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2015年3月17日 (火)

ペダリング効率に関する一考察

先日書いた「クランク長に関する一考察」にもちょっとだけ出てきたペダリング効率について、少し考えてみたい。

あまり見かけないペダリングモニターのイマイチな所」というページには「②ペダリング効率があてにならない」と書かれている。総出力があがるほどペダリング効率は高くなる傾向にあるのであてにならないというのだ。言いたいことはわかるし、そう思いたくなる気持ちもわかるが、それはちょっと違うのではないかと私は思う。

上記ページも「ペダリング効率という指標が本当にペダリングの上手さを表すパラメーターであるなら」とあるが、問題はそこにある。ペダリング効率はペダリング効率であって、ペダリングの上手さ指標ではない。

ペダリング効率からペダリングの上手・下手を知ることはできるし、自分のペダリングスキルが向上していく様子を知ることできる。しかし、それは、単純にペダリング効率の数字が高いとか低いとかで表されるものではないということだ。

■ペダリング効率とは?

クランク長に関する一考察」でも触れたが、ペダリング効率というのは、(↓)である。

ペダリング効率 = ペダルにかかる有効な力 / 足からペダルに伝わる力

パイオニアのサイトにある数式(「自分のペダリングの状態を数値化する」)は、上の式を計測方法にあわせてきちんと書いたもの。本来は全周について積分するものだけれど、測定点が限られているので、このページ中段のような式になるわけだ。

ともかく、簡略化した私の式は(↓)と書くこともできる。

ペダリング効率 = ペダルにかかる有効な力 / (ペダルにかかる有効な力 + ペダルにかかる無駄な力)

ペダルにかかってはいるけど無駄になる力とはなにか。主なものは、接線方向からずれた踏み込み、下死点での踏み込み、アップストローク時の抜重不足だろう。接線方向からずれた踏み込みは、ペダルにかかる有効な力が大きくなるほど(踏み込みが強くなるほど)比例して大きくなるはずだ。下死点での踏み込みも、特にスキルが低い人の場合、出力が上がるほど増えそうではある。これに対し、抜重不足は、基本的にスキルで決まるものであり、出力が高くても低くてもあまり変わらないはず。つまり、出力が高くなってもあまり増えない部分がかなりある。

いっぽう、ペダルにかかる有効な力は、出力が上がれば上がるほど、どんどん大きくなる。っていうか、「ペダルにかかる有効な力 = 出力」なのだから、これはトートロジーにすぎない。

結局、出力が上がるとき、無駄な力はあまり増えないのに対し有効な力はどんどん増えていくわけだ。だから、出力が高いほうがペダリング効率は高くなる傾向がある。

■ペダリング効率とペダリングスキル

では、ペダリング効率からペダリングの上手・下手をどう判断すればいいのか。「あまり見かけないペダリングモニターのイマイチな所」にも書かれているように、同じ出力におけるペダリング効率を見ればいい。その場合、ペダリングスキルが高いほどペダリング効率が高くなる。

ただし、パイオニアサイトの「負荷増加に伴う左右のペダリング効率[%]の変化」にあるグラフを見ればわかるが、100Wくらいだとスキルの差が出にくい。スキルがあがっても無駄な力がゼロになることはないので、総出力が小さいと違いが出てこないのだろう。

出力が150Wから200Wくらいになると、スキルの差がはっきり出るようだ。いま、私にとって関心がある出力範囲はヒルクライムで自分の常用範囲となる200~250W。この範囲で、競技レベルの低い選手と高い選手でペダリング効率は45~50%と65~70%。1.5倍近くも違う。

■現実になにを意味するのか

これがなにを意味するのか、試算してみたい。

いま、220Wでペダリング効率が45%だったと仮定しよう。このとき、体がペダルに加えている総出力は(220/0.45=)489W。体側から見た総出力を保ったまま(つまり、体感的なきつさが変わらない状態で)ペダリング効率が65%になると、有効出力は(489×0.65=)318Wとなる。

この違いは大きい。

自分に引いて考えると、自転車に乗りはじめて2年あまりの現在、ペダリング効率は45%もないかもしれない。それでも、220Wくらいならヒルクライムレースで出せている。言い換えれば、ペダリングスキルが上がれば、300W近い出力で走りつづけられる可能性さえもあるということだ。年齢が年齢なので、今後、心肺機能はあがるどころか下がる一方だと思うけど、スキルはまだまだ上昇の余地があるはず。そして、ペダリングスキルさえ上げられれば、パフォーマンスは上げられる、はず。

いままで、「力をつける=心肺機能を中心とした体力の向上」だと思っていたので、ヒルクライムのタイムが縮むのは、せいぜいあと1年くらいと考えていたのだけれど、スキルによる違いがそんなにあるのなら、もう何年か先までタイムが伸びていく可能性がありそうだ。

よし、がんばんべ~。

p.s. ホントのところ、いま、自分のペダリング効率ってどのくらいなんだろう。まずはそこからだな~。

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