芝浦工大ロボットセミナー全国大会2010
今年はマシン検定も一発で通過したし、どこかを修正しなければならないというのも特になく、波乱のないスタート(って、それが普通でなきゃいかんのだが^^;)
■デザインコンテスト
こちらは捨ててかかっているわけで、ほかのマシンを見て楽しむ。スパイダーは基本的に機能重視とせざるをえないので、おっと言うようなマシンは少ない。ざっと見ただけで、上位はコレとコレって感じではっきりわかってしまう。
ボクサーは数も多いし重量制限も緩いしで、いろいろなデザインがあって楽しい。
■バトル大会
中学生のスパイダーは人数が少ない。そのため予選は2リーグで、各リーグから上位2人が決勝トーナメントに進む。
予選リーグの第1試合、こばっかいは89点。あれ?って感じだが、シュートを勢いよくやりすぎたもので、1個がフィールド外にこぼれたほか、1個がマシンの変なところに引っかかってシュートできなくなってしまったのだ。実は、マシンを作っていたとき、そういうミスがあり得るんじゃないのかと聞いたことがある。
- (Buckeye)
- 勢いよくシュートするとこことかこことかミスが出ないか?
- (こばっかい)
- 大丈夫だよ。そんな失敗しないって。
- (Buckeye)
- ホントに?
- (こばっかい)
- うん、そんなこと、1度もやったことないもん。
- (Buckeye)
- ミスっていうのは、やったことのないものが肝心なときに限ってやるものだよ?
- (こばっかい)
- いや、大丈夫。
- (Buckeye)
- そう言うのならいいけどさ、別に。君のマシンだし。
というわけで、言わんこっちゃないである。
ま、そのあとは順調に100点を重ね、全勝で予選リーグを抜けたけど。
それにしても……未来館の決勝であたった子が全国大会を欠場したのが惜しまれる。未来館のときで100点が取れる機体だったので、当然、決勝リーグに残ったはずだったのに。準備を進めているという話はブログで見ていたので、直前に体調を崩すとか、どうしても抜けられない用事ができたとかではないかと思う。
■面倒見のよいこばっかい
こばっかいは気さくで誰とでもすぐに仲良くなるし、困っている人がいると面倒をみてあげたりする。今回は、未来館から来ていた子(108番)のマシンの修正を手伝っていた。
この子のマシン、未来館で優勝したときのこばっかいのマシンと準優勝のマシンを組み合わせたような構成。なのだけれど、細かい部分の造りが粗いのと、作っただけでテストをしていないのとでかなりの苦戦をしていた。第1戦では、ピンポン球を取りこんでシュートエリアに来たまではいいが、ピンポン球の重みでシャベルが持ち上がらず、0点で負けてしまった。
これ、こばっかいも遭遇したトラブル。ギアボックスの説明書通りに組むと、ピンポン球の重みでクラッチが滑り、動かせなくなるのだ。クラッチなしにするか組み方を変えるか、とにかく、一工夫が必要になる。
このあたりを修正して臨んだ2回戦、それなりの点数は入ったが、モーターの配線がシュート口を部分的にふさいでおり、20点くらい損していた(勝敗は覚えていない)。「神は細部に宿る」のだから、細かいことをおろそかにしちゃいけないんだよねぇ。
■こばっかいのマシンのデキ
いや、よくなってるわ。未来館のバトル大会はたまたまうまく行ったという話だったけど、そのあとの改造で、ホント、細かな部分の無駄がなくなった。今の状態を見ていると、ああ動くのが当然という感じ。ちょっと大げさに言えば、大学ロボコンでさっと動く上位マシンの動きに通じるものがある。
今回、中学生のスパイダーはメンテ・修理コーナーの前だったのだけれど、メンテ・修理コーナーにいた院生か助手さんらしい人たちも同じような感想を漏らしていた。「完成度、高いよなぁ。とことんまで効率を追求したって感じの動きで無駄がない。ロボコンあたりに出てきそうな感じだよね」だそうだ。そんな話が進んでいたので、話しかけてみた。
- (Buckeye)
- なんか、あれやらこれやら工夫していましたよ
- (メンテの人)
- 試作は何回くらいしました?
- (Buckeye)
- 私はよくわからないけど、メインの部分は3回も4回も作り直していたようです。そのたびによくなってました。
- (メンテの人)
- そこまでしてくれると、素材を提供しているほうとしてはうれしいなぁ。ホントはそうじゃなきゃいけないのに、試作1号機がここに出てくるケースがほとんどなんですよ。
- (Buckeye)
- 私としても、もの作りってそういうものだって知って欲しいので、何回でも作り直せって行ってきましたが、今年、ようやくそれなりの格好になったようです。
はい、それだけ評価してもらえれば、こばっかいも本望でしょう。
■決勝トーナメント
決勝トーナメントは、こばっかいと岡山の子、それに諏訪勢が2人だった。
諏訪は例年、強い。毎年、上位に誰かしか入っていることが多い。昔、ボクサー、スパイダーとバトル部門もデザイン部門も完全優勝というすごい子がいたが、あの子も諏訪。去年、にこばっかいがボクサー決勝で負けた女の子も諏訪(お兄さんがスパイダー優勝だったそうだ)。
もともと精密機械が盛んな地域で、最近はエプソンなどもある。そういう関係から、町ぐるみでこういうことを推進しているらしい。予選が激戦で全国大会への切符を手にするのは難しいが、出場できれば、旅費もわずかながら補助が出るとのこと(子ども分くらいは賄えるかな? 親の分は自腹)。
こばっかいと岡山の子はすくい型、諏訪勢2人はクレーンつかみ取り型。クレーンつかみ取りで100点はきついと思うが、諏訪勢の1人はけっこうな割合で100点をたたき出す。クレーン部の設計がいいのと操縦が上手だからだろう。
操縦はとても上手だった。クレーンの端っこにピンポン球が引っかかったときは、縁を使ってクレーン内に押し込むという微妙な技まで使っていた。
レギュレーションを勘違いしており、モーター2個で動かしていたクレーンを、前日、リンク機構を使ったモーター1個に改造したそうだ。それであれだけ動かせるというのは、ホント、すごいわ。
決勝トーナメントの1回戦は、Aリーグ1位とBリーグ2位という組み合わせで行われる。こばっかいの対戦相手は操縦が上手な諏訪の子。勝ったけれど、95対100というなかなかの勝負だった。
●決勝リーグの1回戦
決勝戦は、順当にすくい型2台の対決となった。
予選リーグから決勝トーナメントまで、さまざまな競技が並行して行われるので観客が少ないが、決勝戦だけはひとつずつやるので回りにたくさんの子どもたちが集まってくる。
注目をあびつつ決勝戦開始。フィールドが若干傾いているようで、こばっかいが取りこむピンポン球が自然に転がってしまう。その関係で少々手間取り、岡山の子が先に100点を決める。少し遅れてこばっかいがシュート。1個でもこぼれれば負けてしまうが……あぶなげなく100点を獲得。こぼれ防止策が効いている。
100対100の引き分けで、2回戦へ。
今度は順調に取り込み、こばっかいが先に100点を獲得する。少し遅れて岡山の子も100点。うーん……いい勝負だ。
●互いに譲らず100点を重ねる
今回の全国大会では、2回引き分けたら1点でも先にゴールしたほうが勝ちのVゴール方式となる。
足はふたりとも高速タイプ。細かな調整をくり返して万全の脚回りをほこるこばっかいに対し、岡山の子は、決勝前にメンテコーナーで「片足の動きが悪い」と相談・調整をしていた。つまり、歩くスピードだけならこばっかいのほうが速い。
でも、こばっかいのマシンは取り込み易さを重視した横幅が広いタイプ。シャベルは、本体に触れそうな位置に降りてくる。対して岡山の子は縦に長いタイプ。シャベルを上下するギアボックスを本体より前に取りつけ、そこからさらに長いアームを使ってシャベルを思いっきり前に置いたタイプ。つまり、歩く距離が短くてすむ。Vゴール方式だと、どちらが早いかなんとも言えない。
もうひとつ、考えなければならないポイントがある。1個5点のハイゴールの横に1個1点のローゴールエリアがある。遠くからピンポン球を転がし、ローゴールエリアに入れてもVゴール方式なら勝ち。それを狙って早めにピンポン球をリリースするか、それとも確実を狙うか。決勝が始まる前、Vゴール方式になったらどうするのかこばっかいに聞いたところ、確実を狙うようなことを言っていた。さてさて、最終的にどうするのか……
両者、気合、入りまくり。観客もついつい前に出てきてしまう。スタート直前、「後ろにさがって。じゃま!」とこばっかいの鋭い声。
両者、シャベルを降ろした状態でスタート。
レギュレーションでは、本来、シャベルをたたんだ状態(マシン検定時のサイズ制限に収まる形)でスタートしなければならないことになっている。ただ、今回はけっこういいかげんで、シャベルは降ろしたままでいいということにしたらしい。シャベルの上げ下ろしがすばやくできるこばっかいとしては、降ろしてスタートはそれだけ不利になるのだが審判がいいというのでは仕方がないわけだ。
ひとすくいしただけで戻りはじめる。戻りはじめたのは岡山の子が先。縦長マシンで歩く距離が短くてすむこともあり、こばっかいが真ん中の悪路にかかるころには悪路をほぼ渡り終えてしまった。
と、岡山の子はここでシュート口を開く。ところがシュート口はなるべく真下に落ちるように工夫されているわけで、ピンポン球はフィールドに散ってしまう。1点ゴールを狙ったのかと思ったが、もともとの計画ではなく、あわてて操縦ミスをしたのかもしれない。
そこまでの戦いでは、シュート口を開く方向にリモコンのスティックが動かないよう、ストッパーをはさんでおくという安全策をとっていた。そのため、ゴールについたあと、ストッパーを外すという余分な作業が必要となる。Vゴール方式ではその時間が致命的となる可能性があるので、最初からストッパーなしにしていたはず。その状態であせったため、シュート口を開くというミスをした可能性が高い(よくある失敗だし)。
相手がミスってくれたので、こばっかいは落ち着いてハイゴールへ。
優勝が決まった瞬間、心臓に手を当ててみたらすんごいドキドキしていた(^^;) いや、だって、Vゴール方式だと何がどうなるか、わからないところがあるので。
優勝決定後、芝浦工大の先生から「100対100で引き分けが続き、Vゴールで決着というのは今までになかった初めてのこと。とてもいい勝負だった」とのお言葉があった。
表彰式では、バトル部門のほか、デザイン部門の上位も表彰されていた。勝つことだけが目的とならないので、デザイン部門があるのはとてもいいと思う。
●表彰式
●中学スパイダー決勝トーナメントに進んだ4人
■大会後
大会後は、6時ごろまで芝浦工大の学園祭を見て歩く。数年前から学園祭にぶつけるようになったのだけれど、これはホント、いい形だと思う。バトルで負けたら試合より学園祭って子もいるようだ。もちろん、ロボット系のサークルを見歩いているらしい。
そうそう、このロボットセミナー、今年で10周年だそうだ。ということは……最初のほうで受講した連中はもう大学生。全国大会のお手伝いにも二人ほどセミナー受講生が混じっていたし、ロボットサークルのほうにも、「あ、あのセミナー、今もまだやってるんだ。僕も昔、受けたんですよ」なんて言っている学生がいた。
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コメント
いや~読んでてワクワクしました。
こばっかいくん、よかったね!!
頭を寄せ合って、改善してるところはとってもカワイイ(^-^)
こういうことにこれだけ熱中できるのに、世話係さんによればバリバリ理系ってことはないんだとか?? 不思議なもんですねぇ。
投稿: アンダンテ | 2010年11月12日 (金) 16時15分
ありがとうございますm(_ _)m
バリバリ理系じゃないからといって、バリバリ文系でもないし……よくわかんないっすね。モノ作るのは好きみたいだけど、親がふたりとも理系(ひとりはバリバリ、もうひとりも基本的に)なので、そっちに引っぱられてるって可能性もあるし。
高校くらいになると興味関心が絞れてくるのか、それとも、ばりばりどっか別の系統なのか……
私は小学校からもう、自分は理系しかありえないと思ってましたけど。
投稿: Buckeye | 2010年11月14日 (日) 10時18分