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2014年5月26日 (月)

ヒルクライム対策セミナー

ネットでみつけたヒルクライム対策セミナーなるものを受けてみた。四谷にあるスマートコーチングというところがしているもの。「初心者・初級者向け」と「中級・上級者向け」があるので「中級・上級者向け」を。本格的に乗りはじめてまだ1年とちょっとなので経歴的には初心者のうちかもしれないけれど、たぶん、内容的には中級クラスでいいはずだと思ったので。

ヒルクライム対策セミナーの説明

富士ヒルクライムや乗鞍など2000m~3000mを登るヒルクライムレースに対応する為には、低酸素対策が必須です。スマートコーチングに設置してある低酸素室で標高2500m相当をシミュレーションし、呼吸方法の違いによる運動パフォーマンスの変化を比較検証します。体内の酸欠状態をリアルタイムにモニタリングできる血中酸素飽和時計を使い、ヒルクライムなどで即使える呼吸法を身につけましょう。

  • 初心者・初級者向け・・・ヒルクライム初心者および完走目的の方に合わせた内容で行います。心拍トレーニングって何?パワートレーニングは聞いた事あるけどよくわからない・・という方に合わせてペダリングの基礎基本や高所の運動生理学を丁寧に解説します。
  • 中級・上級者向け・・・ヒルクライムレース経験もあり、自己ベストを更新したいという方や実業団登録者向けです。心拍トレーニングやパワートレーニングを行った事がある、あるいは普段から行っている方に合わせてセミナー内容を進めていきます。

お天気が若干心配だったが、家から自走で四谷まで行く。「自転車でお越しになった方は、GT-Roller Flex2で実走感を含めてシミュレーションできます」とあったので。

都心方向にロードで走ったのはこれが初めてだ。心配したほど道は混んでおらず、1時間ちょっとで現着。スマートコーチングは地下1階なので、自転車持ってクリートのついた靴で狭い階段を降りなければならないのがちょっと。1階なら便利なんだけど、1階だと賃料が高くなるからなんだろうなぁ。ま、その分、安くセミナーが受けられると考えればいいのか。

■低酸素シミュレーション室

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室内は酸素濃度が低く抑えられており、高地の低気圧・低酸素分圧をシミュレーションできるようになっている。自転車を持ちこんだ人は手前に写っているFLEX 2というダンシングもできる固定ローラー(半固定といったほうがいいのかな)、ペダルのみ持参の人は奥のエルゴメーターを使う。

この日の受講生は4人。レベルは(↓)

  • 富士ヒル1時間20分(←私)
  • 富士ヒル1時間15分
  • 富士ヒル1時間2~3分
  • 乗鞍1時間15分(だったと思う……)

富士ヒル1時間2~3分って人が断トツに強く、私と乗鞍目標の人が最後尾で似たようなレベルというところだろうか。

■呼吸法

セミナー内容は基本的に呼吸法。まずは、息止めとスクワットで体を酸欠状態にして、血中酸素濃度の変化を見る。私は息止めをやったのだが、98%→94%くらいでもうどうにもならないくらい苦しくなってしまった。

ちなみに、この血中酸素濃度だが、赤血球100個中、何個が酸素と結びついているのかをセンサーで計測しているらしい。

いろいろと解説を聞いたあと、低酸素シミュレーション室に入り、ふたりずつ自転車に乗って低酸素下での運動を体験する。ケイデンス75、FTPの8割くらいという比較的楽なパワーで5分ほどこぎ、血中酸素濃度を測ると……私の場合で87%くらいまで低下していた。ここからきついときの呼吸を意識的にしてみると……血中酸素濃度が94%くらいまであがり、心拍は10bpmほど低下。体感的にもはっきりと楽に感じる。また意識しない呼吸に戻すと、1分もすると血中酸素濃度は下がり心拍は上がる。たしかに、ずいぶんと違うものだ。

呼吸のやり方としては、「短く強く吐く」ことが肝要。リズムは、1回吐いたら1回吸うでもいいし、2回吐いて2回吸うでもいい。このあたりは人によって、あるいは状況によってどれがいいか変わるので、自分で自分に合った方法を探すべし。

……って書いてきて思うのだが、これは、セミナーに行く前から知識としては知っていた内容。雑誌などでも紹介されているからだ。でも、実際問題、どういう風にすればいいのか、言葉だけではよくわからず、過去、峠でいろいろやってみたのだけれどうまく行かなかった。そういう意味では、やはり、こうして指導者がいて、実演なりなんなりもあるというのはわかりやすくていい。「じゃあ、呼吸法をやってみてと言うと、~なやり方をする人がいるんだけど、それは逆効果なんですよね」と言われた方法、実際に峠でやってみて、かえって苦しくなってやめた方法だったりした。言葉で説明されたとおりにやってみたつもりだったんだけど。

ちなみに、低酸素状態でも、FTPぎりぎりのような高強度でなければ血中酸素濃度が下がってもなにも問題はないのだそうだ。体が必要とする酸素量がまかなえていれば、大気中の酸素濃度がどうでも血中酸素濃度がどうても同じということ。言われてみれば当たり前の話。そうでなければじっとしていても苦しいってことになる。

低酸素状態で大きく違うのは、体が生理的な平衡状態にいたるまでの時間が長くなること。そのため、平衡状態になるまでに無酸素部分をかなり使ってしまうことになる。これを意識的な呼吸で有酸素にすれば、後半に脚が残せるわけだ。

血中酸素濃度が大きく下がっても無意識だと呼吸が荒くならないのは、呼吸指令が血中の二酸化炭素濃度を基準にしているかららしい。その場合、酸素濃度が低いと二酸化炭素濃度も低くなり、呼吸は荒くなりにくいわけだ。だから、高地で走るなら、そのギャップを意識で埋めてやるといい、と。

そうはいっても、激しい呼吸をするのは、それはそれで疲れる行為。呼吸に使われる筋肉は体幹を中心に全身の20%前後にのぼるそうで、それだけの筋肉を意識的に激しく使い続けられるのか、そこまで体幹の筋肉がしっかりしているのかというのが問題になる。セミナーでは「呼吸筋も鍛える必要がある」との話がされていた。

■ペダリング

セミナーは基本的に呼吸法だったのだが、私については、乗りはじめた直後、「左足、太ももの上がすぐにきつくなりません? そんなに踏んじゃだめだよ」とペダリング指導が……。

右と左を比べると、あきらかに左が下手なのはわかっていた。片足ペダリングをすると、右はリラックスしてスムースに回せるのに、左は上体と腕にそうとう力をいれないとだめでなにかがおかしいと思っていた。左は踏み込みすぎで、変な方向に力が逃げており、逃げる力の分だけ上体や腕で反対側に打ち消さないとバランスが取れないということらしい。FLEX 2の場合、なんだか左にねじれていくような感じがしたし、正面に置かれた鏡でも体をまっすぐに保つのが難しい。

呼吸法の効果をみるためにはパワーとケイデンスを一定に保つ必要があり、そのため、メトロノームに合わせてペダリングしていたのだが、「踏むほうを音に合わせるのではなく、メトロノームが鳴る瞬間に引き脚を持ち上げるイメージ」と言われ、その意識でやってみたら、体感的に一段楽になった。というか、なんかちゃんとペダルに力を入れられず、頼りない感じ。でも、負荷は変わっていないわけで。強く踏むとペダルの回転にブレーキがかかり、その分をまた踏んで回すという感じで体感的には「オレ、がんばってる~」となるけど、実際にはパワーを捨てているだけとのこと。頼りない感じで十分なのねぇ。

「引き脚を意識する」って話はよく見るけど、それってこういうことだったのかな。引き脚、引き脚って言っても、ホントに引いて回すわけじゃなく、力がかかっているのは踏むときだから、あんまり引きあげるようなことをしても……みたいな話もあってどうしたらいいのかわからなくなっていたのだけれど。意識は引き脚側で、実際の踏み込みは自然と体重が乗ることで処理されるっと。

■感想

セミナーは3時20分から5時の1時間40分で4500円(実際には、最後は片付けや着替えをしながら話を聞くような形で6時近くまで続いた)。

呼吸法だけでも、十分に元が取れたと思う。私の場合は、それにプラスしてペダリングの指摘もあったので、とってもお得だったと思う。

今回教えてもらったペダリングがそれなりにできるようになったら(左だけの片足ペダリングがスムースにできるようになったら)、個別指導を受けてみようかな。私はもう年で、がむしゃらにやって伸びる年でもないし、伸びていける年数もそれほど長くないはずだし、指導を受けて効率的にやることを考えてもいいのかも。ちなみに、指導は「こうすべし」ではなく、いろんなやり方があり、人それぞれに合う合わないがあることを前提にしたものとなっている。そのあたりも好感が持てる。

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コメント

こんばんは。
コメントありがとうございました。
セミナー参加者のFELT乗りの方です。
すごいしっかりとまとめられてますね。
それと始めて1年という割には、かなり走られてるようで。
今はかなり楽しい時期じゃないでしょうか。
どんどん伸びると思いますよ。

では富士山の頂上でまたー。

投稿: ますらお | 2014年5月30日 (金) 22時51分

ええ、そうなんです。いくら年とってから乗りはじめたとはいえ、まだ1年ちょっとならまだまだ伸びるはずで。考えなきゃいけないこと、身につけなきゃいけないことがたくさんあるし、なにをしても、やればやっただけ伸びていく感じで、とても楽しく乗っています。体力的にも、加齢により低下より伸びのほうが大きいですし。

富士は参加者が多いので、全体のなかで自分の位置をはかるにはいいんじゃないかと楽しみにしています。

では、明日、富士の上でm(._.)m

投稿: Buckeye | 2014年5月31日 (土) 07時43分

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