ド・フランス・トレーニング」をしても効果はあがりにくい(ツール・ド・フランスで300TSS/日強だったりする)。それより、午前中2時間もがいていったん休み、夕方また走るなどのほうがいい(日本のレースは2時間とかで短いので)。長距離ばかり走っていると、もがかず完走を狙うような走りが癖になり、完走しかできなくなる(レースにならない)。FTPを中心にしつつも、VO2max、アネロビックあたりを強化するなどしないといけない。
●TSSの質による違い
TSS(練習量)が同じでも、時間が異なれば質が異なる→パワーゾーンごとにすごす時間の最適化を考える。1時間あたりのTSSが50くらいが分岐点で、それ以上ならVO2maxがたくさん含まれる、以下ならエンデュランス系が多いと思えばいい。
●休みの入れ方
1週間に2日は休息日とする。1日は完全休養で自転車に乗らない(脳みそもオフにする)、1日はアクティブリカバリー(筋肉をほぐして血の巡りをよくする)。
●インターバル
たとえば4本インターバルでは、1本目、2本目は前回の平均値くらいとし、3本目、4本目にがんばって平均を高める。これで平均値があがったら、次回は、1本目、2本目にそのくらいで踏み、3本目、4本目にがんばって平均を高める。こうしてハードルを上げていく。4本目にタレたら平均が下がるので、次回、下方修正することになる。
●バイクスキル
同じレースでふたりを比較したとき、足を止めている時間が90分中23分と14分と大きな違いがある。14分の選手はアタックをくり返して休んでおらず、最後の勝負にからめず終わっている。どう走るべきかの戦術もデータからわかる。(私のレベルだとあんまり関係ないかもしれないけど^^;)
●西薗選手の話で興味を引かれた点
往復コースのTTで風が吹いていたら……向かい風でややがんばり、追い風でやや緩めるほうがタイムは縮む。風の抵抗は速度の3乗で効くこと、スピードアップ幅が同じなら低速のほうがタイム短縮の効果が大きいことから。TTでは、遅い場面でややがんばるのがいい、だそうだ。あまりアップダウンが激しくないコースなら、「狙った速度に対して+5kmで緩め、-5kmでがっつり踏む」イメージ。
先日のツール・ド・おきなわのように上りで集団から遅れ、下りから平坦で追走するときは……四の五の言わずに踏み続けるんだろうな(^^;)
■感想
昨年、パワートレーニングについて学び、高強度・短時間を取り入れてみたけどあまり効果が上がらなかった気がするのだが、たぶん、トレーニング総量のコントロールができておらず、総量(総TSS)が少なくなっていたからではないかと思う。今日のセミナーを聞いた結果では、総量をまずコントロールし、その内訳を高強度・短時間から低強度・長時間まで、さまざまなトレーニング方法に割り振るというふうにするのがいいようだ。
各時間のMMP、測ってみようかな。いま、PioneerのCyclo-Sphereに表示されるのは、たまたま、出したことがある最高値であって、そのつもりで測ったものではないので。
余談ながら……受講者は、私のようにパワートレーニングに興味がある個人だけでなく、コーチをしている人などもかなりおられたようだ。先週、ペダリングセミナーの講師をされていた須田さんもおられたし(あくまで受講生として参加されてるとのこと)、ほかにも、質問を聞いていると、コーチかなにかをしていそうだと思われる人がいたりとか。パワートレーニングについて詳しい話が聞ける貴重な機会だったということなのだろう。
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