オーロラツアー(5日目)~スノーモービルにソリ滑り、トナカイ焼き肉、そしてオーロラもちょっとだけ
オーロラツアー(5日目)~スノーモービルにソリ滑り、トナカイ焼き肉、そしてオーロラもちょっとだけ
朝、外に出てみると暖かい。温度計を見ると、-12℃だった。東京あたりから考えるとめちゃくちゃ寒いのだが、-35℃くらいまで普通に下がるところにいると-12℃はとても暖かく感じる。
朝食には、門脇さんが好物というトナカイの燻製を使ったオムレツ。みんながお代わりをするもので、出された分が全部なくなってしまった。多めに出してあるので、全部なくなったのはこれが初めてだ。
●朝食
デザートには、クリスマスのお菓子が出た。
●クリスマスのお菓子
朝食後、お世話係は洗濯機を借りて洗濯。昨日借りようとしたら、宿の人がどこかに行っていて借りられなかったのだ。
■スノーモービル体験
午前中はスノーモービル体験。初めての子どもたちなどは、門脇さんとのタンデムから。私はアメリカ留学中に1日、スノーモービルツアーを経験しているのでひとりで。といっても、なにせ25年近くも前のことで、最初の1周はけっこう怖かった。
●スノーモービル体験
後半、子どもたちもひとりで運転、私は立っての運転。立ち上がると振動を膝で吸収できるのでむしろ乗りやすい。こちらの人々も、基本的に立って運転している。フィランドでスノーモービルには年齢制限があり、あまり小さい子は乗れないらしい。でも、このあたりでスノーモービルは生活必需品であり、子どもたちも乗り回しているとのこと。法律違反ということになるが、そのあたりは田舎なので誰も気にしないのだろう。
スノーモービルは1台なので、ほかの人が乗っているあいだは待つことになる。子どもたちがじっと待つなんてことがあるはずなく……雪合戦を始めた。雪玉なんてできるはずもないし、手袋外して手の熱で雪を融かして……なんてこともやる気になれるはずもない。というわけで、雪をすくってふりかけ合うような感じ。
●雪合戦をする子どもたちと巻き込まれたお世話係
■お昼
いったん部屋に戻ってお昼。赤いきつねとサバイバルフードの雑炊。雑炊は、もう少し水が少なくてもいいんじゃないかという意見もあった。
●お昼
●ヨーグルト
にこばっかいが食べているのは、こちらのヨーグルト。伸びるタイプで、日本では見かけない。門脇さんは、持って帰って培養しているそうだ。にこばっかい的には、いまいちだったらしい。
■ソリ滑り
午後は、天候が回復してきたこともあって気温は下がり気味(-20℃)。
アクティビティはソリ遊び。例によってスノーモービルで引っ張ってもらうソリで滑る場所まで移動する。ソリゲレンデは、スノーモービルが何往復かして作ってくれた。
●ソリ滑り
とにかく距離が長い! パウダースノーをスノーモービルが固めてくれているのでよく滑る。スピードが出すぎたので足でブレーキをかけたら……一瞬で顔に雪が積もった(^^;) わぁっと思わず声を出したら、口の中、のどの奥まで雪が山盛り(^^;) 当然、前は見えなくなるわけで、コースアウトして粉雪のなかへと突っ込む。盛大に雪煙があがったらしい(本人はなにも見えない^^;)。
耳まわりも雪だらけ。補聴器がぬれると壊れる可能性があるし、下手すると、雪の中に落としてしまう恐れもある。あぶないので外してケースに入れる。
戻りは、なんと、スノーモービルが迎えに来てくれる。登りの苦労なしによく滑るソリゲレンデで長距離が滑れるとは。これは極楽だ。滑った回数はひとり3回ずつだったが、満足度はとても高い。また来ることがあったら、観光などはいらないから、毎日ソリ滑りでもいいんじゃないかという意見が我が家のなかでは支配的だった。
ひとり3回ずつと回数が少なめなのは、顔や場合によっては首筋まで雪だらけになるからだ。このくらいでも、戻りがかなりきつい。顔に氷が張っている感じ。っていうか、部屋に戻って触ってみたら、まゆげは凍っているし、ほほのでっぱりのあたりは氷に覆われていた。
次回、来ることがあったら、顔のプロテクターを用意してこよう。少なくともゴーグルは必要。今回、こばっかいの発案で、ソリ2回目からはフードを前後逆にしたので、顔に積もる雪が少し少なくてすんだのだが。
■サウナ
戻って3時過ぎからサウナ。
サウナを用意しているあいだ、子どもたちは本館でナイフを買う。先日来、いろいろと見比べてあれがいいの、これがいいのとふたりで相談していたが、それぞれにお気に入りができて決心したらしい。ところが……にこばっかいが買おうと思ったナイフはなくなっていた。我々以外に客はいないのに。宿の女主人、メルビィにも尋ねたが、知らないとのこと。にこばっかいにとっては残念な事態となった。
サウナでは、途中、何回か、冷水などで体を冷やすのだが、こちらの人は、冷水のシャワーではなく、外に出たり、湖に飛び込んだりするという。湖はさすがにまずいかもしれないが、外くらいはやってみようと、こばっかいがトライ。足もはだしで、体中から湯気がたっている。見ると寒そうだが、サウナで熱くなっている体には気持ちいいくらい(私もやってみた)。
●サウナから-25℃の外に飛び出すこばっかい
コテージのサウナは電熱で、サウナを入れると部屋のヒーターが切れる。そう聞いたときは、「えぇ? いや、短時間だからいいのか」などと思ったのだが、実際にサウナを使ってみると、部屋のヒーターは切っておくべきだと思う。サウナは体の芯までかっかするほど温まるので、これで部屋ががんがんに暖房されていたら、いつまでたっても体温が元に戻らない。
ちなみに、はだかで外に出ている写真を撮ったのが午後3時半。空も暗くなっていて、どう見ても夜という感じだ。
サウナ後、子どもたちは勉強、私はビール。LAPIN KULTAのArctic Malt。
●LAPIN KULTAのArctic Malt
ダークラガーとなのだが、渋みが一番の特徴という感じの味で、私的にはいまいちだった。名前は「Arctic Malt」ととっても惹かれるものがあったのだけれど。
5時ごろ、外に出てくると、北斗七星も北極星もはっきり見えている。あとはオーロラさえ出てくれれば! あくまで自然現象なので見れなくても仕方がないのだが、せっかく来たのだから、一度は見たい! オーロラが出るのは、夜6時くらいから夜中の1時くらいまでらしい。さぁ、今夜はどうなるか。
■夕飯
夕飯はトナカイカレー。トナカイ肉でカレーを作ったらおいしいのではないかと門脇さんが発案されたらしい。お皿とスプーン、飲み物(温かいお茶を保温のポットに入れて)、温めたパックご飯を持って、本館近くの小さな小屋へ。小屋の中は、先日の休憩小屋と同じような形で(こちらは木製でしっかりした造りだけど)、真ん中で火が燃えている。電気などはなく、明かりは、たき火の光とヘッドランプ。
最初は、トナカイの焼き肉。焼き肉のたれに漬け込んだトナカイ肉を串に刺してたき火で焼く。串は、金串もあったが、先日、暖炉でソーセージを焼いたときと同じように木の枝の串も何本かあった。私は太めの木の枝でできた串を使う。
●トナカイの焼き肉を焼いているところ
トナカイの焼き肉はなかなかに美味。小屋の中が薄暗く、どのくらい焼けたのかがよくわからないので、焼きすぎになりがちなのが少々残念。後半、焼きなれてきたあたりの肉のほうがまちがいなくおいしかったから。焼き具合のチェックは、目で見るより、肉の表面、あちこちに唇をつけてみるほうがいいように思う。冷たいところがあるなら、そのあたりはまだ焼けていない。全体にアチチというくらいになっていれば、大概、大丈夫そうだ(肉の真ん中へんが焼けているかどうか、ちょっと心配ではあるけれど)。
●トナカイの焼き肉を食べるにこばっかい
たき火はしているが、小屋のなかはかなり寒い。吐く息なんかまっしろになる。座るところにはトナカイの毛皮がしいてあるので、お尻が冷たいということはないのだけれど。
焼き肉のあとはカレー。肉はトナカイのものがごろごろと入っている。ちなみに、トナカイカレーなどという料理が出てくるところは、世界中探してもほとんどないはず。北欧でカレーは基本的に食べられていないので。ちなみにラァタマ村にトナカイカレーがあるのは、門脇さん発案のメニューだから。
●トナカイカレー
焼き肉もカレーもおいしくて、こばっかいなど、「日本でもトナカイ肉が手に入ればいいのに……」と言い出すほど。まず手に入らないし、入ったとしても、おいしいかどうか。フィンランド国内でも、都市部のトナカイ肉は臭みが強くておいしくないという話もあるのだから。
そのあとは、持参したソーセージに干し芋を焼いていく。その途中、門脇さんがカメラを持って小屋から出ていったと思ったら、「オーロラの前兆が出ている」とのこと。肉眼ではほとんどわからないが、写真にはうっすら写るのだそうだ(カメラのほうが肉眼より少ない光量をとらえられるので)。
こうなると、干し芋をゆっくり焼いている場合ではない。急いで部屋に戻り、防寒と撮影の準備を整え、9時ごろ観測場所へ。
防寒は、(↓)こんな感じ。
- 手袋二重
- 靴下二重
- 帽子二重
- ヒートテックタイツ+ズボン
- ヒートテック下着+タートル+薄手のダウン+薄いフリース
- こちらで借りたカバーオール(フード付き)
- こちらで借りた防寒靴
あと、靴下の裏と背中には貼るホカロンを装備。
●観測場所
観測場所は、門脇さんが準備してくれており、地面に寝っ転がってゆっくり観測できるようになっている。体の下にはトナカイの毛皮を敷くので冷たくない。
カメラの設定は(↓)
- マニュアルフォーカス
- 撮影モードはプログラムでOK
- ISO 1000程度、-0.5~-1.0 EV
マニュアルでフォーカスを無限大に合わせる。無限大だから遠側めいっぱいにすればいいのだと思っていたら、門脇さんから、それでは行き過ぎになるとの指摘があった。最近はオートフォーカスになっている関係で、行きすぎて戻れるように、無限遠でフォーカス機構が止まるようにはなっていないわけだ。
マニュアルフォーカスは、月を使って合わせてみた。にこばっかいのE-500は、月の輪郭がはっきりする位置に合わせる。私のカメラ(E-M5)はマニュアルフォーカス時、ファインダーに拡大画像を表示してくれるのだが、月の模様がはっきり見えるほどではない。また、輪郭も、どの位置がはっきりという感じでもない。一番はっきりしているように見えるのは、月が一番大きく見えるところなのだが、そっちは近距離にフォーカスが合っているはずの位置。それではと、遠側の端っこより少し手前で月が一番小さくなる位置があったので、そこでいいのだろうと判断した。
試し撮りをしてみると、焦点はこんなものでいいらしい。
●試し撮りの画像。この時点で地平線近くにうっすらと緑色のオーロラが出ている
しばらく待つと、縦に光が見えた(気がする^^;)。これはオーロラが広がる前兆であることが多いのだそうで、皆、期待のうちに待つ。待つ。待つ。
だが、光の乱舞は始まらない。
結局、1時間ほどたった10時過ぎ、いったん引き上げることにする。気温は-29℃。いくら防寒対策をしていても、つま先や指先などが冷えてきたので。
部屋に戻り、ココアなどで体を暖めていると、こばっかいが居眠りを始める。これ以上は無理そうだとのことで、オーロラが出たら一応は起こすという前提で、とりあえず寝させる。にこばっかいはまだがんばるというが、体が暖まると、やはり、椅子でこっくりこっくりし始める。ただ、にこばっかいの場合、写真を撮りたいなど、やる気があるので、ベッドに行かせるのはもう少しあとにしておく。
私は11時20分くらいから12時くらいまで、しばらく外で待ってみたが……やはりダメ。
戻ったところで、にこばっかいとお世話係がベッドへ。私は、体が少し暖まったらもう一度外に出て、そこでダメなら機材を撤収することにする。
そろそろかなぁと思ったころ、門脇さんから、今日はもう無理そうだとの連絡が。12時45分に機材を撤収。
残念。
1時すぎに就寝。
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